心理カウンセリング ウィル

ご相談はホームページの予約申し込みフォームからお願いします。
 

身長が高いほどがんリスクも高い №276

2020-01-24 11:25:54 | 日記
 肥満が、肝臓がんや、大腸がん、乳がん、膵臓がんなどのリスクを高めることは、よく知られいますが、身長が高くなるほどがんのリスクが高まることは知られていません。
 日経サイエンス社刊、知っておきたい「がん講座」(中川恵一著)によると、イギリスの中年女性130万人を9年間追跡し、分析としたところ、大腸がん、乳がん、子宮体がん、卵巣がん等がん全体で、身長が10センチ高くなるごとに、16%ずつリスクが高まるという結果が出たということです。
 アメリカ、ヨーロッパ、韓国の男女を対象にした大規模調査の分析でも、身長が10センチ高くなるごとに、がん発症リスクが10%高くなるという結果が出たということです。
 日本人ではどうなのでしょうか。国立がん研究センターが11万人を19年間にわたって追跡調査した結果、日本人男性は、身長が168センチ以上の群は、160センチ未満の群より、がん全体の死亡リスク17%高く、身長が5センチ高くなるごとに、4%リスクが高くなるということです。
 なお、日本人女性では身長によるがんリスクの差は見られなかったということですが、卵巣がんに限って、156センチ以上の群は149センチ未満に比べて死亡リスクが、2.2倍も上昇するということです。
 なぜ、身長が高いとがんリスクも高いのでしょうか。一つの説は、高身長の人は、細胞分裂を促進する「インスリン成長因子」の値が高く、それががんリスクにつながるのではないかということです。もう一つの説は、背の高い人ほど体内の細胞数が多いため、突然変異を起こす確率も高いという説です。
 いずれにしろ、体重は減らすことはできますが、身長を変えることはできませんので、心配しても仕方ありません。それよりも、飲酒や喫煙などのがんを予防する生活習慣を身につけた方が遙かに効果があるようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋のベネルクス三国(8)アムステルダム №267

2018-04-01 13:47:24 | 日記
第7日目 2017年10月30日(月)晴れ ラディソンBLUアムステルダム・エアポート・ホテル
1 飾り窓とドラッグとツアーホテル
 オオランダでは、同じホテルに2泊しました。スキポール空港近くなので、帰りのアクセスは良いのですが、アムステルダム市街にはタクシーで30分以上もかかる不便な場所です。ましてや、最終日の午前中は3時間近く何にもすることがなく、オプショナルツアーも組まれていません。市内のホテルに宿泊すれば自由に行動できたのにと思っていましたが、成田空港に到着してから、初めてその理由が解けました。飛行機から降りて手荷物受け取り場所で待っていると、係官にひかれた麻薬犬がやにわに乗客の間を嗅ぎ回り始めたのです。そう、オランダでは売春とドラックが合法だったのです。だから、麻薬犬がオランダ帰りの乗客がドラッグを所持していないか、検査をはじめたのです。添乗員は何も話しませんでしたが、ツアー客が、夜の自由時間にホテルから出てドラッグを買ったりして、不測の事態を招かないよう、わざわざ、私たちを街の中心から遠ざけたのです。


2 マヘレの跳ね橋  
 出発するまでの3時間の間に何とか観光できないかと思っていたところ、同じ思いを持っていた人がウーバを利用して、ホテルまでタクシーを呼んでくれ、昨夜見られなかったマヘレの跳ね橋を見学することができました。
 マヘレノの跳ね橋は、アムスステルダムで最も有名な橋です。1691年に架けられた当時からマヘレの跳ね橋(やせっぽちの橋)と呼ばれていて、現在の橋は1934年に架け替えられたものだということです。以前は、橋の開け閉めをする係りが常駐していたそうですが、今では、自動制御で開閉を行っているとうことです。橋は、その美しいライトアップでもよく知られているようです。
        

 2017年10月30日(月) 14:30 アムステルダム・スキポール空港発
 2017年10月31日(火)  8:45 成田空港着(フライト時間約11時間15分)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋のベネルクス三国紀行(7)アムステルダム №266

