市町村にとってごみ処理施設を整備する事業は多額の予算が必要になるため、廃棄物処理法の基本方針や国の補助制度等を熟知している職員が事務処理を担当することになります。
特に、広域処理によって新たにごみ処理施設を整備する場合は、関係市町村のごみ処理計画との調整も必要になるので、事務処理に当たって細心の注意を払う必要があります。
しかし、市町村の中に廃棄物処理法の基本方針や国の補助制度等に精通している職員はいても、広域処理に関する事務処理に精通している職員は滅多にいません。
なぜなら、広域処理については都道府県が中心になって行う事務処理だからです。
そこで、広域処理を検討している浦添市と中城村と北中城村のために、広域処理に関するチェックリストを作成しました。
本来であれば、このようなチェックリストの作成は沖縄県の職員の事務処理になりますが、県は平成20年度に広域化計画を終了しているので、県の職員に代わってこのブログの管理者が作成することにしました。
このチェックリストについては廃棄物処理法の基本方針に適合していないごみ処理計画を策定している中城村と北中城村の方が複雑な事務処理を行うことになるので、浦添市よりも先に説明させていただきます。
なお、このチェックリストは中城村と北中城村が中北組合の溶融炉を代替措置を講じずに廃止する前提で作成しています。
まずは、下の画像をご覧下さい。例によって文字が小さくて読めない場合は原寸大の資料をズームアップしてご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
このチェックリストは村の議会がチェックする形になっています。
なぜなら、村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していないため、行政と議会による二重のチェックが必要になると考えたからです。
中北組合の溶融炉を代替措置を講じずに廃止する場合は、広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設(青葉苑)を廃止することになるので、補助金の返還が必要になります。しかし、村の職員がそのことに気付いていない可能性もあります。したがって、まず、来年度の予算をチェックする必要があります。
広域処理に関する事務処理が順調に進むと平成30年度には青葉苑を廃止して補助金を返還することになるので、このチェックはかなり重要になります。
次に重要なのは、村がごみ処理計画の見直しを行わない可能性があることです。一般的に言って市町村のうち人口の少ない村は、ごみ処理計画の見直し等に関する事務処理を軽視しているところがあります。しかし、これから村が広域処理を推進して行く場合はごみ処理計画の見直しは不可欠になります。
なぜなら、平成26年3月に改正した村のごみ処理計画には広域処理に関する検討課題は書き込まれていないからです。
次に重要なのは、広域処理が実現した場合の1市2村の役割分担、そして、広域処理が実現しなかった場合の村(村民)の選択肢に関するチェックになります。このチェックを怠ると住民の反対運動等の「火種」になる可能性があるので、時間をかけて十分にチェックを行う必要があります。
あとは、県や国の事務処理に関するチェックになりますが、国や県においてもごみ処理施設の整備や広域処理に関する事務処理に精通している職員は少ないので、村の職員が国や県の職員から間違った指導を受けていないかチェックをしておく必要があります。
以上が中城村と北中城村における広域処理に関するチェックリストの説明です。
次は、浦添市です。
下の画像をご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
浦添市の場合は、広域処理に関する市のリスクが過大であると判断した場合は、単独更新に改めてもあまり大きな影響はないので、現時点では行政がチェックすれば足りると考えました。
ただし、議会としては市のチェックを確認しておく必要はあると考えます。
浦添市にとって重要なのは、中城村と北中城村が広域組合を設立する前に青葉苑を廃止することになるため、中城村と北中城村の可燃ごみの処理に対する「外部委託」のリスクを両村と共有することになることです。また、広域組合としては変則的なごみ処理計画になるので、環境省の承認が受けられるかどうかを事前に確認しておく必要があります。
次に重要なのは、中城村と北中城村が補助金の返還を回避するために休止している溶融炉を再稼動することを決めた場合になります。ただし、その場合は浦添市はほぼ間違いなく広域処理を選択肢から除外することになるので、チェックはここで終わりになります。しかし、このブログの管理者は中城村と北中城村が溶融炉を再稼動する可能性はないと考えているので、青葉苑を廃止する前提で説明を続けます。
しつこいようですが、平成26年3月に改正した中城村と北中城村のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していません。
また、広域処理に関する検討課題も書き込まれていません。
したがって、両村がごみ処理計画の見直しを行わなかった場合は広域処理に関する覚書を締結した場合であっても、法制度上は無効になります。
あとは、中城村や北中城村と同じように、念のため国や県の指導内容をチェックしておく必要があると考えます。
なお、広域処理は人口が多く広域施設を市内に整備することになる浦添市が中心になって事務処理を行っていくことになるので、最終処分場の整備に関する課題についてしっかりとチェックをしておく必要があります。
浦添市は市のごみ処理計画において最終処分場の整備を課題として抽出しているので問題はありませんが、中城村や北中城村がごみ処理計画の見直しに当たって最終処分場の整備を課題として抽出しなかった場合は、廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することができなくなるので、広域処理に関する覚書の締結さえもできないことになります。
なお、広域組合において新たにごみ処理計画を策定する場合であっても、廃棄物処理法の基本方針に従って最終処分場の整備については課題として抽出することになります。その場合は、常識的に考えて北中城村が最終処分場の候補地になるので、そのことを北中城村に対して事前に周知して北中城村に覚悟を決めておいてもらう必要があると考えます。
なぜなら、広域処理においては、この構成市町村における役割分担が極めて重要な問題になるからです。
以上が浦添市における広域処理に関するチェックリストの説明です。
このブログの管理者は中城村と北中城村が代替措置を講じずに溶融炉を廃止する場合(広域組合を設立する前に補助金を返還して青葉苑を廃止する場合)は広域処理が「白紙撤回」になると考えていますが、それを決めるのは浦添市になるので、浦添市が代替措置を講じないことに同意した場合を想定してチェックリストを作成しました。
※代替措置の問題はともかく、広域処理については関係市町村の役割分担に関する協議が整わない間は、覚書を締結しても無駄になると考えています。