心理カウンセリング ウィル

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夢をはばむ壁

2012-01-30 16:15:53 | インポート
 先日、日本経済新聞に興味深いコラムが掲載されていました。スポーツの世界で大きな夢や高い目標を持った選手が現れたとき、コーチや親が「現実はそんなに甘くない」とか「身の程をしれ」と選手に囁くと、それが壁となって選手の夢や目標をはばんでしまうのだそうです。スポーツ選手のメンタルサポートに詳しい、福島大学の白石豊教授はそういう人たちを、「ドリームキラー」と名付けているようです。
 例えば、100メートル10秒を切るのは日本人では無理だというと、選手自身が自分の心にその壁をつくってしまい、肉体的には可能性があるにもかかわらず、記録がはばまれてしまうことがあるようです。逆に誰かがその壁を破って9秒台をだすと次々に続く可能性があるということです。「ドリームキラー」の助言に耳を貸さず、ひたすら自分の夢を追い求めて実現している野球のイチロー選手やサッカーの長友選手はその壁を破って、あとに続く人たちの心理的負担を軽減し、奮い立たせる意味でも偉大な人たちです。
 心の病については、周りの人というよりは、自分で自分の心にバリアーを張って、生きにくくしているように思えるところがあります。周りの人がいくら「心配ないよ、大丈夫だよ。」と囁いてもなかなか一歩を踏み出せない人がいます。心の病をはばむ壁を破るには、専門のカウンセラーにカウンセリングを受けるのも一つの方法です。   
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きょうは死ぬには良い日だ!

2012-01-27 21:57:46 | インポート
  メキシコ北部とアメリカ合衆国南西部ニューメキシコ州やアリゾナ州に住むプエブロ・インディアンには、死を言祝ぐ歌があるということです。アメリカのニューメキシコ州サンタフェ近郊に住む作家で写真家のナンシーウッドさんが長老達から聞き書きした本の中に以下のような詩が紹介されています。
 今日は死ぬのにもってこいの日だ。
 生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている。
 すべての声が、わたしの中で合唱している。
 すべての美が、わたしの中で休もうとしてやって来た。
 あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去っていった。
 今日は死ぬのにもってこいの日だ。
 わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。
 わたしの畑は、もう耕されることはない。
 わたしの家は、笑い声に満ちている。
 子どもたちは、うちに帰ってきた。
 そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ。
  (ナンシー・ウッド著「今日は死ぬにはもってこいの日だ」金関寿夫訳)
 死をこのように迎えられる心境になりたいものです。

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コミュニケーションが苦手な若者

2012-01-23 17:44:06 | インポート
 コミュニケーション能力に自信がないという若者が多いようです。企業が学生を採用する場合にもコミュニケーション能力はかなりのウェイトで重視されます。当然のことですが、企業というのは組織として仕事を進めていくわけですから、場の空気を敏感に読みとり、臨機応変に振るまって人間関係を円滑にできないと困るわけです。
 なぜ、コミュニケーションの苦手な若者が多くなったのでしょうか。インターネットや携帯というコミュニケーションツールに依存することにより、直接だと言いにくいことをフェイス・ツー・フェイスで話さなくても済むようになったことが大きな要因であることは間違いないことでしょう。
 その根底にあるのは、自分の価値観が相対化されていないことによるのではないでしょうか。匿名で語ることのできるネットやケータイの世界では、自分の価値観は絶対的なものだと信じることができます。それを否定する人や、理解しない人とは関わる必要もありません。しかし、現実の職場では多様な価値観の人がいて、自分の価値観を相対化し、様々な人に認めてもらう作業が必要となります。
 自分の価値観を、他人からの批判や意見を排除することや自分の中に閉じこもることで守るのではなく、現実というタフなフィールドで鍛え直すことができるようになることが大切と思います。それは、また、自分とは違う他人の価値観を認めることでもあります。
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自殺は、生きることを休みたかったから?

2012-01-18 22:55:16 | インポート
 東日本大震災における死者・行方不明者数は19,295名といわれています。一方で、昨年のわが国の自殺者数は30,584人です。自殺者数に占める20代~30代の割合は、およそ25%です。この年代の死因の第1位は、ここ2002年以来ずっと連続して「自殺」だということです。
 中高年のように、とりたてて生活の困難を抱えているわけではないのに、なぜ若者は自殺するのでしょうか。土井隆義の「友達地獄」(ちくま新書)のなかに、週刊誌に掲載された自殺未遂者の言葉として、「思えば、本当に死にたかったわけではない。ただ、生きることを休みたかった。」と紹介されていました。また、若者の現実世界のリアリティの希薄さを思わせる言葉として、「いまの時代は生活すること自体はそれほどむずかしくはない。どんなバイトをしても生きていける。でも、生きてるだけじゃ、別に生きてなくても同じじゃないかと。死にたいというより、生きたくない気持ちでした。」とありました。
 自分に自信が持てないから部屋に引きこもっているのに、両親がずかずかと部屋に入り込んできて、早く社会に出て働きなさいという。出て行きたくないから、親を抹殺して、引きこもることを選択してしまう。
 やさしさごっこのなかで、真摯に自己と向き合うことを訓練されることなく年齢を重ねていくことは大変なことと思います。でも、生きていることの「休暇願い」は誰が承認してくれるのでしょうか。
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心の病と薬

2012-01-11 16:47:39 | インポート
 先日の新聞に「パニック障害」と診断された人が、11種類の薬を処方されたが思うような効果がなく、休職を迫られたことに絶望して薬を中断したところ、翌日から、幻覚、幻聴に悩まされるようになったという記事が掲載されていました。
 うつ病をはじめとする心の病を「脳」の病だから「薬」を飲めば治ると断言する医師がいます。果たしてそうでしょうか。その人の置かれた生活環境や生育歴、性格などに関係なく発病することは考えにくく、それを「脳の病」として薬の処方だけで診断するのは、いかにも粗雑な見立てではないでしょうか。
 カウンセリングは医療行為ではありませんので、「診断」はしませんし「薬」も処方しませんが、クライアント(依頼人)の話をじっくり聞いて、「アセスメント(見立て)」を行い、援助の方法を考えていきます。
 うつ病は急性期には薬物療法を主体とした精神医学的治療が行われますが、比較的安定してきた場合にはカウンセリングと併用すると、薬物療法を単独で施行した場合よりも再発予防効果が高いといわれています。非定型型うつ病では、薬物療法だけで治療した場合と、カウンセリングなどの心理療法だけで治療した場合の治癒率はほぼ同じだという報告があります。
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