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音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

「新奇探求遺伝子」の記事

2009-09-13 10:33:18 | 音楽雑記
今日の毎日新聞の日曜くらぶ2面に「心のサプリ・・結果至上の国、日本」の
タイトルでアメリカの社会学者の論文が紹介されています

結果が不確実なことを避ける傾向・・結果至上主義とでもいえる
指標が「男性優位度」と組み合わされて統計処理されている表において
世界の中で日本は飛び抜けて高いと記しています

その「不確実性回避傾向」は別の見方をすれば堅実でリスクも少ないという
ことになり、日本人の遺伝子の特徴とも関わっているかもしれない、と
海原純子心療内科医は述べています。

さらに、遺伝子の中には「新奇探求遺伝子」というものがあり、
新しいことに興味をもち、結果はともあれ次々とやってみるのは
欧米人の遺伝子の傾向だと続き、
最後に、「結果が見えないと動かないという問題点に気づくことが
変化の第一歩になるかもしれない」と結んでいます。

私の周囲には新奇探求型の人が少なくありませんが、
歴史の転換期には常に「新奇探求」が求められ、
結果が後でついてくる、ということが繰り返されてきたのでしょう

多様な音楽の中から、「新奇探求」的な音楽が求められる実践の時に、
自由な感覚の引き出しを持ち合わせていたいと思うのですが…。
音楽療法士は自身の引き出しを多く持つために日々の研鑽が求められます


音楽を共有するアットホームな集い

2009-09-10 20:02:12 | 音楽療法実践
自ら参加するという意思があり、同じ空間で共有する音楽が
流れるという難病患者さんとご家族さんの集いがありました
お互いに家族を見守るような温かな視線や心遣い、
そして頑張られる姿に感動して明日への活力をいただきました。
今も幸せな気持ちが溢れています

来られた時は、お声が出ない状態だった方が、
準備して並べている楽器に積極的に挑戦されていました
リクエストをいただいていましたので、
「今日、歌っていただけますか?」とお尋ねすると、
指のオッケーサインが出ました。

ただ、着席されてお隣に座られた馴染みの方とは筆談をされています。
本当に歌っていただけるのか・・少し心配になっていました。
ところが、いざ伴奏が始まるとマイクを持ってしっかり歌われました
同じテーブルから、「すごいなぁ、会話ではまったく聞き取れないのに
しっかり歌えている。音楽の力はすごい」の声。

9年のお付き合いがあるこの会の皆様から
人生と音楽の摩訶不思議な魅力と底力も教えていただいています

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感動の民謡

2009-09-08 21:44:44 | 音楽療法実践
実践でお訪ねする認知症対応型グループホームの定員は9名です。
個性豊かなお一人おひとりが、家庭的な雰囲気の中で
穏やかに過ごされているように感じます

日々変化する認知症の症状や体調管理に対する
介護職員さんの迅速で適切な対応が求められます。
ホーム長の行き届いたケアの指示や職員同士の連携を
スムーズにする配慮などが、お一人おひとりの生活を支えています

認知症の方々の長い人生に関わってきた音楽が、
日々の生活において潜まれていることが多い中で、
思わず表出した時に、職員の皆様は自分のことのように喜ばれます。
音楽療法がそんな役割を担って、感動を共有する時があります。

そんな中、夏祭りの時の話をお聞きしました。
ゲストで招かれた民謡の方が、「どなたか歌われますか?」と尋ねられると、
ある一人の人が自ら手を上げられ、朗々と音頭を歌われたそうです
日々の生活において職員が少し近づき難い雰囲気を持っていた人だけに、
その姿に多くの職員が感動の涙を流し、ホーム長がお礼を言われると
ご本人も涙されたそうです。

思い出深い民謡が「明日への希望」として共有され、
忘れられない歌になることでしょう

元気を与えてくれた歌の力♪

2009-09-07 17:02:28 | 音楽雑記
難病であるパーキンソン病と闘いながら、ご自身の発声リハビリとして
地域の福祉センターのカラオケ教室に参加されるようになり、
それを機会に今では歌うことを一番の楽しみとされている方がおられます

