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感情の危機管理

2012-11-22 14:38:20 | インポート
 不快な感情を理性的にコントロールする方法として有効なのは、感情そのものではなく、感情を発生させる刺激をコントロールすることが大切で、その方法には大きく分けて2つの方法があると、脳神経外科医の築山博士はいっています。
 一つの方法は、不快を与える刺激を量的に減らすことだということです。与えられた仕事がいやだからといって簡単に仕事を辞めるわけにはいきませんし、苦手な人でも付き合っていかなければならない場合もあります。
 そこで、「嫌なことや面倒なこと」が続くときには、その間や終わりに、自分にとって愉快なことや好ましい予定を入れると、嫌なことや面倒なことを「相対的に減らす」ことができ、感情のバランスを整えることができるというのです。ただし、私たちの「脳」は怠け者であり、常に楽をしようと考えています。目の前にある「嫌なことや面倒なこと」を避けても、今度は他のことも避けたくなるというのです。つまり、あの仕事はやりたくないといって、その仕事から逃れられると、この仕事もしたくないと思うようになり、ついには、仕事そのものをしたくなくなり、人づきあいも面倒だからしたくないというところに行き着いてしまいます。嫌なことや面倒なことも、少しくらいは仕方のないことだと立ち向かっていくことが大切なのです。
 もう一つの方法は、入力された情報に対する解釈(認知の仕方)を変えることです。私たちの感情は、自分が言われたことや体験した出来事に直接結びついているのではありません。その言葉や出来事に対する「解釈」に付随して発生しているものです。たとえば、上司に叱責されて不愉快な気持ちになったとしても、後から、実はその上司が自分に目をかけてくれているからこそ注意してくれたのだと知れば、不愉快な気持ちが逆に、快い感謝の気持ちになります。築山博士はその方法として、第三者の視点で考えることや、マクロ的な視点に立ってものごとをとらえなおすこと、時間軸をたどって長期的な視点に立つことなどを勧めています。
 カウンセリングの世界では、何事に対してもネガティブな考え方を改めるための方法として、「認知療法」や「認知行動療法」がありますが、その方法に似ているかもしれません。
 
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価値観の違いは埋められるか?

2012-11-16 21:20:20 | インポート
 離婚の原因で最も多いのは「性格の不一致」ということのようです。男性の61.4%、女性の44.2%が離婚原因の第1位にあげています。離婚原因の第2位の「浮気」等異性関係によるものが、それぞれ男性17.9%、女性29.4%であるのに比べると、いかに「性格の不一致」による離婚が多いかおわかりになるかと思います。
 夫婦として過ごす長い年月のなかで性格が合わなくなってしまったり、溝ができてしまったというケースが多いようですが、考えてみると不思議な気がします。なぜなら、もともと二人の性格は異なっていたはずで、どちらかといえば、自分にはない性格に魅力を感じて結婚するのではないでしょうか。
 思うに、「性格の不一致」というより「価値観の違い」に「我慢」できなくなったということなのではないでしょうか。「価値観」というのは、生育した家庭環境で育まれるものです。「男のくせに」とか、「女の子だから」とか、読書やスポーツに取り組む姿勢も両親や保護者の価値観、養育態度に大きな影響を受けます。成長にともなってこの「価値観」は内面化されていきますが、これはきわめて「情的」なもので、客観的・論理的なものではありません。「情的」なものであるがゆえに、理屈では割り切れません。理屈では割り切れないものは、なかなか修正がききません。
 結婚するまでは微笑ましく映った相手の仕草や行動が、毎日の生活の中では許し難いものになっていったとしても、「価値観」が異なると、なかなかやっかいなことになります。価値観が異なる人同士で問題を解決していくためには、客観的・論理的に進めるのが良いのですが、相手から「あなたのそういう理屈っぽいところが嫌い。」と言われてしまうと話しは通じなくなります。
 では、この価値観の違いの溝はどのように埋めたらよいのでしょうか。離婚原因に性格の不一致をあげる女性からは「夫からの感謝の言葉がまったくない」といった不満の声が多いといわれています。客観的に互いの価値観について話し合うことも大切かもしれませんが、まずはパートナーの価値観を無条件で尊重し、その言い分にじっくり「耳を傾ける」(カウンセリングでは「傾聴」といいます。)ことが大切ではないでしょうか。
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季節もストレスになることがある!

