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ニートと引きこもり、そして孤立無業者  №174

2013-02-20 17:56:34 | インポート
 少子化が叫ばれている一方で、有効求人倍率は一倍を割り込み、働く場所を得られずにニートや引きこもりとなっている人も少なくありません。こうした中で、新たに「孤立無業者」という耳慣れない言葉が出てきました。
 「孤立無業者」(Solitary Non-Employed Persons: SNEP・スネップ)というのは、「20歳以上59歳以下の在学中を除く未婚者で、仕事も通学もせず、無作為に選んだ2日間のうち、ずっと一人か、一緒にいたのが家族だけだった人々」を指す新概念とのことです。
 2月17日付け新聞各紙に、「孤立無業者」162万人という共同通信社の配信記事が掲載されていました。玄田有史・東大教授のグループが文部科学省等から委託を受け、2011年に総務省行が行った「社会生活基本調査」を基に集計した結果、未婚で仕事も通学もしなかった人が256万人おり、このうち「孤立無業者」といわれる人が162万人だったという内容です。景気低迷に伴う就職難やリストラなどが響き、5年前(112万人)と比べて4割以上増えたとあります。
 「孤立無業者」と「ニート」や「引きこもり」との関係はどのようになっているのでしょうか。厚生労働省では「ニート(若年無業者)」を、『15歳~34歳の年齢層でから学生と専業主婦を除き、求職活動に至っていない者」と定義しています。
 「ひきこもり」については、『仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態で、時々は買い物などで外出することもあるという場合も「ひきこもり」に含める』定義し、「引きこもり」も「ニート(若年無業者)」に含めています。
 2010年に内閣府が行った初の引きこもり全国実態調査(15~39歳対象)では、引きこもりに該当する者は約70万人と推計され、この数と「就業希望を有する」ニートの数およそ30万人を合わせると、単純計算でニートの推計は100万人となります。
  「孤立無業者」のうち、職探しをしている人は半数にとどまり、玄田教授は「今は家族が支えても将来、経済的に厳しい状況に陥る」と指摘。「孤立無業者」の増加は、無業者の増加同様、将来的には、「生活保護受給者」予備軍となり、今以上の財政負担が懸念され、社会保障費の増加を抑えるためにも、政府や自治体による対策が急務だと訴えています。
 働きたくても働く場所がないのに、一方で子どもを産みましょうという社会というのはきわめて矛盾しています。
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健康管理がストレスとなり免疫力が低下する?  №173

2013-02-19 17:18:32 | インポート
 私たちがストレスが多いというときは不安や苛立ちなど心理的なことを考えがちですが、暑さや寒さ、過度な運動や飲酒、喫煙、騒音なども体にとってはストレスとなっています。私たちの体はストレスを受けるとある種のホルモンを出して耐えようとします。しかし、このことにより免疫力の働きが低下してしまうのだそうです。
 免疫力が低下すると、体内に入ったウィルスを撃退したり、ガン細胞の増殖を抑えられなくなります。免疫力はストレスや加齢によって低下するようです。東京医科歯科大学の廣川名誉教授の研究によると長生きの人は免疫力が高いということです。
 免疫力の維持にはバランスの良い食事や適度な運動、規則正しい生活習慣により健康を維持することが欠かせませんが、最近、腸内環境が影響することもわかってきたそうです。腸内細菌が大幅に減るとインフルエンザにかかりやすくなるといわれています。ヨーグルトを食べ続けるとインフルエンザにかかりにくくなるという研究結果もあるようです。
 ただ、健康に良いことでも、それがストレスになると逆効果になるのだそうです。フィンランドで血圧やコレステロール値が高かった40代の男性1200人を半分に分け、1974年から15年間追跡した調査によると、最初の5年間はまじめに健康管理し、喫煙や飲酒、塩分、糖分の摂取を控えさせたグループのほうが、なにもしなかったグループより死亡者数が多かったのだそうです。
 まじめに健康管理したグループの方が血圧などは改善したものの、健康的ではあるけれど窮屈な生活がストレスになり免疫力を下げた可能性があるということです。責任感が強く自分自身を追い込む真面目な良い人は長生きできない傾向にあるともいわれます。
 ストレス解消方法は人によって様々でしょうが、てっとり早いのは笑いのようです。笑いがナチュラルキラー細胞の働きを活性化して免疫力を高めるようです。無理にいやなことをせず、「あはは」と笑いながら適当に生きるのが良いのでしょうが・・・・・・。
 日経新聞(2月17日付)によると廣川名誉教授が開発した免疫力判定検査があるようですので、心配な方は受けてみてはどうでしょうか。
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お酒を飲めない人は肺ガンリスクが高い  №172