さらに、福祉センターで障害がありながら社会と関わりを持って
頑張っているグループの姿を見て、ご自身も出来ることに取り組もうと
思い立ち、難病ピアカウンセリング養成講座を受講して終了されました
現在は地域の社会的な活動に自主的なグループのリーダーとして参加されながら、
難病患者として自ら啓発事業に取り組まれています

原因不明の難病と闘いながら生活されている難病の患者さんにとって
日々の体調管理が思うようにならず、患者会でお会いする時に
「今日は調子が悪いんです」「薬が効いている時に来ました」などと
話されながら、以前参加された時とは異なる皆様の姿があります。

「この進行する病気の体に元気を与えてくれたのは歌です」と、
歌の力を感じて新聞に掲載された記事をいただきました。
音楽療法への力強い後押しに感謝しながら、一歩ずつ歩んでいきます


認知症の非薬物的アプローチ(2)

2009-09-06 13:24:11 | 研究関連
昨日に続いて、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害など)以外の
周辺症状(BPSD)に関する老年精神医学雑誌による情報です

「家族や周囲の人たちが対応に困る事態(西村浩)」と言われる周辺症状には、
妄想、幻覚、抑うつ、不安などの心理症状と
身体的攻撃性、徘徊などの行動症状に分けられます

神経内科医は麻痺、失認、失行などの神経症状への対応を求められるが、
精神科医は幻覚、妄想や暴力行為などの精神症状への対応が求められる
と記されています。

先ず、非薬物療法として慎重な検討が出発点になり、軽度なBPSDであれば、
家族などの介護者の支持を得て、非薬物療法および環境調整を行えば、
効果的な治療ができるとして、以下の内容(朝田隆)を示しています。

①患者との意思疎通法(肯定的な表現と短く簡素な内容で伝えること・
 言語以外でもほめたり励ましたりすること)は治療効果を高める
②患者の身体的な状態を把握する(便秘、空腹などに適切な対処)
③不安や恐怖などの環境要因の有無を検討し、それを回避する
④能力の低下などにより、さまざまな事態に対処できなくなったことに、
 本人がいらだちや怒りを感じていることを理解する
⑤首尾一貫した対応をしてもらう
⑥軽食・運動には気分転換の効果があり、音楽や散歩は
 不安やストレスを軽減することをしってもらう
などを行っても症状が安定しない場合に、薬物療法が適応になります

ただし、ケア専門職は援助技術として学んでいますが、家族が介護者となる
場合には、家族自身のメンタルケアに社会の支援が必要になります
家族会や地域による情報提供および介護相談などの充実が求められます。

参考文献
老年精神医学雑誌2009/vol.20「老年精神医学の臨床最前線」,ワールドプランニング

認知症の非薬物的アプローチ

2009-09-05 16:53:17 | 研究関連
昨日、老年精神医学雑誌2009/Vol.20が送付されてきました
主に認知症に関わる研究内容です。
「老年精神医学の最前線」のテーマであり、
グループホームにおける音楽療法の実践にも関わってきます

中でも、記憶障害などの中核症状以外の周辺症状(徘徊、妄想、幻覚など)
と言われるBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)に
関する研究に注目しています。

認知症の専門医(精神科医・神経内科医)を対象とした調査によると、
5年前ではBPSD(周辺症状)について知っていた割合は50%以下でした。
1996年に国際老年精神医学会で命名されたそうですが、
「家族や周囲の人たちが対応に困る事態」が現実的な定義と言えると
記されています(「BPSDの概念と対応」,西村浩)。

さらに、BPSD(周辺症状)の治療として、まずは非薬物的アプローチを
とるべきであるとされ、すなわち、環境調整、光療法、音楽療法
ペット療法、運動あるいはダンスなどを含む活動療法を優先すべきである、
と続き、様々な対応策が無効な場合に初めて薬物療法が選択される
ことになると記されています。

以前、同じ日本老年精神医学会において、薬の副作用として
BPSDが現れることがあるという研究発表があり、
専門医がまずは非薬物的治療を優先されている現状がみえます。

