音楽CD生産額10年で半減 『大人』『海外』に活路 日本レコード協会石坂敬一会長
音楽CDが売れなくなっている。CD、DVDを合わせた二〇〇八年の音楽ソフトの総生産額は前年比8%減の三千六百十七億円で、十年連続の前年割れ。特に音楽CDは、ピーク時の一九九八年に比べ、生産額が半減した。背景には、洋楽不振に加え、パソコンや携帯電話の音楽配信へのシフトがある。今後の見通しや戦略について、日本レコード協会会長の石坂敬一・ユニバーサルミュージック会長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。
――CDやDVDといった、いわゆるパッケージが売れなくなっている現状をどう見ているか。
J-POPを中心としたヒット曲追求型の若者が配信に傾斜している。それと、世界的な潮流をつくる強い音楽がない。スーパースターの登場、新しいジャンルの確立、CDなど新しいキャリアの登場、これらがレコード産業の起爆剤になってきた。一九九〇年代中ごろから登場した新しいキャリアが配信だが、これがもろ刃の剣。正規市場をしのぐ違法コピーを生んでしまった。
正規市場に対して、一・一-一・二倍ぐらいの違法ダウンロード市場がある。主にモバイルだが、二〇〇八年は一千億円ぐらいになる。日本はいい方で、世界平均では十九倍。これでは商売にならない。昨年、違法ダウンロードの撲滅キャンペーンを行ったが、今後も続けていくことが重要だ。
――洋楽不振も続いているが。
いろいろな見方があるが、音楽における米国離れ。ヒップホップが多すぎて音楽の幅がなくなり、日本向きのものがなくなってきた。だが、楽曲が良くて日本人好みで、しかるべくプロモーションが行われれば売れる。
――配信は今後も増えていくのか。
日本は、CDと配信の共生がうまくいっている方だと思う。「着うた」「着うたフル」などモバイルのヒットが、パッケージのアルバムヒットにつながるという方程式ができてきている。配信の伸び方は、ややスローになってきているが、補完し合い、相乗効果を発揮している。ただ、今のままでは限界があり、着ムービーや着ビデオクリップをできるだけ市場に乗せたい。
――パッケージの減少を配信で補えていないが。
経営面で言うと、配信の難点はあらゆる意味で単価が低いこと。多くの会社は、パッケージ75-80%に対し、配信20-25%という比率で、売り上げの主柱を成しているのはパッケージ。五割五割になったら、革命的変革を遂げないと今の形のレコードビジネスは存続しない。配信対応の携帯は六千万台流通しているが、使われているのは一千万台しかないというリサーチがある。慣れない人にはいまだに難しい。
――パッケージの漸減傾向に歯止めは。
生き残る道の一つは大人市場。四十-六十四歳は四千二百七十万人いる。大きく見てもこの三割しか開拓されていない。理想論だが、四千二百七十万人が三千円のアルバムを年に一枚買ってくれると、卸価格計算で八百四十億円ぐらいの市場を形成する。
もう一つの道は海外市場。日本のアーティストは、ほとんどオーディオソフトの世界進出が成り立ってない。世界に流通するブランドになるように持って行くべきだ。
――パッケージ市場拡大を狙って、高音質CDなども発売されているが。
CDというのは高付加価値商品。価格を柔軟なポリシーで扱える。ジャケットに凝ったり、盤に装飾を施したり、あるいはクリスタルCDを使って宝物のようなものを作ったり、いろいろなバリエーションはどんどん考えられるのではないか。
いしざか・けいいち 1968年、東芝音楽工業(現EMIミュージック・ジャパン)入社。洋楽ディレクターとして、ビートルズ、ピンク・フロイド、エルトン・ジョンらを担当。81年から邦楽本部で、松任谷由実、長渕剛、矢沢永吉らを担当。91年に常務。94年、ポリグラム(現ユニバーサルミュージック合同会社)社長に就任。2006年からユニバーサルミュージック会長兼CEO。07年から社団法人日本レコード協会会長。
2. Qちゃんラジオパーソナリティーに初挑戦
高橋尚子さん(36)が10日、ラジオパーソナリティーに初挑戦することがニッポン放送の定例会見で発表された。4月4日スタートの「高橋尚子 サインはQ」(土曜前6・20)で、「とても緊張しています。リスナーのみなさんと直接触れ合うことを楽しみにしています」。会見には4月5日スタートの「藤沢周平傑作選」(日曜前6・25)でナビゲーターを務める俳優、児玉清(75)、音楽監修のバイオリニスト、川井郁子(41)が出席。
