おんらく館~のこぎりものには福がある~

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「舟を編む」を読む

2014-05-28 | 
先日映画を見た「舟を編む」。
原作本を拝読しました。

まさに作中で作られた国語辞典「大渡海」を髣髴とさせる渋い表紙。
しかし、カバーをめくると、その下からは少女マンガのカットを思わせるイラストシーンの羅列。
この極端な対象にまずズッコケ・・・(笑)

冒頭の文章からも、若さを感じました。
もっとも先入観もあるので、どこまで正確な判断かは怪しい所ですが・・・

しかし、軽くて読みやすい文章でした。(浅はかという意味ではありません。軽やかという意味です)

特に自分の場合は先に映画を見ていたので、シーンを具体的にイメージしやすいから更に読みやすかった。
例えば「用例採集カード」がどんなものか、とか。。。

割りと遅読な自分ですが、さらさらと読めてしまった。
早い人なら一晩で読んじゃうんじゃないかな?


この本も素晴らしく、良かったですが、改めて映画のすごさを思い返しました。

普通、小説の映画化というと、時間等の制約から内容を簡潔にしたり、アクションよりに変えてしまったり、あるいは全く別のものになってしまったり、
ということが多いと感じていますが、
この「舟を編む」に限って言えば、密度的にもドラマ的にも映画の方が濃いんじゃないか、と思いました。

では本の方は薄いのか?というと決してそうではなく、視点の置き方がちょっと違う。

映画では主人公のまじめ君を中心にずっと語られますが、
原作本では、先輩の西岡から見た馬締(まじめ)と辞書編集の仕事と自分。
もう1人後輩の岸辺から見た(以下同文)の視点で結構多くのページを使っている。
あとは単語や用例に対する行の割き方かな。

またタイトルの「舟を編む」という言葉についても丁寧に語っている。
映画ではコレに対する説明がなかったように思う。単に見落としかも知れないけど・・・


あと、ヒロインの香具矢については、本ではちゃんと「存在感がある」存在でした。(笑)

それ以外については、映画版での西岡のキャラの設定を始めとして、辞書の用例にファッション関係を増やそうといったアイディア(まさか原作にないとは思わなかった)
等、原作を上回っている箇所が多い!
自分的には映画の方が出来が良かったな。

そんなことを思いながら見比べてみるのも楽しいかもしれない。

何れにしても、最後には「辞書」というものが偉大で愛おしく見えてきます。