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友人 その2 U-ZOの流儀

2010-11-20 15:24:40 | 日記
今日は前回紹介した私の友人シリーズ2、U-ZOさんについて取り上げる。

彼の経歴のスタートはジャズ・ドラマーだと聞いているが、私が出会った当時から
いつもブルースをいっしょに演奏してきた。
もちろん、いっしょにジャズをやったこともあるのだけど、彼のレベルが高すぎる
というか私のジャズの演奏レベルが低すぎてコラボにならなかったんだけど。

演奏している時は、だいたいがドラムの前にギターが陣取るものなので、
いっしょに演っている時の彼の姿はあまり見るチャンスがない。
せいぜいアイ・コンタクトをとるくらいなので顔を見たしか記憶がない。

ところが先日は私は彼のバンドのゲストだったので、自分の出番がくるまで
彼がドラムをたたく姿を見ることができた。
もちろん彼の演奏を観客席から見るのは初めてではないが、ドラムの人って
不幸なことに、体半分しか見えないでしょ。だからヘビ・メタルであれば、
下半身丸出しで演奏しても警察にしょっぴかれることはない(笑)。

まあ冗談はさておき、先日の演奏は比較的狭いところでしかも、私が
少し上からのぞける構造の場所だったので、めずらしさもあり、また彼の
バンドなので彼がMCを担当しており、そういう意味でも目が自然といったんだよね。

そういう彼を見て改めて気がついたことは、「実に姿勢がいい」ということである。
背筋をシャンと伸ばして、手を振り回すというよりも、背中で叩いている感じ。
無駄な力が一切入っておらず、バウンドとか重力とかを利用して上下の振子運動の
ような往復の軌道にのっている感じ。そして適格なタイミングで、狙ったドラム
セットのひとつにショットをもっていっている感じ。

実はギターでもそうなのだけど、正確なストロークを刻むには、ひとつの音を
狙っていっては絶対だめ(少なくとも私は)。そうではなくてまず手を上下に
ふって、ある一定のリズムの上下の振子運動をつくってやって、そのタイミング
をあわせてストロークするのが正しいと思う。
ブルースはシャッフルというリズム(あのスッタ、スッタって感じ)
が主体になるのだが、「スッ」のところはダウンストローク、そして
「タ」のところはアップストロークでやる。両ストロークのタイミングを
含めて、音色、アタックなどは人それぞれなのでそれが、その人の個性としての
シャッフルビートとなる。上下均等にストロークすれば、それはシャッフル
ではなくエイト・ビートになる。

と、ギター的余談が長くなってしまったが、U-ZOさんの姿勢の良さから
私はメジャーリーグのイチロウ選手を思い出した。
彼はメジャーに移籍する際にフォームの変更を行ったようだが、
あのバッター・ボックスに入った時の「日本刀を月にかざす」ような
儀式と背筋がシャンと伸びたフォームは変わっていない。

丹下作善ばりのあの儀式も彼のバッターボックスでの立ち位置と
心をさだめるための大切な流儀なのだろう。

同じく楽器演奏にも、ミュージシャン独自の流儀が必ずある。
そういった視点からミュージシャンを見ることも楽しい。
アイドルのダンスだって、同じような踊りをやっていても
みんなちがうでしょ。それは彼らに流儀があるからだと思う。
そしてその流儀こそ訓練によって体得してゆくものなのだ。

だって、楽器でもスポーツでもへたくそな奴はだいたいフォームが
悪いもの。

ドラムは他の楽器にくらべて、よりフィジカルな要素が大きい。
そのサウンドのひとつひとつが、彼らのモチベーションや心の
ありようを因果的にフォームによって示している。
本当はギターだってそうなのだろうけど、あまりに動きがちまちま
していてわかりにくいのだが、ドラムの場合はフォームを矯正して
やることによって技術を上達させていくことが出来ると思う。
(あくまで推測だけど。)

U-ZOさんにも独自の流儀がありそのフォームは限りなく美しい。
したがって、彼のサウンドは美しい。


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