認知症の方々を対象とした音楽療法の研究が近年増加傾向にあります。
今後も専門分野の連携と共に個別性の高い研究内容が期待されています

「のど自慢」とともに

2009-09-04 22:36:51 | 音楽雑記
夏に田舎へ帰った日曜日
老夫婦は食後のひと時を「のど自慢」で過ごしていました

その場を共にしていると、まるで二人はその会場に
いるかのように、時には口ずさみ、参加者の様子に笑い合うなど・・・
ある歌の時、その時の共有された思い出話が何気なく始まりました。

「この歌を聞くと、病気していた時のことを思い出すなぁ」
「仕事ができなかったから先行きが心配やったなぁ」
二人はその曲をきっかけに「その時」の話に花が咲きました
「不思議ないのちをいただいて、こんなに長生きできるなんて・・」

最後にゲストの歌手の方が歌われる時に大変驚きました。
伴奏者の方々は演奏されておらず、カラオケになっていました。
生演奏が無い時に、空演奏としてカラオケは始まったのですが・・・

カラオケでは得られない素朴な伴奏によって
「声が主役」になる魅力があったと思っていますが・・・。

SEIQOL-DWの特別セミナー(神戸)のお知らせ

2009-09-03 21:01:13 | 研究関連
SEIQOL-DWの特別セミナー(神戸)のお知らせをいたします

独立行政法人国立病院機構新潟病院臨床研究部の岩崎広子様より、
特別セミナーのお知らせをいただきました。
ご了解を得て掲載させていただきます。
SEIQOLは個人の生活の質評価法です。
関西での開催は貴重な機会になります

*****SEIQOL-DWの特別セミナー*****

特別セミナー『医療における個人の生活の質(QOL)評価と実習』
日時:2009年10月17日(土) 10時30分~16時45分
場所:社団法人 兵庫県看護協会
対象者:ケアに関わるあらゆる職種
参加費:無料
定員:60名
申し込み先:(ファックス)0257-22-7677又は岩崎様のメールへ
      ご氏名・ご所属・連絡先(e-mailまたはFAX)をご記入下さい。
お問い合わせ:岩崎広子様 E-mail:hiwasaki@niigata-nh.go.jp
主催:特定疾患患者の生活の質(QOL)の向上に関する研究班(研究代表者小森哲夫)

小さい秋みつけた♪

2009-09-02 23:52:00 | 音楽雑記
9月に入り、2ヵ月毎のカレンダーも残すところ、あと2枚になりました。
街の風景や音色などの「小さい秋」をみつけては
日本の四季折々の感慨を覚えています

緑がかったどんぐりの実、夏の終わりを告げるツクツクボウシ、
秋を感じる風、夜長に付き合う虫の音、梨や栗の秋の味覚、
思わず口ずさむ・・♪だ~れかさんが・・・小さい秋み~つけた

季節が移ろう時に、一抹の寂しさと心待ちにする楽しみが
入り混じる複雑な感情に気づきます。

秋の七草、重陽の節句、敬老の日(敬老週間)、秋分の日など・・
日々の暮らしに寄り添う季節をたっぷりと感じながら、
楽しく、心穏やかな「音楽のひと時」を楽しみにしています

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防災の日に流行歌を想う

2009-09-01 18:03:59 | 音楽雑記
大正12年9月1日の正午前、関東を中心に大地震があり、
未曾有の被害をもたらした関東大震災の日が今日になるそうです。
少しでも日ごろの備えを意識するために「防災の日」とされています

大正10年頃から船頭小唄が流行し始め、
この歌を題材にシナリオを書いた映画が大ヒットしたようです
経済恐慌で不安な社会に添うように、人間の侘しさ、
哀しさを歌ったと言われています。

未だラジオがなく、人から人へと口承されていった
船頭小唄が大流行だった時に大地震が起こり、
この歌と因果関係があったように噂されたそうです。

・・・ともあれ、日本は地震国であることを、
耳にする地震のニュースから、日々自覚することになります。