沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中城村・北中城村の現状と広域処理の概要

2016-02-22 12:17:14 | ごみ処理計画

今日は広域処理を検討している浦添市と中城村・北中城村のごみ処理の現状と広域処理の概要を整理してみます。

まずは、下の一覧表をご覧下さい。 

原寸大の資料(画像をクリック)

 浦添市は県内では2番目に人口密度の高い自治体ですが、広域処理を行うことによりごみ処理の対象区域が約2.4倍に増加します。1市2村による広域処理は浦添市に可燃ごみを処理する広域施設を整備する予定になっているため、浦添市としては処理対象人口が約30%増加します。しかし、処理対象区域が約240%増加するので、市外に他のごみ処理施設を整備することが可能になります。

特に、浦添市が課題としている最終処分場の整備を行う場合は、常識的に考えて北中城村に整備することになるので、広域処理のメリットは1市2村の中では一番大きくなると考えます。

次に、中北組合のごみ処理施設がある中城村は可燃ごみの焼却施設が村の中心部から直線距離にして4倍以上遠くなりますが、広域施設が完成すればごみ処理施設のない自治体になるので、広域処理のメリットは小さくはないと考えます。

北中城村は可燃ごみの焼却施設が村の中心部から直線距離にして5倍以上遠くなり、しかも、最終処分場の整備が必要になった場合は村内に整備する可能性が高いので、広域処理のメリットは1市2村の中では一番小さくなると考えます。

なお、浦添市はこれまで一貫して廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理を行ってきており、広域処理においても当然のこととして基本方針に従ってごみ処理を行っていくことになります。その意味では「保守系」の自治体と言えます。

一方、中城村と北中城村は平成26年度から廃棄物処理法の基本方針には従わずにごみ処理を行っているので「革新系」の自治体と言えます。しかし、広域処理を行う場合は「保守系」の自治体に戻らなければなりません。なぜなら、「保守系」に戻らないと広域組合は国の補助金を利用して広域施設を整備することができなくなるからです。

これは、「保守系」の浦添市としては広域処理を行うための絶対条件になります。

ただし、中城村と北中城村が「保守系」に戻ると、最終処分場の整備が大きな課題になります。なぜなら、1市2村が広域組合を設立すると県内(本島)においては唯一最終処分場を整備していない自治体になるからです。

仮に、広域組合が最終処分場の整備を行わないごみ処理計画を策定する場合であっても、「保守系」の自治体としてごみ処理を行う場合は廃棄物処理法の基本方針に従って最終処分場の整備を課題として抽出しなければならないことになっています。

したがって、1市2村における広域組合においては、組合が存続している間は北中城村は常に最終処分場の整備に関するプレッシャーを受け続けることになります。

そのことを広域処理に関する事務処理を行っている北中城村の職員の皆さんがいつどのような形で議会や住民に周知して、どのような形で合意形成を行うのか、タイミングを間違えると広域処理が「白紙撤回」になりかねない極めてデリケートな事務処理になるので、これからも注視していたいと思います。

ちなみに、このブログの管理者は広域処理が「白紙撤回」になったケースを数多く知っていますが、「コスト」の問題よりもこの「構成市町村の役割分担」の問題で「白紙撤回」になるケースが圧倒的に多い状況になっています。

なぜなら、「コスト」の問題は諦めることができますが、「役割分担」の問題はYESかNOかを迫られる問題であり住民感情を激しく刺激する問題だからです。

なお、浦添市にとっても、最終処分場の整備の問題は避けては通れない問題であり、広域処理が「白紙撤回」になると大きなメリットを失うことになるので、「構成市町村の役割分担」をウヤムヤにしたまま覚書を締結することは避けるべきだと考えます。

ということで、最後にもう一度一覧表をご覧になってみて下さい。ちなみに、1市2村が広域処理を行う場合は人口密度が県内で5位になります。

原寸大の資料(画像をクリック) 

 

下の画像は読者の皆さんに浦添市(左)と中城村(右下)と北中城村(右上)の位置と大きさ(面積の違い)を確認していただくためにアップしました。中北組合のごみ処理施設は中城村にあり北中城村との境界に近い場所に位置していますが、広域処理が実現すると浦添市の最西端の位置に広域施設を整備することになります。

なお、平成20年度に終了した沖縄県の広域化計画においては浦添市は「南部」のブロックに入っていました。中城村と北中城村は「中部」のブロックですが、画像にあるように隣接していない市町村が広域処理を行うというのは極めて珍しいケースであり、このブログの管理者は他に例を知りません。

この1市2村には最終処分場の残余容量が国の目標(約20年分)に達していない沖縄県において最終処分場の整備を行っていないという共有点があります。

しかも、間にある宜野湾市や西原町を飛び越えて広域処理を行うことを検討しています。

その意味では1市2村が設立する広域組合は「保守系」であっても「革新系」に限りなく近い自治体と言えるかも知れません。

※北中城村の村長は中城村との合併に反対して立候補して当選しているので、もしかすると、村の将来のことを考えて広域処理を選択肢から除外する可能性もあると考えています。その場合、中城村は中北組合を解散して浦添市との広域処理を選択するかも知れません。ただし、そうなった場合は、今度は中城村が最終処分場の候補地になります。 

一般廃棄物の最終処分場の残余容量