それは、ある朝、とつぜんやってくる。目をさまし、窓をあけたとき、つめたい空気の中に、かすかにただよう奏楽の音。
去年も、おととしも、その前の年も、この町に生まれおちるときからずっと、この季節が来るたび、人びとの耳にとどけられてきたなつかしい音楽。秋の序曲。
心おちつかぬ日々のはじまり。
< 杉みき子 至福の季節より>
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杉 みき子 (本名 小寺佐和子)
昭和5年(1930年) 新潟県高田市(現在 上越市) 生まれ。「日本のアンデルセン」と賞される。小川未明が卒業した大手町小学校の後輩で、在学中にそれを知って驚き、児童文学を志す。
『かくまきの歌』 日本児童文学者協会新人賞
『小さな雪の町の物語』 小学館文学賞
『小さな町の風景』 赤い鳥文学賞 受賞
ペンネームの由来は「高田は杉の木が多く、花という柄ではないので、ただ立っているだけの幹のほうが似合っている」 からだそうです。
杉みき子さんの作品は小学校の教科書にも登場し、こころあたたまる童話の短編物語です。雪国の風土に根ざした散文詩的な味わいはこころにやさしく響き 、日本のふるさとのなつかしくきびしい日常の生活の情景が大人の心にも夢をつむぎだしてくれるのです。
素晴しい童話は 大人になって読んでも感動するのです。
*キンモクセイの香る至福の季節。
あなたも秋の序曲に五感をすませてみませんか?*
私は かくまきの歌 と 杉みき子選集〈1〉わらぐつのなかの神様
が大好きです♪
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