2012-11-08 17:06:27 | インポート
 景気がいいと胃腸薬の売上が伸びるのだという新聞記事を読んだことがあります。製薬会社のデータによると、バブルの頃は多くの人達が夜の街に繰り出し、飲み過ぎたり、食べ過ぎたりしていたためか、胃腸薬の売上も1000億円程度あったそうです。
 ところが、景気低迷の今、売上高は600億円程度に落ち込んでいるそうです。また、胃腸薬の飲まれる理由も、忘年会、新年会などによる「飲みすぎ食べ過ぎ系」から春先の人事異動や決算期、転勤等にともなう「ストレス系」に変化し、売れる時期も、年末年始より春先が多いのだそうです。
 不景気は、ストレスと関係の深い緊張型の頭痛や偏頭痛の患者数も増加させるようです。緊張型頭痛はストレスやうつ病があったり、心理的・身体的に過度な緊張状態が長く続くと起きるものと知られています。偏頭痛はストレスのために起きるものではありませんが、ストレスを受けると悪化するといわれています。
 季節によるストレスが影響する心の病いもあります。新しい環境に適応するなかで、慌しい4月を乗り越え、5月を迎え、ゴールデンウィークを過ぎた頃から、心身がスランプ状態になってしまうのが、いわゆる「五月病」です。
 また、秋から冬にかけてうつが現れやすいという人や、春から夏にかけてうつが現れやすいという人がいるようですが、なかでも多いのが秋から冬にかけてうつ病になる人で、「季節性うつ病」とよばれています。
  「季節性うつ病」の特徴は、日照時間が短くなり、気温が低下するにつれて、心身が重くなり、気分も落ち込み、悲観的なことばかり考えるようになり、何時間寝てもまだ眠く、朝はなかなか起きることができなります。さらに大きな特徴としては、食べ物が偏って過食になりがちなところだといわれています。まるで、冬眠を迎えるかのような状態になるのです。 

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「異常な人」と「正常な人」との境目は?

2012-11-06 17:30:52 | インポート
 正常な性格の持ち主とはどんな人でしょうか。「健康」というのが「病気でないこと」といわれるように、「正常な人」とは「異常」ではない人のことです。強いていえば、その人のもつ性格の傾向が他人との関係性を大きく損なわず、円滑な人間関係を営むことができる人とでもいえば良いのでしょうか。
 では、病的な性格とか異常な性格というのは、どのように定義されるのでしょうか。その人の考え方や行動が日常生活や社会生活に著しく困難をきたし、家族や仲間、職場の人達等との関係に軋轢やトラブルを起こす人といえるでしょうか。
 ただ、「病的な性格」といった場合と「普通」との線引きは案外難しそうです。日常生活に大きな破綻がなく他人に迷惑をかけない限り、端から見れば「病的」とも思える趣味や仕事への没頭も許容範囲となります。
 しかし、「異常な性格」と「普通」には少し距離がありそうです。つまり、「異常」といった場合には、多かれ少なかれ周囲との何らかの軋轢が生じていることが多いのではないでしょうか。
  「人格障害」については、精神疾患に関するガイドラインDSM-Ⅳで「その人の属する文化から期待されるもの(共通認識や常識)から、著しく偏った内的体験及び行動の持続的様式が、認知や感情、対人関係、衝動の抑制の2つ以上に継続的にみられること。また、その考え方や行動パターンに柔軟性がなく、社会的、職業的、または他の重要な領域において著しく苦痛を感じたり、トラブルを引き起こしていること。その始まりが少なくとも青年期または小児期早期にまでさかのぼることができること」等と全般的な診断基準を示しています。
  ここで、「異常」と「正常」の境目となるキーワードは、「その人の属する文化から期待されるもの」という言葉です。時代や文化が違えば価値基準や判断基準も異なり、「異常」が「正常」になることもあるのです。


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