2013-02-15 18:08:58 | インポート
 愛知県がんセンター研究所の調査で、お酒をまったく飲めない人は、お酒に強い人に比べ何倍も肺ガンリスクが高いということがわかったと新聞に紹介されていました。お酒をまったく飲めない人は一刻も早く禁煙したほうがよいと警鐘をならしています。  
 喫煙により肺ガンリスクが高まることは以前から知られていましたが、お酒を飲めないことと肺ガンとどのような関係があるのでしょうか。
 アルコールから代謝されるアセトアルデヒトの分解能力が関係しているようです。愛知県がんセンター研究所が肺ガン患者700人とガンになっていない人1400人を対象に、DNAの型で酒に強い人(アセトアルデヒドの分解能力が高い人)、飲むと顔が赤くなる人(アセトアルデヒドの分解能力が弱い人)、全く飲めない人(分解能力がない人)にわけて、喫煙量と肺ガンリスクの関係を解析したところ次のような結果が得られたということです。
 一日一箱(20本入り)×喫煙年数=45以上、つまり、20歳から一日一箱ずつ45年間吸っていたと仮定した場合、65歳での肺ガンリスクは、お酒の強いや飲むと赤くなる人はたばこを吸わない人の5倍~7倍高なのに対して、お酒の飲めない人では23倍と異常に高くなるのだそうです。 
 ちなみに、DNAの型で酒に強い人の割合は約50%、飲むとすぐに顔の赤くなる弱い人が約45%、まったくだめな人の割合が5~10%程度ということです。
 お酒に強いということは良いことだ思うのは早計で、飲酒は食道ガンのリスクを高めるということをお忘れなく。

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アルコール依存症に新薬登場  №171

2013-02-13 21:11:37 | インポート
 2月8日の日経新聞にはアルコール依存症患者向けの新薬が登場したという記事が掲載されていました。国内の飲酒人口は6000万人で、アルコール依存症の患者数は約80万人と推定されています。そのアルコール依存症患者向けた新薬が5月に日本新薬から発売されるということです。
 従来アルコール依存症患者に使用されていたのは、シアナミドやジスルフィラムという抗酒剤です。抗酒剤は酒が嫌いになる薬ではなく、アルコールを分解する作用を阻害して、少量の飲酒でも気分が悪くなり、飲酒のもたらすほろ酔い気分をなくしてお酒を遠ざけるようにする薬です。いわば、二日酔い状態にさせてお酒を飲ませないようにするわけですが、いったん断酒しても、再飲酒の危機は至る所にあります。
 もともと、嫌いではありませんから気がついたら飲んでいたというようになんの抵抗もなく飲酒してしまう場合もあります。抗酒剤を服用していれば、アルコールを飲んだら苦しくなるということが分かっているので、強い飲酒欲求に見舞われることは少ないのですが、逆に服用しなければなんの効果もなく、完治につながりにくいとされていました。
 新しく発売される「レグデクトデクト」という薬は、飲むと気分が悪くなるのではなく、飲みたいという気持ちそのものを抑えるのだということです。ただし、今日は酒を飲むのをやめて、薬で我慢しようというようにはいかないようです。新薬の販売は医療機関向けだけで市販されないようです。
 アルコール依存症の治療には、治療を受ける気になるため心の準備や離脱症状の治療、身体合併症の治療、心理的問題や人間関係の問題の整理、家族療法、断酒継続のための援助、自助集団への出席など多くのことが必要で、抗酒剤を飲んだからといって、アルコールに依存しなければならなくなった状態を変えられるものではないと言われてきました。
 つい先日は、大脳前頭前野の腹内側部や背外側面に磁場をあてることで喫煙欲求や飲酒欲求を抑えるという記事が紹介されていましたが、こちらは自分の意思とは無関係に飲みたくなくなるものです。お酒を飲むか、薬を飲むかを自分で選択できるとしたら、お酒好きな人が薬を飲むことを選ぶことは考えにくいのですが、新薬が特効薬になることを期待したいものです。