2018-03-25 12:40:02 | 日記
第6日目2017年10月29日(日)晴れ ラディソンBLUアムステルダム・エアポート・ホテ発9時 

    
1 クレラー・ミュラー美術館
 オランダ最大の敷地からなるデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園はゴッホの森ともいわれ、ちょうど黄葉が美しい季節でした。この国立公園内にある美術館です。実業家のアントン・クレラー・ミュラーと、その夫人のコレクションで、87点におよぶゴッホに関するコレクションで知られ、アムステルダムのゴッホ美術館とならび、2大ゴッホ美術館といわれています。ゴッホだけでなく、ルノワール、セザンヌ、ピカソなど数々の名画を所蔵していて、見応え十分です。広大な敷地の屋外に彫刻が散在する方法は、日本の「彫刻の森美術館」が参考にしたということです。
 ゴッホの主な作品は、『アルルの跳ね橋(ラングロワ橋)』、『夜のカフェテラス』、『種まく人』、『糸杉と星の見える道』などです。献身的にゴッホを支えた弟テオは、ゴッホの死後後を追うように死んでしまいました。しかし、弟の妻がゴッホの絵を管理し、世に出した、というお話しをしてくれた日本人ガイドさんの解説がとても感動的でした。
    

2 アムステルダム観光
 オランダの首都アムステルダムは、運河沿いに立ち並ぶ建築群の美しさが有名な水の都です。その歴史は、13世紀までさかのぼります。アムステル川河口の浅瀬を埋め立てた干拓地に小さな漁村が作られたのが始まりということです。
    
①アムステルダム中央駅
 近隣の国からの列車も接続しており、ドイツからのICEもこの駅に着きます。駅の中には、スーパーマーケットも入っています。

    
②17世紀の運河地区(世界遺産)
外縁のシンゲル運河よりも内側にある運河群は、その運河に沿って均質的な建造物群が並び、オランダ黄金時代の優れた都市計画を今に伝えている。2010年に「アムステルダムの歴史地区」 として世界遺産に正式登録された。
 登録対象となっているのは、プリンセン運河、ヘーレン運河、ケイザー運河、内側のシンゲル運河の4運河とそれに沿う街路。

    
③ アムステルダム国立美術館
 17世紀オランダ絵画が充実しています。収蔵作品は、レンブラントの『青年期の自画像』『夜警』 『イサクとリベカ、別名ユダヤの花嫁』。フェルメールの『牛乳を注ぐ女』、『手紙を読む青衣の女』、『小路』、『恋文』などです。
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋のベネルクス三国紀行(6)オランダ №265

2018-03-21 10:04:46 | 日記
第5日目 2017年10月28日(土)15゜ 曇り ホテル「ノボテル セントラム」発 8:20
    
 オランダである。しかし、英語表記ではネーデルラントNederland(低い土地)で、国土の4分の1が海面より低い土地であることからきた国名である。その海面すれすれの湿地をドイツから輸入した人間の頭位の石を一つずつ並べるという途方もない労苦を重ねて今の国土を造ったということです。だから、オランダ人は神が世界を造ったというカトリックの教えを信じなかったという。
 司馬遼太郎の「オランダ紀行」によれば、17世紀オランダ人一般が自立主義や合理主義、あるいは近代的な市民精神を持つに至ったのは、彼らが商業民族であったことと、プロテスタンティズムの浸透による。しかし、それは、血みどろの戦いを経た。この間オランダを支配していたカトリック国スペインと戦わければならなかった。その結果、16世紀末に独立し、同時にオランダは飛躍した。
 オランダの面積は九州ほどで、現在の人口はおよそ1700万人。経済規模は日本の7分の1だが、一人当たりGDPは14位で日本の22位より上である。しかし、17世紀当時、人口200万人に過ぎなかったオランダは、その圧倒的な航海技術としビジネスセンスにより、世界に君臨した。アメリカの歴史学者ウォーラーステインによると、歴史上、最初のヘゲモニー国家がオランダである。ヘゲモニー国家というのは、軍事力ではなく、圧倒的に強い経済力によって一時的にほかのすべての国に対して相対的に優位に立った国のことである。ちなみに、18世紀のヘゲモニー国家はフランス、19世紀はイギリス、20世紀はアメリカである。

