朝日新聞に怖い記事が載っていた(朝日3月15日6面)
「原発の規制強化、日米で業界反発 献金受けた議員、圧力」という記事だ。記事によると
米国では、炉心溶融事故の際に放射性物質の大量放出を避ける「フィルター付きベント設備」の設置をめぐって揺れている。ドイツなどで設置され、日本も設置する方針。米国でも昨年11月、原子力規制委員会(NRC)の技術スタッフが設置を提言したが、原子力業界の意向を受けた米国議員が反対している。
とある。
反対派の議員たちの意見はこうだ。
NRC(原子力規制委員会)のマクファーレン委員長は12日、会見で「議会を含めて幅広く意見を聞く必要がある」と述べた。
1月中旬に野党共和党の下院議員21人が「規制強化は厳密な費用対効果のもとで行うべきだ」とする手紙NRCに送った。2月上旬にも上院議員7人が同様の手紙を提出。
要するに「経済的に合わないことは出来ない」といい、安全よりも経済性を先に考えろという主張だ。
そうしてこの主張をする議員は:
多くは原子力業界から献金を受けている議員たちだ。
と書いている。
日本の場合はどうか。
日本でも原子炉の安全設備の多重化や、活断層の真上に原子炉などの重要施設の設置を認めないとした、7月施行の国の新安全基準骨子案に、電力会社が「過重要求だ」などと反論の意見書を提出している。
1月末に原子力規制委員会が示した基準案では、福島原発と同じ沸騰水型炉(BWR)は原子炉一つに2系統のフィルター付きベント設備を求めた。中部電力は、二つ目は別の手段も認めるべきだと反論。外部電源が失われた場合を想定したバッテリーの多重化については、東北電力が「過重な要求」という意見書を提出した。
「活断層の真上に原子炉建屋などの重要施設を造ってはならない」とする基準案にも、電力会社の反論が相次いでいる。断層のずれの影響を見積もれば真上にあっても設計できるとし、活断層の有無だけで判断するのはおかしいという。
背景には、再稼働を急ぎたい電力会社の思惑がある。大がかりな工事になり、時間がかかるからだ。また、活断層が重要施設の直下にあれば廃炉にせざるを得なくなる。敦賀原発などが指摘されている。
緊急時の装置を、金がかかるから「過重な要求」だと言っている。また活断層があっても原子炉の再稼働や建設を禁止すべきではない―――と主張している。安全性よりも経済性を重視する主張である。
おそろしい考えである。日米どちらにもあるのは、原子炉メーカーや電力会社の利益だけを考える姿勢だろう。こんな考えの人たちに日本のエネルギー政策に口出しをしてもらうわけにはいかない。