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自己愛性人格障害と国家  №170

2013-02-09 22:40:08 | インポート
 人格障害というのは、その人の属する文化から期待されるものより、認知や感情、対人関係、衝動の抑制が著しく偏っていて、柔軟性に欠けることを言います。(「精神疾患の分類と診断の手引き」)
 自己愛性人格障害については、「誇大性、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範な様式で、以下のうち5つ以上ある場合に診断される」とあります。
1 尊大で傲慢な行動や態度がみられる。
2 自分が重要だという誇大な感覚をもっている。
3 特権意識が強く、自分だけ特別有利な取り計らいをするよう望んだり、自分の期待に相手が自動的に従うことを理由無く期待する。
4 対人関係で相手を不当に利用する、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。
5 共感が欠如していて、他人の気持や欲求を認識しようとしない。またはそれに気づこうとしない。
6 自分が"特別"で、独特で、他の特別なまたは地位の高い人たちにしか理解されないと信じている。
7 限りない成功や権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
8 過剰な賞賛を求める。
9 しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
 自己愛性人格障害の人は、自分の都合がなによりも優先されて当然だと思っているので、周りの人などおかまいなしに列に割り込もうとしたり、順番が待てずに、自分を特別扱いするよう要求したり、約束を一方的に変更したりしても、当然だと思っています。
 相手がミスや過ちを犯したりすれば大騒ぎをして糾弾するのに、自分がミスをしても何ともおもいません。自分は偉く、自分のすることは、どんなことでも特別に許されるという思い込みがあります。
 こういう人が同僚や上司にいたら、周囲の人は何かと苦労するかと思います。ましてや、国家がこのような傾向を持っているとしたら、関わっていくのは並大抵のことではありません。

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ポジティブシンキングという病  №169

2013-02-08 01:32:28 | インポート
 ポジティブシンキングというのは、ある物事に対して肯定的な考え方で対応しようということです。会社をリストラされたり、自分にはなんら落ち度がないのに一方的に非難されたときでも、非難する相手や会社に反論せず、これは自分を成長させてくれるための試練なのだ、と前向きに考えるようにすることをポジティブシンキングといいます。
 一見素晴らしいことのように思えますが、それは組織の欠点や社会のシステムを覆い隠すことにもつながります。会社をリストラされた人に、「失業はあなたにとってむしろ次のステップにキャリアアップするためのチャンスととらえましょう。」とまことしやかに説くことは問題の本質を個人的な問題に矮小化し、批判の目を曇らせてしまいます。
 就職したい、結婚したい、経済的に豊かになりたい等々の望みをもっている人たちに対して、うまくいかないのはあなたの考え方がネガティブだからです。ポジティブな考え方こそ成功の前提条件であり、それさえ満たせばすべてうまくいくというようなセミナーや書物が数多くあります。
 アメリカのコラムニスト、バーバラ・エーレンライクは、「ポジティブシンキングは現実から目を背けさせるためのアメリカにおける『暗黙のルール』」であり、これこそアメリカの病だ。」といっています。
 彼女は乳がんを患ったとき、医療従事者からも、患者同士のサポートグループにおいても、とにかく「前向きな気持ちで治療に取り組むことが治癒への道である」という非科学的な考えを半ば強制されることに憤りを感じたといっています。がんになったおかげで大切なことに気づいたのに、がんになったことに対して怒りや悲しみをすることがタブーになっているのはおかしいのではないか。病気は人間の肉体における非常事態であり、自分の症状や治療法についての正しい情報を得て、病気と闘うための冷静な選択を下すこと、それがよく生きることの大前提だ。情報を遮断し、自然な感情を押し殺し、無理をして明るくふるまうことで事態が好転するのを待つのはばかげているとエーレンライクは思ったといっています。
 なんらかの事情で、不満や不満、憎しみや悲しみ、怒りといった感情に満ちている人間が「ネガティブ」という烙印を押されてしまったら、健全な批判精神は排除され、自分ではどうしようもないことで苦境に立たされている人間が放置されかねないことになります。
 私たちの国でも近年、規制緩和とともに「自己責任」という言葉が語られます。物事がうまくいかないのはあなたの「自己責任」です。きっと考え方が「ネガティブ」だからです。もっと「ポジティブ」に物事を考えるべきですといわれると、反論するのはなかなか難しくなります。その一言で、私たちは社会に対するたくさんの「異議申し立て」を失っているのかもしれません。
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あなたは騙されやすい人ですか?  №168

