日々雑記

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政府の「エネルギー基本計画(案)」は、国民の希望とは違う

2014-03-23 17:31:00 | 日記

政府はエネルギー基本計画(案)を決定しました。今後の日本のエネルギーをどうするかという大方針です。それによりますとエネルギーの中心を原子力発電と石炭火力発電をベースロード電源にするというのです。東日本大震災以来国民の間では脱原発の声が高くなっています。世論調査でも、時期はともかくとして、原発を止めようという声が圧倒的に強くなっています。それなのに、今後も原発を中心にするというのです。

この方針でよいのでしょうか。考えててみました。

 原発は本当に安いのか

原子力発電を推進する理由は、第一に「原子力は安い」ということです。政府の計算ではでは、1キロワット当たり8.9円だそうです。その後実は政府は8.9円の後に計算しなおして9.0円という数字を出したはずですが、どこかに消えてしまったようです。もう少し細かく言いますと、8.9円というのは福島原発事故の費用5.8兆円としたときの計算のはずです。しかし事故処理費用は現在までに13兆円になっています。今後も除染や廃炉の費用がかかるのでますます高くなります。それに原発の稼働率を70%として計算してあります。いま原発は動いていないわけですから稼働率はもっと小さくなります。こんなことを考えると、すでに今では1キロワットあたち12円を超えているといわれています。これでは石炭やLNG(液化天然ガス)を超える高価なエネルギーだということになります。

 原発の停止で貿易赤字が増えたというのはほんとうか

政府は、原発が止まったため化石燃料の輸入が増えて貿易赤字が増えたと言っています。細かく調べてみました。たしかに福島原発の事故以来化石燃料の輸入額は増えています。しかし輸入した原油の量は増えていません。金額だけが増えているのです。金額が増えたのは円安の影響で円で計算した価格が上がったためなのです。貿易赤字が増えたのは別の原因によるものです。

外国ではどうでしょうか。ドイツの例を考えてみました。ドイツは原子力発電の比率を段階的にさげ、2013年には15.4%になりました。しかし再生可能エネルギーの普及で電力輸出国になっています。原子力発電を減らしても貿易収支はよくなったのです。日本でも同じことが出来ると考えてよいのではないでしょうか。

 原発は温暖化対策になるか

政府の原発推進の理由の一つは「温暖化防止」だといいます。たしかに原発は二酸化炭素を出しません。しかしこの理由にはからくりがあるのです。実は原発は発電量を思うように調節出来ない発電なのです。言い換えれば、柔軟性に欠ける電源なのです。このため、いままでも、調節しやすい石炭火力発電とセットにして動かしてきました。今回の政府の案でも、今後も原子力と石炭火力発電をセットにしてベースロード電源と位置付けています。温暖化対策として考える場合には、石炭火力発電とセットにして排出する二酸化炭素の量を考える必要があります。こう考えると、原子力発電は温暖化対策にはならないと考えた方がよいでしょう。

 節電はどうなるのか

原発依存から抜け出し、温室効果ガスの削減を進めるためには、再生可能エネルギーの普及とともに大事なのは節電です。

政府のエネルギー計画はこの点でも問題があります。日本のエネルギー消費は1989年以降まったく減っていません。消費を減らすためには、エネルギー消費の大部分を占める企業活動を規制する必要があります。しかし、政府は企業のエネルギー消費を減らすための努力をしていません。政府は1970年代に省エネを達成したので自主的な努力を後押しするだけでいいと言ってます。これでは省エネが進む訳がありません。

いま国民の大多数は「脱原発」を進めるのがよいと考えています。この国民の声に従がうことが政府が取るべき道ではないでしょうか。そうして脱原発を実現するために、風力、太陽光などの「再生可能エネルギー」の利用と、節電を進めることが必要なのではないでしょうか。

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