音楽CDが売れなくなっている。CD、DVDを合わせた二〇〇八年の音楽ソフトの総生産額は前年比8%減の三千六百十七億円で、十年連続の前年割れ。特に音楽CDは、ピーク時の一九九八年に比べ、生産額が半減した。背景には、洋楽不振に加え、パソコンや携帯電話の音楽配信へのシフトがある。今後の見通しや戦略について、日本レコード協会会長の石坂敬一・ユニバーサルミュージック会長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。
――CDやDVDといった、いわゆるパッケージが売れなくなっている現状をどう見ているか。
J-POPを中心としたヒット曲追求型の若者が配信に傾斜している。それと、世界的な潮流をつくる強い音楽がない。スーパースターの登場、新しいジャンルの確立、CDなど新しいキャリアの登場、これらがレコード産業の起爆剤になってきた。一九九〇年代中ごろから登場した新しいキャリアが配信だが、これがもろ刃の剣。正規市場をしのぐ違法コピーを生んでしまった。
正規市場に対して、一・一-一・二倍ぐらいの違法ダウンロード市場がある。主にモバイルだが、二〇〇八年は一千億円ぐらいになる。日本はいい方で、世界平均では十九倍。これでは商売にならない。昨年、違法ダウンロードの撲滅キャンペーンを行ったが、今後も続けていくことが重要だ。
――洋楽不振も続いているが。
いろいろな見方があるが、音楽における米国離れ。ヒップホップが多すぎて音楽の幅がなくなり、日本向きのものがなくなってきた。だが、楽曲が良くて日本人好みで、しかるべくプロモーションが行われれば売れる。
――配信は今後も増えていくのか。
日本は、CDと配信の共生がうまくいっている方だと思う。「着うた」「着うたフル」などモバイルのヒットが、パッケージのアルバムヒットにつながるという方程式ができてきている。配信の伸び方は、ややスローになってきているが、補完し合い、相乗効果を発揮している。ただ、今のままでは限界があり、着ムービーや着ビデオクリップをできるだけ市場に乗せたい。
――パッケージの減少を配信で補えていないが。
経営面で言うと、配信の難点はあらゆる意味で単価が低いこと。多くの会社は、パッケージ75-80%に対し、配信20-25%という比率で、売り上げの主柱を成しているのはパッケージ。五割五割になったら、革命的変革を遂げないと今の形のレコードビジネスは存続しない。配信対応の携帯は六千万台流通しているが、使われているのは一千万台しかないというリサーチがある。慣れない人にはいまだに難しい。
――パッケージの漸減傾向に歯止めは。
生き残る道の一つは大人市場。四十-六十四歳は四千二百七十万人いる。大きく見てもこの三割しか開拓されていない。理想論だが、四千二百七十万人が三千円のアルバムを年に一枚買ってくれると、卸価格計算で八百四十億円ぐらいの市場を形成する。
もう一つの道は海外市場。日本のアーティストは、ほとんどオーディオソフトの世界進出が成り立ってない。世界に流通するブランドになるように持って行くべきだ。
――パッケージ市場拡大を狙って、高音質CDなども発売されているが。
CDというのは高付加価値商品。価格を柔軟なポリシーで扱える。ジャケットに凝ったり、盤に装飾を施したり、あるいはクリスタルCDを使って宝物のようなものを作ったり、いろいろなバリエーションはどんどん考えられるのではないか。
いしざか・けいいち 1968年、東芝音楽工業(現EMIミュージック・ジャパン)入社。洋楽ディレクターとして、ビートルズ、ピンク・フロイド、エルトン・ジョンらを担当。81年から邦楽本部で、松任谷由実、長渕剛、矢沢永吉らを担当。91年に常務。94年、ポリグラム(現ユニバーサルミュージック合同会社)社長に就任。2006年からユニバーサルミュージック会長兼CEO。07年から社団法人日本レコード協会会長。
2. Qちゃんラジオパーソナリティーに初挑戦
高橋尚子さん(36)が10日、ラジオパーソナリティーに初挑戦することがニッポン放送の定例会見で発表された。4月4日スタートの「高橋尚子 サインはQ」(土曜前6・20)で、「とても緊張しています。リスナーのみなさんと直接触れ合うことを楽しみにしています」。会見には4月5日スタートの「藤沢周平傑作選」(日曜前6・25)でナビゲーターを務める俳優、児玉清(75)、音楽監修のバイオリニスト、川井郁子(41)が出席。