2013-02-05 16:51:33 | インポート
 精神科医の岡田尊司氏の「マインド・コントロール」(文藝春秋社刊)の中に「なぜ、あなたは騙されやすいのか」とい一節がありましたので、騙されたことがあったり、騙されそうなタイプだと思っている人に紹介します。
1 暗示にかかりやすい
 情報が正しいか誤っているかを批判的に判断する能力が低いか、低下していて、ネットや雑誌などの情報をそのまま信じてしまい、自分の意志で行動するのではなく、与えられた指示やマニュアルのまま行動しやすい人で、さらに、次のような特徴を備えた人は要注意です。
①人の言うことを真に受けやすい ②信心深く超常現象や神秘的なものに興味関心を持っている  ③何事にも大げさで、虚言癖がある ④催眠術にかかりやすい
2 現在及び過去のストレスにさらされている
  挫折や病気、離別や経済的苦境によって心が弱っていると何かにすがりたくなります。
3 周りに頼る人がいない
周囲から孤立し、安定した支え手がいないと相手をよく確かめずに助けを求めたり、救いをもとめたりしてしまいます。
4 優柔不断で依存心が強い
  相手に嫌われたりぶつかったりすることを避けようとするあまり、相手に「ノー」ということができず、相手に合わせてしまう。優柔不断で、相手任せになりやすい。  よく言えば、協調性が高く、相手を尊重しているともいえるが、自分にとって明らかに不利益でも自分の意志に反することでも受け入れてしまう点が特徴です。
  誰かに頼っていないと自分は生きていけないという思いこみがあり、いったん依存するとその相手がいないと自分が生きていけないという思いこみがあります。実 際には高い能力や魅力を備えていても、自分ではやっていけないと思いこんでいて、強い意志をもった存在に頼らないと安心できないのです。
  幼い頃から自分を過度に抑え、親や周りの人の顔色ばかりを気にしながら生きてきたひとが多いといわれています。親の顔色を見て、親の機嫌をとるようになった り、親を自分から支えようとする傾向も見られ、まるで、子どもの方が親の保護者であるかのように親を慰めたり、相談相手になったりすることもある。相手に合わせ 相手の機嫌を損ねないように振る舞う、けなげで悲しいスタイルを子どもの頃から身に付けてしまうのです。次のような環境で育った場合、依存心が強くなる場合が 多いようです。
① 親がアルコール依存症で、酒を飲むと家族に絡んだ暴力をふるうため、親が酒を飲み始めるとはらはらしながら顔色を伺っているという環境で育った人で、アダ  ルト・チルドレンと呼ばれます。
② 母親がうつ病やうつ状態にあり、いつ調子が悪くなって自傷や自殺するかと子どもが親の心配をしなくてはならないような環境で育った。
③ 自己愛的な母親に支配された家庭に育って、母親の意向に逆らうと母親が怒りを爆発させるので、いつも母親のご機嫌を取り、母親の言いなりにして育った。
④ 過保護な環境で育ち、本来子どもがするべきことをすべて母親が決めてしまうため、依存的な人格になる。

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