猫物語(白) つばさタイガー
TV版 物語シリーズセカンドバージョン 1~5話
DVD版では猫物語(黒)と(白)がもう売られているのだが、私は貧乏なので買ってない。(黒)はレンタルが始まっているので借りて見た。(白)はレンタルされてなかったので、金さえあれば買いたかったのだが諦めていた。聞けば、TV版の新シリーズの最初にこの(白)の内容を放送するらしいと聞いて期待していた。が、物語シリーズセカンドバージョンの開始時期を知らなくて、最初は録画できず、第4話から録画した。途中から見たら面白さが半減するからと1話からの再放送を待っていた。で、やっと欠落部分が補完できたので先日から満を持して見たわけだ。
素晴らしい話だった。化物語シリーズの中でも傑作と言って良いと思う。
DVDでは、猫物語(黒)で、川の黒い部分、ブラック川を描き、この物語は川が、阿良々木君から見ても別の人から見てもだが、まるで聖母のような完璧な人間だったのが、本当の人間・川になる物語だ。川の言葉を借りれば、(自分をまるで聖母のように思ってくれている)阿良々木君に、『おおむねがっかりしてもらう話』と言うことだ。
川は何度か名字が変わっていて、小説の中の表現を借りれば「虐待されていた」。実際、猫物語(黒)では、結構大きな家であるにもかかわらず、彼女の家には川翼の部屋がないことが描かれている。(白)の中でも、彼女が寝ているのは廊下で、リビングで制服に着替えて家を出ている。ご飯も自分で作っていて、調理器具も自分用のものがある。食材は買ってあるのか、それとも食費は貰っているのか、とにかく生きていける経済的な補助だけはあるようだ。
私の知っている虐待児は、風呂にも入れて貰えず、ご飯も時々しか食べさせて貰ってない(給食で生き延びている)ぐらいだったから、それに比べたら、その虐待内容は主に精神的なネグレクト、愛情のなさと言うことだろう。まぁどちらもひどい行為であるに間違いないが。
そんな境遇で18年間生きてきた彼女、当然いろいろあるわけで、表面上は聖母でも、心には自分では押さえきれない鬱屈した感情があるはず。その発露が障り猫だったり、この「白い虎さん」となる。小説を読んだ人には、表現がねじ曲がっていてちょっと違うと感じたようだが、TV版しか見ていない私には、とてもわかりやすい納得できる内容だった。
さて見終わっての感想だが、
私は川が普通の人間になったことが非常に嬉しい。嬉しいを通り越していとおしい。
ラストシーン、川と阿良々木の会話、その後の川の号泣を見ても、かわいそうとも思うが、あそこまで感情を出せるようになった川がとても嬉しい。良かったね、これでやっと人間・川になれたねといとおしく嬉しい。
物語シリーズには、おもしろいけど痛くて繰り返し見たくない話もあるのだが、この話は繰り返し見たい。黒は前者で、白は後者なのだ。
西尾ファンの人は色々解釈しているようだし、川の話と見ている人も多いだろうけど、私はこの物語を川の物語とは感じてない。これは私の中にある嫉妬やストレスの話と思っている。
彼女の境遇や人生を通じて、自分の中の黒い部分を見ている。私の中のそれは、障り猫にも白い虎さんにもなっていってないが、もしそんな怪異が本当に存在するならきっと似たり寄ったりに発現しただろう。人の心の中には、多かれ少なかれ不幸があり、嫉妬があり、それがストレスになっている。それが解消できることもなく、心にわだかまったまま消し去ることも楽になることも出来ない。もしこういう発現によるリフレッシュが出来るならと、多くの人が(無意識を含めて)わかってみているに違いない。だからこれは川を使った自分の物語なのだ。
さて次はどんな話になるか、見たいけど今はちょっと我慢している。仕事が忙しすぎて物語に浸りきることが出来ないのだ。そんな時にこの大切な物語を見たくはないのである。
私にとって物語シリーズはそんな存在なのだ。いみじくも戦場ヶ原が阿良々木に言った「それぐらい貴方を失うのが怖い」と同じ気持ちなのである。
この話、お金があるなら限定版のブルーレイ版(上)(下)を買いたい。お金持ちは迷わず買った方がいいと思う。サンタさん、私にプレゼントしてください(笑)。
ごめん、もういっこ
いつの間に阿良々木君はあんなにかっこいいスーパーヒーローになったんだ?? 格好良すぎるよ、化物語の頃はもっと情けない人間だったのに(笑)