音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

認知症の非薬物的アプローチ(2)

2009-09-06 13:24:11 | 研究関連
昨日に続いて、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害など)以外の
周辺症状(BPSD)に関する老年精神医学雑誌による情報です

「家族や周囲の人たちが対応に困る事態(西村浩)」と言われる周辺症状には、
妄想、幻覚、抑うつ、不安などの心理症状と
身体的攻撃性、徘徊などの行動症状に分けられます

神経内科医は麻痺、失認、失行などの神経症状への対応を求められるが、
精神科医は幻覚、妄想や暴力行為などの精神症状への対応が求められる
と記されています。

先ず、非薬物療法として慎重な検討が出発点になり、軽度なBPSDであれば、
家族などの介護者の支持を得て、非薬物療法および環境調整を行えば、
効果的な治療ができるとして、以下の内容(朝田隆)を示しています。

①患者との意思疎通法(肯定的な表現と短く簡素な内容で伝えること・
 言語以外でもほめたり励ましたりすること)は治療効果を高める
②患者の身体的な状態を把握する(便秘、空腹などに適切な対処)
③不安や恐怖などの環境要因の有無を検討し、それを回避する
④能力の低下などにより、さまざまな事態に対処できなくなったことに、
 本人がいらだちや怒りを感じていることを理解する
⑤首尾一貫した対応をしてもらう
⑥軽食・運動には気分転換の効果があり、音楽や散歩は
 不安やストレスを軽減することをしってもらう
などを行っても症状が安定しない場合に、薬物療法が適応になります

ただし、ケア専門職は援助技術として学んでいますが、家族が介護者となる
場合には、家族自身のメンタルケアに社会の支援が必要になります
家族会や地域による情報提供および介護相談などの充実が求められます。

参考文献
老年精神医学雑誌2009/vol.20「老年精神医学の臨床最前線」,ワールドプランニング