    
1 キンデルダイク
 キンデルダイクは風車で有名である。国土の4分の1が海面よりも低いオランダにおいて、排水システムは最も重要な問題であり、その国土で生活するためには欠かすことができない。アルブラセルワールト地方では、13世紀から排水の問題が発生していた。オランダ人は、干拓地に過度の水が入らないように大規模な運河を掘ってきた。
 オランダ人は風車を建設し、水面がある一定の高さに到達した際に風車のポンプを利用することで水面の維持を図った。また、ポンプによって川に排水された水は再利用が可能となった。とはいえ、人間の力では水面を完全にコントロールすることは不可能であり、オランダは過去に深刻な洪水の被害を何度も受けている。

    
2 ハーグの国際司法裁判所
 ハーグはオランダの行政都市で、政府機関、各国大使館、オランダ王室などがある、落ち着いた佇まいの緑豊かな町。国連機関などもある国際的な都市ですが、北海沿岸の有数なリゾート地であるスヘフェニンゲンの海岸もあり、夏場は多くの観光客で賑わうということです。1899年と1907年国際平和会議が開かれたところで,平和宮には、最近退職した皇太子妃雅子様の父君小和田恆氏が判事をしていた国際司法裁判所があります。

    
3 ハーグのマウリッツハイス王立美術館
 ついに、フェルメールとオランダで出会うことができました。世界に三十数点しかないフェルメールの作品のうち3点がある美術館で、なかでも、『真珠の耳飾の少女』(青いターバンの少女)』(1665年頃)は、この絵をモチーフにしたトレイシー・シュヴァリエの小説(のちに映画化)で一躍有名になった作品。
 『デルフトの眺望』(1660 - 1661年頃)は、プルーストの『失われた時を求めて』に重要なモチーフとして登場する絵画である。他にも、レンブラント『テュルプ博士の解剖学講義』(1632年)、「自画像」(1669年)等がある。
 建物は、17世紀半ば、ヤーコプ・ファン・カンペンの設計で建てられたもので、オランダ古典様式建築の代表作とされる。館名はここに住んだナッサウ=ジーゲン侯ヨハン・マウリッツ(1604年 - 1679年)にちなむ。
 コレクションはオランダ総督ウィレム5世と、その子のオランダ初代国王ウィレム1世の収集が中核となっている。王立美術館として開館したのはウィレム1世の時代、1822年である。美術館の規模はさほど大きくないが、オランダ絵画をはじめ珠玉の名品を収蔵することで知られる。
    


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自閉症を生きた少女~思春期編~について №259

2017-09-04 16:19:47 | 日記
 天咲心良著「COCORA~自閉症を生きた少女2~思春期編」(講談社刊)は、小学校編の続編で、小学校を卒業した作者の海外留学とその挫折が描かれています。作者はおそらく知的障害を伴わない自閉症スペクトラムのため、周囲が障害とは思わないで接していました。両親や祖母や姉の言いつけにしたがうことができず、わがままだとか、生意気だとか、あらぬ誤解を受け、家族からほとんど虐待と言っていい扱いを受けて育ちました。そして、小学校を卒業すると、家から放り出されるように海外留学に出されます。
 たとえ、障害がなかったとしても、英語もほとんど話せないわずか12歳の少女を、単身で留学させる両親というのはどのような人たちなのでしょう。善意に解釈すれば、少女の両親は、障害を持って生まれたとは思わなかったため、外国留学させれることで自律心が芽生え、しっかりしてくれるのではないという親心だったのかもしれません。しかし、単に育てにくい子を厄介払いしたかったとも考えられます。 
 自分の家族と一緒に住んでいても、生育環境の適応に困難を感じている少女にとって、言葉も生活習慣も文化も異なる国で見知らぬ人たちと住むというのは、恐怖以外の何物でもなかったに違いありません。ホームスティ先の子供と初めて留学先の学校へ行きますが、日本語で話してくれる留学生サポートの女性教師の言葉は耳に入ってきません。彼女は、見知らぬ場所にたった一人でいることの不安とパニック、そして、恐らくはそれらの状態からの逃避反応により、無害で不変な自分が理解できるもの、女性教師のブロンドの髪やインテリアに注意がそれ、何も理解することができません。
 彼女は自我を守るために、部屋に引きこもったり、離人症的な状態になったりしながらも、同質性を求めないホストファミリーの優しさや思いやりのある友人に囲まれて、何とか踏ん張り続けますが、ついには力尽きて日本に戻ります。しかし、誰も彼女を温かく迎えてはくれません。よく頑張ったねとも言ってくれません。
 自閉症の人たちが、どれだけ膨大なエネルギーを使って、私たちが「普通」と考えて、何の違和感もなく暮らしている、周囲の環境に適応するために格闘しているのかが、痛いほどに伝わってくる本です。果たして彼女はどのように世界と和解するのか。次作が待たれます。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

