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黒人の日

2012年11月20日 | ブラジル雑記
「黒人の日」でお休みです。
正式な「国で定めた休日」ではなくて、州ごと...というか、市町村ごとに採用するお休み。
ブラジル北部東北部の周はほとんどがお休みですが、南部南東部ではリオデジャネイロ州とサンパウロ州ぐらいかな?
たとえば、マットグロッソ ド スル州では、コルンバなど4つの市町村だけお休み。
こんな調子なので、我が家も夫は仕事です。
お休みは私と娘だけ。

「黒人の日」と簡単に言ってしまっていますが、正式には「黒人の指導者 ZUMBIを称える日」です。

ZUMBI DAS PALMARES はブラジルにおける奴隷解放運動の先駆者。
1655年、アラゴアス州で産まれました。
6歳のときにポルトガルの宣教師に連れて行かれ、カトリックの洗礼を受け、教育を受けることになりました。
15歳のときにアラゴアス州に戻り、QUILOMBO DAS PALMARESの指導者となります。
Quilombo(キロンボ)とは、主人の下から逃げてきた黒人奴隷達が作ったコミュニティーで、「黒人の隠れ里」のようなものです。
QUILOMBO DAS PALMARESはその中でも、その当時最大で、3万人の住民がいたということです。
その後、サンパウロからの探検者たちと戦い、1665年11月20日なくなりました。
「黒人の日」はこのZUMBI DAS PALMARESの死を称える日なのです。

ブラジルは比較的「人種差別のない国」とされていますが、いろいろな面で存在していると思います。
あからさまでない、生活の中で普通に見られる場面の中で。

たとえば、リオに住んでいたときに、メイドさんはほとんどが黒人の女の人でした。
そのころ、南の地方に旅行に行ったときに、街の中を黒人が歩いていないのを見て「ここではメイドさんっていないのかなー」なんて思いました。
我が家で使っていたメイドさんも黒人の方でしたが、娘が産まれて、夫が単身赴任でいなくなってからは、住み込んでもらって、本当によく働いてもらいました。
マナウスに来るときに「一緒に行かない?」って誘ったのですが、「知らないところに住むのは怖い」って断られちゃった。
で、マナウスに来てみたら、メイドさん、普通の人なのよね。
っていうか、町の中、黒人の人ってほとんど見ないし。
コンドミニオの中で、最初のうち、どの人がセニョーラでどの人がメイドさんかわからずに困りました。

つまり、私の中に「メイドさん=黒人」っていう思い込みがあったのよね。
これって、立派な「差別」だと思う。
私の中にあった、「意識しない差別」

こんな感じの、「自分で気がつかない差別」もありますし、「はっきりとした差別」もあります。
給与面、雇用面などでね。
そういう差別をなくし、黒人にももっと高等教育を受けてもらおうと、今年から国立大学の「黒人枠」が設けられました。
新たに設けられたって言うよりは、以前にもあったもの復活?
黒人ばかりでなく、インディオの人たち、低所得の人たちもこの「特別枠」が適用になります。

マナウスは基本的に黒人は少ないのですが、それでも最近はハイチからの難民の色の黒い人たちを多く見かけるようになりました。
そういう人を見ると、ブラジル人でもちょっと引くのよね。
失礼かもしれないけれど、ああ、ブラジルの人もそうなんだーって思いました。

その様子から思い出したことがあります。
今から20年ほど前に、学齢期のお子さんを持つ、ブラジル在住の日本人の方たちの討論会を見せてもらったことがあります。
討論会のテーマは「わが子に望む 国際化とは」。
最初のうちはお決まりの「英語教育」とか「グローバルな視点での教育」なーんて、言っている本人がわかっているのかどうか、っていう感じの話が出ていましたが、会も終わりごろになって、ある一人の保護者の方が発言しました。
「私は、日本に帰って、電車やバスの中で、隣の席に色の真っ黒の人が隣に座っても、どきりとしない、そんな子供になってほしい。それが私が子供に望む「国際化」です。」と。
英語が話せることももちろん大切でしょう、いろいろな国を知ることも大切でしょう。
でも、本当に「国際化」のために大切なことは、「自分と違う特徴を持つ人を、無理なく自然に受け入れること」だと、その保護者の方は発言したのです。

この言葉はそれから20年たっても、いつも私の頭の中に残っています。
こういう考え方がもっと人の間に広がれば、もしかしたら「黒人の日」を設けたり、受験の定員の中に「黒人枠」「インディオ枠」なんて設けることが「おかしい」と思える日が来るのかもね。
そんな日が来たら、今、それこそ世界中で問題になっている「いじめ」の問題も無くなるかも、と思いました。


コメント
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