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孤独という病 №272

2019-10-30 12:18:24 | 心理
アメリカのある大規模な調査によると、年齢や危険因子などを調整したあと、社会的なつながりや活動が少ない、と答えた成人の死亡率は、そうでない人に比べ、10年間でおよそ2倍だったということです。《「病は気からを科学する」ジョー・マーチントン著 講談社刊》著者によると、社会からの孤立は、肥満、運動不足、喫煙と同じ位、健康に害を及ぼし、強い社会的絆がなければ、あらゆる原因による死のリスクが2倍になるということです。
 慢性的な孤独はストレスと同じように、脳の構造を作り替え、社会的な脅威に敏感になります。親しい友人もなく、数年間孤独を感じてきた人達と、良い友人を持ち、社会的な支援も受けている人達の血液検査を比較した結果、免疫力に大きな差があったということです。
 人類の歴史の大半において、他者から切り離された人は、すぐに餓死や捕食、攻撃の対象になるリスクがありました。社会からの孤立はまさに死刑宣告であり、飢え、喉の渇き痛みのように生存を脅かすものでした。その結果、人間は他者との接触を追い求めるように進化してきました。
 人は、一人でいる時だけ孤独を感じるわけではありません。誰かと一緒にいても、相手から気遣われていないと思えば、孤独を感じます。敵意に満ちた集団の中で孤立していることは、一人でいる時に感じるよりも、もっと深い孤独かもしれません。
 孤独が与える影響は、触れあう人の数ではなく、孤立感の大きさによって決まるということです。親しい人が1人か2人でも、それに満足し、支えがあると感じられれば、健康への影響を心配する必要はありません。
 周りから拒絶されたり、疎外感を抱いたりすると、人はただ悲しくなるだけではなく、傷つき、身体の痛みと同様、自分が脅かされていると感じます。温かい人間関係を築き、豊かな社会生活を営み、自分は集団に属していると感じられる人達は、「病気にならず、長生きをする」ということです。
 特に高齢者にあっては、「必要とされること」で変わります。「あなたが必要です。あなたの知恵と経験が欲しい。」というメッセージを伝えることで、老化を抑えることができます。できないことを手助けする支援よりも、その能力を活用するようにすることが大切なのです。