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心の成長について

2011-06-02 21:57:55 | インポート
  私たちが、喜んだり、悲しんだり、怒ったりしたときの表情は、民族や文化の違いに関係なく、ほとんど同じような表情になるといわれています。それどころか、幼い子どもでも、先天的に耳も聞こえず、目がみえない子どもも、嬉しいときや悲しいときには同じような表情をすることが報告されています。
 こうした、喜び、驚き、悲しみ、怒り、嫌悪などは発達心理学では基本情動といわれます。この基本情動は生まれてから周囲の人たちの反応や学習によって模倣されるのではなく、生まれた時にはすでにプログラムされているものだといわれています。
 私たち人間は、他の動物と違って、自立して生活できるようになるまでに長い年月を要します。牛や馬は誕生するとすぐに立ち上がり、歩くことができます。ところが、人間の子どもは母親かそれに変わる保護者が何年もの間世話をやいていないと育ちません。赤ん坊が、愛らしい表情をプログラムされて生まれてくるのは、周りにいる人たちが思わず世話をやきたくなるような気持ちにさせるためだともいわれています。  
 母親が言葉を介さずに我が子が何を望んでいるか通じるように、情動は重要なコミュニケーションの媒体としての機能を持っていますが、年齢とともに発達します。
美しいものを見たり聞いたりすることで感情が豊になり、社会の決まりやマナーを学ぶことで、規範意識や道徳観が発達し、他人に迷惑をかけないような行動を身に付けていきます。また、困難なことをやり遂げることで、誇りや満足感を得ることができるようになります。
 情動を制御することもおぼえてきます。気にくわないことがあったからといって、すぐに泣き出さずに、我慢することをおぼえます。叱られたり、褒められたりすることで、やって良いことといけないことを区別できるようになります。生まれて一年もしないうちに、子どもは母親の表情から自分の行動を制御できるようになるといわれています。逆にいうと両親のしつけや子どもが生育する環境の価値観や文化の違いによって、情動の成長に差があるということです。アメリカの母親は子どもが自己主張することを褒めますが、日本の母親は周りの子ども達と仲良くすることを重視するため、どちらかといえば自己主張を叱る傾向があるといわれています。 
 私たちが、一人の社会人として自律するためには、喜怒哀楽などの情動をコントロールすることができなくてはなりません。また、他の人と良好な関係を築くことができなくてはなりません。心が成長するということは、保護者や友人など周りの人を傷つけることなく、また、迷惑をかけないようにすることなのです。

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