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子どもの学力を向上させるご褒美のあげ方 №235

2015-09-15 16:38:38 | 日記
 教育経済学者中室牧子氏の ”「学力」の経済学 ” という本がとても興味深かった。ハーバート大学フライヤー教授によるご褒美が子どもの学力にどのような因果関係をもつか明らかにしようとする研究が紹介されていました。
(1)結果に対してご褒美をあげる方法
   テストの点数が上がったり、通知票の成績が上がったらご褒美をあげる。 
(2)努力に対してご褒美をあげる方法
   宿題をきちんとやる。決められた時間だけ勉強をする。学校の規則を守る。読書をさせる。
 結果は、圧倒的に努力に対してご褒美をあげることで成績が向上したということです。特に、本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇が顕著だったということです。
 何故でしょうか。勉強の仕方を知らないと、子供たちはどうしたら成績が上がるかわからないからです。やるべきことが明確に示されていることにご褒美をあげることが効果的だということです。しかし、ご褒美を与えて勉強させることは、勉強することの本来の楽しさを育てないのではないかという疑問がわきますが、調査の結果では、弊害はないということです。ただし、低学年ではお金でご褒美を与えるよりは、トロフィーなどで褒められることを喜び、中高校生いじょうはお金が効果的だったということです。
 また、「やればできる」という励ましで自尊心を高めることで、学力は向上させられるか?という問いに対しての答えは、「ノー」だということです。フロリダ州立大学のバウマイスター教授等の研究によると、「自尊心が高いから学力が高いのではなく、学力が高いから自尊心が高い」のであって、「やればできる」というようなメッセージは逆に成績を下げてしまう場合もあるということです。むしろ、「よく頑張ったね」と、「努力」をほめるほうが効果が高いということです。
 このほかにも、母親が子供に対して、「勉強しなさい」と言っても、ほとんど効果はなく、反発を生んで逆効果になる場合もあるが、父親がいうとそれなりに効果があるということや、非認知能力を高めることが学力向上に欠かせないということなどが、すべて統計と調査の裏付けをともなって書かれています。
 学力向上を願う保護者や教育関係者にとっては、是非一読して欲しい本だと思います。
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