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子ども時代の心の傷を癒す №280

2022-12-11 11:23:47 | 公認心理師
 昨年、「親ガチャ」という言葉が流行語となりました。私たちは、誰も親や環境を選んで生まれてくるわけではありませんが、「親ガチャ」という言葉は、当たりではなく、外れと思っている子ども側から語られることが多いように思われます。自分の能力や資質、環境は生まれつきに定められているもので、思い通りにうまくいかないのは、「ガチャに外れた」からだと自嘲的に語ります。
 「親ガチャの外れ」として、虐待や過干渉等の仕打ちを子供に与えたり、薬物中毒やアルコール中毒の親、人格破綻した親、習慣的に子に暴力をふるう親に育てられる子どももいます。こうした家庭は機能不全家族と呼ばれます。機能不全家族で育った子は、本来の年相応の言動が許されない状況で育っていくため、①他人の顔色や迷惑を過剰に気にする、➁良い子でいようとする、③自己肯定感が異常に低くて生き辛さを感じる④ストレス発散法がアディクションで特定の対象への依存に走りやすいなど、「愛着障害」を抱えたまま成長し、大人になってもその障害を引きずる傾向があります。
 幼少期に親など養育者と子どもの間に情緒的なきずなが上手くいかず、信頼関係や親や養育者の愛情を感じられないまま大きくなってしまうと、対人関係や社会生活に問題を抱えやすくなると言われています。大人の愛着障害の人の特徴として、精神科医の岡田尊司先生は、次のような傾向を挙げています。
  ①人間関係の距離感が極端になりやすく、トラブルを抱えやすい
  ②自尊心や自信が持てない
  ③自律神経や胃腸の不調などが続いている
  ④発達障害と似た症状がある  
 大人の愛着形成の課題への対処法としては、①課題や困りごとを整理して具体化する ➁頼れる心理的な安全基地をつくる ことなどが挙げられています。ただ、原因は、複雑に絡み合っていて、なかなか解明できない、あるいは解決できないかもしれません。
 そんな時は、過去に原因を探し求めるだけではなく、自分の今の困りごとはどんなことか、対処法としてどんなことができるのかを考えてみましょう。重要なのは、今困っていることに対して対処法を試し、うまくいく方法を探すことです。同時に頼り先を増やしたり、好きなことに目を向けるなどして自分の心理的な安全基地を少しずつつくっていけるとよいでしょう。
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