嫉妬は身を滅ぼし、羨望は奮起を促す? №258

2017-08-20 12:21:55 | 日記
 世界史を専門とする方から、古代ギリシャが「嫉妬の文化」であったのに対し、古代ローマは「羨望の文化」であったと伺ったことがあります。古代ギリシャは高い文明を持ちながら、小さな都市国家間で互いに覇権争いをして滅びてしまいましたが、ギリシャ文化を羨望していたローマは他国の宗教や文化を柔軟に取り入れ発展していきました。
 「羨望」というのは、自分にはない才能や、美しい容姿、優れた実績、財産などを他の人が持っていることに対して起こる感情で、「ひがみ」や「劣等感」を起こす場合もありますが、自分が努力して対象に近づきたいという「奮起」を促すための動機にもなります。
 一方で、「嫉妬」は相手への「ひがみ」や「劣等感」が、「憎しみ」となって攻撃的になった感情です。「嫉妬を止められない人」(小学館)の著者で精神科医の片田珠美さんは、「私たちが所有している幸福、もしくは所有しているように思い込んでいる幸福を守ろうとするために生じる感情が嫉妬である。」と言っています。そして、「嫉妬しやすい人の特徴」として、次のような人をあげています。①自己中心的な人。②人の好き嫌いが激しい人。③自分の非をなかなか認めようとしない人。④言い訳や不平不満の多い人。⑤自己愛の強い人。
 また、嫉妬が生じやすい状況として、①自分の立場を脅かしかねない部下や後輩に対して嫉妬を抱きやすい。②閉鎖的な人間関係の中で起こりやすい。③兄弟や夫婦など近親関係ではより激しくなる。④同性の者に対して、より嫉妬が起こりやすい。などの特徴をあげています。そして、自分が他の人から「嫉妬」される対象になったら、どのように身を守るかについて以下の7項目を提案しています。①自分の弱さをさらけ出す。②我を張らず、謙遜する。③功は人に譲る。④実績は誇らずに淡々と示す。⑤正当な努力をし続ける。⑥相手をよく分析する。⑦嫉妬される場所から離れる。
 では、自分が嫉妬する立場になったときはどうすればよいのかについて次の7項目を挙げています。①嫉妬している自分を素直に受け入れる。②一つの価値観に縛られない。③「正当な努力」をしてみる。④嫉妬する場所から離れる。⑤自分を他人と比べるのをやめる。⑥多様なつながりをもつ。⑦自分のテリトリーの限界を見極める。
 しかし、漫画家の手塚治虫氏の弟子の石ノ森章太郎氏に対する嫉妬や、俳優の長門裕之さんの弟津川雅彦さんに対する嫉妬、作家の村上春樹氏に対する編集者安原顕氏等の嫉妬の激しさ知ると、私たちが「嫉妬」の業火から逃れるのはそれほど簡単ではない気がします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「憎しみ」をなくす方法 №257

