![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/15/ffaa1c2ff0a5b8f5393637dd43e3a562.jpg)
ロラックスおじさんの秘密の種
Dr. Seuss' The Lorax
2012年 86分 アメリカ
一度見かけたが途中で挫折し、昨晩チビが何か見たいと言ったので今度こそと一緒に見た。
少年テッドの住む街はすべてが人工でプラスチック。外は一本の木さえ育たないほど最悪の環境状態にある世界だが、彼が住んでいる街だけは実力者のオヘア氏によって環境が整えられ、空気もきれいで過ごしやすく保たれる状態だった。そして街のみんなもその環境に満足して喜んでいた。
ある日、テッドは、好きな女の子・オードリーが見たいという本物の木をプレゼントしようと決意する。おばあちゃんから、かつての緑いっぱいの街を知るという、街の外に1人で住んでいる謎の老人ワンスラーの存在を教えてもらう。そこで聞いたのは森を守る不思議な住人・ロラックスおじさんの話。ロラックスおじさんを戻ってこさせることができれば本物の木を手に入れることができるはず。そのためにはある秘密の種を街の中心にまくしかないと教えられる。
ワンスラーはテッドにひと粒の種を渡す。しかしそんなテッドの前にオヘアが立ちはだかる・・。※あらすじはネットより(改)
映画が始まってすぐチビが『これ見る』と言ったので引き続き見ることにした。4歳の子にとって90分は長い。興味のない映像には集中力が続かないのだ。興味さえあればウルトラマンやプリキュアの映画がどんなに長くても大丈夫。
彼女が始まってすぐそう言ったのは色の鮮やかな映像のためだろう。あらすじに「人工の」とあるが、いかにも作り物っぽい鮮やかで人工的な色彩の街、後に出てくる天然(笑)の木や動物たちも全て極彩色の人工色っぽい画像。私たちには毒々しいとまで感じられる色でも、小さな子にとってはきれいで素敵な絵なのだろう。
内容だが、自然を壊すことで文明を築いてきた欧米のやり方、金のためなら何してもいい、金を儲けた人が成功者=正義というアメリカ的価値観を醜悪なまでに描き、おかげでこうなった、反省して自然のバランスを保つ善行をしましょ、私たちはこんな素晴らしいことを成し遂げたのですよと歌い踊る。東洋、特に日本人やネイティブインディアンの考え方からすれば、「稚拙で馬鹿な考え」にやっと気づいたかと蔑みたくなるような展開。
日本が先進国でありながら木が残っているのは、例えば大きな木を切って神社などの修理に使う時も、山の神様に祈り、酒を捧げ、どうか切らせてくださいと理由を言って頼むというしきたりを踏襲してきたから。金のために外国産の木を植林して、経済的に成り立たなくなったから放置するような山の持ち主とは一線を画す山の守りをしてきた人のおかげ。
未だに日本人の心の根底にある「バランスを崩してはいけない」と言う真理は、ネイティブアメリカンの考えとも同じであり、お釈迦様の「耽る」ことを戒める考えとも通じている。
そんな日本人から言えば、この主張は醜悪なものだ。幼稚なものだ。が、しかし、欧米の人間から言えば新鮮で目を覚まされる真理なのだろうか。
私は見ながら、その醜悪さに辟易し、電源を落としたかった。
が、それは大人の話であって、小さな子供にとってはどうだろう。
4歳の子なら、誰かが道徳的・倫理的説教をたれるのとは違い、このきれいな画像を見ながら、自然と教えられる・考えが身につくものなのではなかろうか。それは素晴らしい。と言うか、そのための映画なのではなかろうか。それなら十二分の価値のある映画であり、多くの人が手にすべきものでもあろう。小さなお子さんと親が一緒に見てくれたら、この映画も本望なのではないだろうか。その前に、親がしっかりした価値観を持っておくべきでもあろう。親が試させる映画と言ったら大げさかな、イヤそうでもあるまい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/aa/d73cc951c0334d9c5f5709cee3ee1d6e.jpg)
切り倒された木とロラックスおじさん
違和感があるとしたら、日本人にとって「自然」と「緑」は同値だが、この木たちは全てが極彩色で葉っぱさえないことか。人工の街との対比があるにもかかわらず、木そのものが人工のおもちゃにしか見えない。ファンタジーと言ってしまえばそれまでだが、その辺はちょっとね・・。
あと、声優陣がひどい。ワンスラーなんて聞くに堪えない。志村はいいとしても他はどうにかならなかったのか。日本語吹き替えを止めたかったが4歳の子供に字幕を読ませるわけに行かないので仕方なかった。最近、芸能人のやっている声優役で満足することが少ない。名前だけで売りたいのなら、もう芸能人を使うのを止めて欲しい。プロの仕事はプロに任せてよ。こんなことしてたらDVDも売れなくなるし、映画館に行く人もますます減るぞ。
それはとても残念なことだ。
![にほんブログ村 通販ブログへ](http://ec.blogmura.com/img/ec88_31.gif)