道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

にっぽん

2006-03-04 20:44:08 | 言葉
「日本」という漢字、どう読みますか?
こんな特集が今日の朝日新聞(2006年3月4日朝刊)に載っていた。

以前から、「日」の読み方に「に」というものはないのだから、
どうして「にほん」という読みがあるのかと疑問に思っていた。

この記事によれば、
促音の「っ」をかな表記するようになるのは室町時代からだったため、
それ以前は「にほん」と書いて「ニッポン」と発音していた。
それが、室町以降は「にっぽん」と書くようになったのだが、
逆に昔ながらの書き方である「にほん」をそのまま「ニホン」と誤読する者が現れ、
それが定着して「日本」を「にほん」と読むようになったとか。

これはなかなか合点のいく説明である。かつ、おもしろい。

「女王」「十点」も、個々の漢字の読みから言えば、「じょおう」「じってん」であって、
「じょうおう」「じゅってん」は誤読というべきであるが、定着している。

言語とは、原則のみでは説明できないこうした変化があり、まさに生きているのである。
「近頃の日本語の乱れは云々」ということを言う人もいるが、
その人だって若い頃は、年配の人に同じことを言われたのではなかろうか。

国立国語研究所が2010年までにコーパスを完成させる計画を発表したが、
その後も10年ごとくらいの頻度で何度もやって欲しいものである。


ところで、「にほん」は「にっぽん」からの誤読で発生したとあるが、
「にっぽん」とは「日」と「本」を呉音で読んだ発音である。

しかし、宗教語以外の熟語は、漢音で読むのが普通である。
ならば、「日本」を漢音で「じっぽん」という読み方だってありえるのではないだろうか。
むしろ、"Zipang(ジパング)"というのは、この「じっぽん」から来た言葉ではなかろうか。