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引きこもりになりやすいタイプと家庭 №253

2017-05-09 15:23:04 | 日記
 『大人の「引きこもり」を救え』(扶桑社刊)という本を読みました。著者の廣岡政幸氏は引きこもりの人たちや不登校、非行など様々な問題を抱えて社会での居場所を失った人たちの立ち直りを支援する施設、ワンステップスクール校長です。
 厚生労働省は引きこもりについて「仕事や学校に行かず、かつ両親以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態」と定義しています。厚労省ではこの数を推計25万5千人としています。一方で、内閣府は「自分の趣味の用事の時だけ外出できる」46万人を含めて推計70万人としています。
 とくに深刻なのは、引きこもりの人たちが高齢化し、彼らを支えてきた年老いた両親と共倒れする危険が大きいことです。こうした人たちを数多く支援してきた著者が実際に経験したことから、引きこもりになりやすい子のタイプや引きこもりがうまれやすい家庭について次のように書いています。

1 引きこもりになりやすい子
① 自己主張が苦手: 非行少年と違い、問題を起こさず、周りからはいい子に見えるが、協調性ばかり育ってしまって、自分を抑えて我慢してしまうので疲れやすい。
② 成功体験が少ない: 何かを頑張って人から認められたという成功体験が少ない。依存心が強く、その場だけの快楽をもとめる傾向がある。達成感や承認欲求が満たされないので人間関係を築くのが難しい。
③ 人との間に壁を作りやすい: 人に配慮しすぎて壁を作りやすいので、人を信頼できず、誰かに頼ったり、甘えたりすることができない。
④ 外見は大人でも中身が幼い: 苦しんでいても、本気でどうするか考えることから逃げている人が多い。他人事のように感じていたり、高い理想を掲げて、現実逃避している場合もある。

2 引きこもりが生まれやすい家庭
① 経済力がある: 子どもが引きこもっていても養っていける。また、社会的地位が高く、プライドもあるので問題を隠す傾向があり、誰にも相談できずに長期化しやすい。
② 夫婦仲が悪い: 父親は仕事人間で子育てを母親任せにし、母親の育て方を問題にし、一方で母親は父親が向き合ってくれないと責める。それを見た子どもは、自分が原因で両親の仲が悪くなったと思い、ますます落ち込んでいく。
③ 親の規範意識が高い: 子どもの悩みに寄り添うのではなく、親の価値観を「こうでなくてはいけない」とか「こうするのが普通だ」と押しつける傾向がある。
④ 子どもの話を聞かない: 子どもの気持ちに寄り添わない。
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「直感」に頼ることに潜む危険な罠 №252 

2017-05-04 13:39:47 | 日記
 私たちは、合理的な判断や難しい選択に迷ったとき、しばしば考えることを中断して、「直感」に頼ることがあります。「ひらめき」や「直感」を大切にして、最初から深く考えることなく物事を決める人もいます。しかし、「直感」に頼った決め方には、スピードがある分だけ精度に欠けるところがあるようです。
厳密な論理で一歩一歩問題解決に迫るアルゴリズムとは別に、「直感」ですばやく結論を出す方法を「ヒューリスティスクス」といいます。ヒューリスティスクスは、日常生活の多くの場合に有効ですが、その性質上、トラップ「罠」が存在するので、このことを自覚することが重要であると警鐘をならしたのが、行動経済学という概念を提唱してノーベル賞を受賞した心理学者カーネーマンです。
 彼は、私たちは確かな手がかりのないまに「直感」に頼りがちで、そのために非合理的な判断や意志決定をすることを実証しました。このことを「ヒューリスティスクス」によるバイアス(偏り)といいます。この認知バイアスのトラップ(罠)として以下の3つがあげられています。
1 典型的なものを手軽に判断に利用してしまう「代表性」のトラップ
  あの人はいつもにこにこしているから良い人に違いないという思いこみや、コイントスで3回続けて「表」が出たから
次は「裏」に違いないという確率の無視等があげられます。
2 日常的に簡単に利用できる情報で判断してしまう「利用可能性」のトラップ
  ある事象が起きる確率や頻度を考える際に、最近の事例やかつての顕著な事例など「思い浮かびやすい」事例と特徴に   よって、判断や評価の基準にしてしまうことで、デング熱や鳥インフルエンザなどマスコミが大きく取り上げるとあたかも すぐに自分に降りかかってくるのではないかと判断してしまうことです。
3 最初に示された特定の数値などにとらわれて判断してしまう「固着性」のトラップ
  最初に1万円と示され、次に8千円と示されるとそれが適正な値段であるにもかかわらず、お買い得と思って衝動買い  してしまうことです。必要であるとか欲しいというより、安さが意志決定の第一原因となってしまいます。本日限り、女  性半額、先着10名さま限りなどはすべてが根拠のない、思いこみによるバイアスです。

 御自分の「直感」に信頼を置いている方々は、そこに潜む認知バイアスのトラップ(罠)に充分注意してください。
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