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アスペルガーという個性を生かす №215

2014-03-31 18:10:33 | インポート
 アスペルガー症候群は、別名、「シリコンバレー症候群」ともよばれているほど、アメリカのシリコンバレ-でIT産業や先端科学、先端技術で働く人たちの中に占める割合が多いそうである。マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツやアップルの創始者スティーブ・ジョブスに代表されるように、対人関係の困難さを抱えながらも既成の概念を打ち破って新しいものを生み出すアスペルガーの人たちの並はずれた情熱や想像力によって、私たちの文明は大きな恩恵を受けているといってもよいでしょう。 
 アスペルガーについては、DSM-V-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)に診断基準がありますが、「アスペルガー障害」の診断基準を満たす人は少なく、その中のどれかの項目が当てはまるのが、「アスペルガー症候群」といわわれる人たちです。特徴的な傾向として、以下のようなものがあげられています。
(1)社会性の障害 他の人と一緒にいても周りのことに対して関心を示さず、孤立的にふるまうことが多く、相手を喜ばせようとしたり、気に入られようとしません。
(2)コミュニケーションの障害  いわれた言葉を額面どおりに受け取り、冗談やユーモアが通じない。感情や感覚を表現するのが苦手です。
(3)同一行動に固執する なじんだ行動にこだわり、急な変更に対して不安やパニックを起こしやすい傾向がみられます。。
(4)限られた狭い領域に深い興味をもつ 適応の仕方により長所になりますが、実用とは無縁の知識に熱中することもあります。
 アスペルガー症候群と自閉症はどのように異なるのでしょうか。精神科医の岡田尊司先生の「アスペルガー症候群」(幻灯舎刊)の中で、次の4つの要件をあげています。
①言葉の発達の遅れがない。(2歳までに一つ以上、3歳までに二語文を話している)
②知能が正常である。
③その他の面(身の回りのことを自分でできる能力)で発達に遅れがない
④社会生活で問題が生じている。(社会生活に著しい支障がなければ障害とはみなさない)
 岡田尊司先先生は、アスペルガー症候群の困難な部分を治そうとするよりも、次のような長所を生かすべきではないかと提言されています。
 ①高い言語的能力がある、②優れた記憶力と豊富な知識がある、③視覚的処理能力が高い、④物への純粋な関心がある、⑤空想する能力がある、⑥秩序や規則を愛する、⑦強く揺るぎない信念を持つ、⑧持続する関心つね情熱を持つ、⑨孤独や単調な生活に強い、⑩欲望や感情におぼれない。
 ちなみに、岡田先生は、アインシュタインもエジソンも、ウォルト・ディズニー、ヒッチコック、ジョージ・ルーカス、ガウディ、ゴッホ、ピカソ、そしてマハトマ・ガンジーもアスペルガー症候群であったと紹介されています。
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未来の記憶または展望記憶について №214

2014-03-15 09:54:02 | インポート
記憶は、思い出のように、後で思い出す過去の出来事ばかりだけではありません。会議の予定やデートの約束のように、将来のある時点で行う行為を覚えておかなければならない記憶もあります。このような記憶を、未来記憶または展望記憶といいます。未来記憶の特徴は次のように説明されています。
①記憶の対象が「計画された『行為』」であること
②その行為を意図してから実行に移すまでの間に、ある程度の「遅延期間」があること
③その行為を実行しようとする意図が一度意識からなくなり、再度それを「タイミングよく自発的に想起」する必要があること。
 未来の記憶では③の「想起のタイミング」が最も重要な特徴と言われています。お客との約束や恋人とのデートの約束などを忘れると信頼を失い、契約の破棄や破局を迎えることになるからです。
 私たちは、大事な約束を忘れないように、手帳やメモなどの補助記憶用具を利用しますが、その効果には限界があります。なぜなら、多くの補助記憶用具は行為の内容を思い出す際に手がかりにはなりますが、「タイミングよく」その行為を想起させてくれるわけではないからです。
 年を取ると誰もが経験することですが、認知機能が衰えたのを自覚してメモを取るようにしていても、メモしたことを忘れてしまうこともあります。近年は、パソコンや携帯電話の普及により、自分の頭で物を考えなくても済んでしまう傾向が強くなり、若年性健忘症になる人も少なくないといわれています。年齢とは関係なく、刺激が少なかったり使う機会が減ると、脳が衰えて健忘症を引き起こす可能性が高くなります。
 20代~30代で人の話している事が理解できなかったり、聞いた事もすぐに忘れてしまったり、日にちや曜日など同じ事を何度も尋ねたり、食べたものを思い出せないなどの症状のある人は要注意です。
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