2017-08-02 21:48:41 | 日記
 河出書房新社から出版されている『人はなぜ「憎む」のか』を読みました。作者はアメリカのピューリッツァー賞受作家で、新聞編集者、弁護士等幅広い活動を続けているという、ラッシュ・W ・ドージアJrです。 
 脳はもっとも原始的なレベルで、自分を脅かすものに対する二つの基本的な反応を進化させたといいます。それは、「闘争」か「逃走」です。つまり、「戦うか」、「逃げるか」の選択です。「憎悪」は闘争反応から生じ、「恐怖」は逃走反応から生まれます。
 大昔の人類にとって、「恐怖」は厳しい環境を生き抜くのに役だちました。しかし、文明が進んだ今日、過度に何かを恐れることは心の健康の問題として扱われます。「恐怖」と同じように、「憎悪」には対象をステレオタイプ化しようとする強い傾向があります。「憎悪」で反応するとき、つまり戦いを選択した場合、原始神経システムはある経験を不快なものとして性急に判断を下します。
 例えば、ゴキブリの嫌いな人は、見つけ出して叩き潰すまで執念深く探し回ります。 嫌いなものを徹底的に叩き潰そうという「憎悪」のパワーは、「単純な先入観」に「攻撃性」と「怒り」が合わさって生まれます。原始神経システムによる大雑把な分類の仕方は「憎悪」の特徴の一つである、と作者はいいます。
 私たちが、他者に対して「恐怖」ではなく「憎悪」で反応するのは、「恐怖」を感じても逃げ場がない状況に追い込まれたときだということです。危険が迫り、進退窮まったとき、辺縁系が反応を支配して攻撃に打って出る。それが「憎しみ」に発展していきます。自分を脅かそうとするものに対して、「憎悪」で反応しないようにするための戦略として作者は以下10項目をあげています。
1 怒りや苦しみや脅威の原因を明確にする。
2 最悪の敵対者に対しても共感し、相手の立場になって物事を考えてみる。
3 なぜ怒りや脅威を感じるかを相手に伝える。
4 交渉する。
5 偏見や無知をなくす教育をする。
6 お互いの利益のために協力する。
7 過剰反応せずに冷静に見る。
8 逃げ場をつくり、追い詰められないようにする。
9 敵の懐に飛び込む。
10 復讐ではなく、正義を求める。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

知能とは何か №256

2017-07-20 15:16:40 | 日記
 知能の定義には様々な考え方がありますが、一般的に考えられているのは、①抽象的思考能力が優れている。②学習能力が高い。③新しい環境への適応力が高いということです。つまり、「経験から学んだり、抽象的な言葉で考えたり、環境に効果的に対処する能力」が知能だという考え方です。
 ただ、これでは音楽にすぐれた才能を発揮する人やスポーツで高いパフォーマンスを示す人たち等の能力が評価されていないのではないかと考えたのが、アメリカの心理学者ガードナー(1943年生れ~)です。彼は、知的障害のある人が特殊な領域において優れた能力を示すサヴァン症候群や脳損傷患者などの研究を通じて、人には複数の独立した知能が存在し、それらが協調的に働いていると考える「多重知能論」(Multiple Intelligence : MI理論)を提唱しています。 MI理論による8つの知能は以下の能力です。
1 言語的知能:話しことば・書きことばへの感受性、言語学習・運用能力など
2 論理数学的知能:論理的な分析、数学的な操作、科学的に究明する能力
3 音楽的知能:リズムや音程・和音・音色の識別、音楽演奏や作曲・鑑賞のスキル
4 身体運動的知能:身体全体や身体部位を、問題解決や創造のために使う能力
5 空間的知能:空間のパターンを認識して操作する能力
6 対人的知能:他人の意図や動機・欲求を理解して、他人とうまくやっていく能力
7 内省的知能:自分自身を理解して、セルフコントロールする能力
8 博物的知能:自然や人工物の種類を識別する能力
ガードナーは、紙と鉛筆だけで測るテスト知能だけではなく、それ以外の知能にも目を向けるべきだと主張しています。人には複数の独立した知能が存在しそれらが協調的に働いていると考えました。物理学者とスポーツ選手を単純に比較するような物差しは意味がありません。それぞれの能力が多様であるからこそ、豊かな社会があるのではないでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

根拠のない自信はどこからくるのか №255

2017-06-19 16:53:20 | 日記
 何事にもネガティブに考えるマイナス思考の人がいる一方、何事にもポジティブでプラス思考の人がいます。それは、失敗して傷つくことを恐れる気持ちが強いか、成功体験による満足を得たい気持ちが強いか、という生き方のポジションの違いでもあります。ただ、一般的には、能力の高い人ほど自信がなく、能力の低い人ほど根拠のない自信を持つ傾向があるといわれています。
 アメリカのコーネル大学のデビッド・ダニングとジャスティン・クルーガーの研究によると、
①能力が低い人は、能力が低いために、自分がいかに能力が低いかを理解できない。
②したがって、能力の低い人は他人のスキルも正しく理解できない。
③そのため、能力の低い人は自分を過大評価する傾向にある。
ということです。このように、能力の低い個人が、自らの発言・行動などを実際よりも高く評価してしまう認知バイアスを、二人の名前を取って「ダニング・クルーガー効果」といいます。
 能力の高い人は、自分の能力を正しく認識しているが故に、謙虚で自信がない傾向が強いということになります。しかし、自信がないゆえに、さらに研鑽するためにより成長してゆきます。逆に、能力が低く自分を客観視できない人は、自分を実力以上に評価するため、学習や研鑽を怠り、現状にあぐらをかくため、能力がさらに劣化していくリスクがあります。
 さて、皆さんはいかがでしょうか。ただし、気を付けなくてはいけないのは、この「ダニング・クルーガー効果」について初めて聞いた人の多くが、「自分が該当する」かもしれないということを棚に上げて、「確かに勘違いしている人がいますね。」というのだそうです。しかし、これは「ダニング・クルーガー効果」の一種で「バイアスの盲点」と呼ばれるのだそうです。ご注意あれ、御同輩の方々。
イギリスの哲学者でノーベル文学賞を受賞したバートランド・ラッセルは、「ダニング・クルーガー効果」がイグノーベル賞を貰うずっと前に、「こんにち世界の問題の根本原因となっているのは、愚か者が自信満々である一方、識者は疑念しか持てなくなっていることだ。」と憂えていたということです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

男の子はなぜ乱暴なのか №254

2017-06-18 09:33:51 | 日記
 男の子を育てたことのある多くの母親が一度は感じるのが「なぜ、男の子はこんなに乱暴で、落ち着きがなく、言うことを聞いてくれないのだろうか。自分の子育てが間違っているのか、それとも自分の子はどこかおかしいのではないか。」という疑問だそうです。そんな疑問に応えるのが、PHP研究所から出版されている「男脳がつくるオトコの行動54の秘密」という本です。著者はカリフォルニア大学のローアン・ブリゼンディーン教授で、女性の精神神経医学者です。彼女の研究は、自身が男の子を育てながら感じたことがはじまりのようです。
 研究によると、男の子は生後7ヶ月になる頃には、母親の怒りや恐れの表情を読み取れるようですが、生後12ヶ月になると、母親のそうした表情に「免疫」ができてしまいあっさり無視するようになるという。女の子の場合は逆に母親の怒りに敏感になるということです。実験によると、玩具にさわってはいけないと父親が叱っても、女の子の倍の警告が必要だということです。生後2歳7ヶ月頃になる頃には、親に隠れて禁断のものを追いかけたり、手に入れたりすることを平気でするようになる。玩具の取り合いや取っ組み合いのけんかの回数は、女の子の6倍になるということです。
 なぜ、男の子は競争的な遊びを好み、女の子は協調的な遊びを好むのか。それはホルモンの関係であるということです。テステステロン(支配欲と攻撃性が強く、力強い。これと決めた目標に向かって邁進し、他の男を出し抜こうとする)やMISホルモン(屈強で探索的な行動の回路を形成し、女性的な行動回路を抑制する)が男の子に、動きのある玩具や競技スポーツ、戦争ごっこに誘うという。
 では、いつになったら男脳といわれるホルモンをコントロールすることができるようになるのでしょうか。男性ホルモンの抑制システムが完全に成熟するのは20代前半であるということです。16歳から24歳までの交通事故発生件数が群を抜いて多く、自動車保険の保険料が高くなっているのは理にかなっているといえます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする