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ギャンブル依存症の治療薬ができる?

2012-02-22 16:00:11 | インポート
 新聞報道(2月22日日経)によると、京都大学の高橋英彦準教授と放射線医学総合研究所との共同研究により、脳内に「ノルアドレナリントランスポーター」という分泌物の量が少ない人ほど、ギャンブルに慎重であるということがわかったということてす。実験では、この分泌量の少ない人は「損失回避」の傾向が強く、利益を得るよりも損失することを避けるので、掛け金に対して得られる報酬が多くないとお金をかけないのだそうです。
 つまり、ギャンブル依存症の人は、パチンコや競馬などのギャンブルに対して、「ノルアドレナリントランスポーター」をたくさん分泌するので、薬によってこの分泌を押さえようとするものだと思います。
 今まで、ギャンブル依存症は「底つき体験」といって、家族や仕事を失って誰も見向きもしない状態までいかないと治らないと言われていました。どん底まで落ちないとだめだということでした。アルコール依存症にも「嫌酒薬」とか「抗酒薬」がありますが、いまひとつ効果があがっていないようですが、果たして「嫌パチンコ薬」が誕生するのでしょうか。
 この研究を発表した高橋英彦准教授の研究課題は、「情動的意思決定における脳内分子メカニズムの解明」ということです。時として、人は理論では説明できない非合理な意思決定(例:利他行為、モラル判断、ギャンブル)を行います。これらの意思決定には情動が関与しています。情動的意思決定に関連する脳部位をfMRIで同定し、ドパミン等の情報や、薬物による影響を併せて検討し、情動的意思決定の分子機構を明らかにし、情操教育や精神疾患の診断に役立てるということです。
 大変興味深い研究です。実り多いことを願っています。

代表チームのサッカーが強いと自殺者が減る!

2012-02-19 21:16:31 | インポート
 日経新聞スポーツ面のコラム欄に興味深い記事が掲載されていたので紹介します。ヨーロッパに限ってのデータのようですが、自国のサッカー代表チームがヨーロッパ選手権やワールドカップで活躍すると、その国のその年の自殺者数が著しく減少するというのです。調査した12ケ国中10ケ国でそうした傾向がみられたということです。
 なぜでしょうか。大会中人々は居酒屋などに集い、サッカーの話で盛り上がることによって帰属意識が高まり、一体感が生まれ、それによって救われたのではないかということです。
 そういえば、国が戦争状態にあるときには、自殺者や心の病に陥る人が少ないともいいます。良かれ悪しかれ、価値観が一元化することにより連帯感が高まり、孤立感から逃れられるということでしょうか。
 時の権力を握った為政者が自分たちの権力に対する批判をさけるために、外国を非難したり、外国からの脅威に目を向けさせたり、オリンピックや万国博覧会を催すことで国民を欺き批判の目をそらせることを愚民政策といいます。つまり、国民の目を欺くわけですが、孤立している人々から見れば、それはそれで意味のあることなのかもしれません。

NHKスペシャルうつ病治療 ここまでやるの!

2012-02-15 10:21:37 | インポート
 2月12日(日)午後9時からNHKスペシャル「ここまできた!うつ病治療」をみました。最初の治療方法は磁気刺激によるものでした。うつ病患者は前頭葉の血流量が少なくなっているということでした。前頭葉の左側にあるDLPFC(背外側前頭前野)という意欲や判断をつかさどる機能を磁気刺激により活性化させ、不安や恐怖、悲しみなどの感情が過剰に活動している「扁桃体」を押さえ込むことで回復させる方法です。一日40分くらいの治療を継続することで回復していくようです。
 次の方法は、脳深部刺激DBSという方法で、胸元に埋め込んだ電源から電気を流し、うつ病のカギを握る神経回路の要である25野という部分に電気刺激を与えることで不安や悲しみの刺激を抑えるということでした。25野を刺激するとへんとう体やDLPFCにも作用し、脳を正常な状態に戻せるということでした。
 ここでは、「なぜ」うつ病になったかは問いません。医療としての「治療」です。胃が痛ければ胃薬を処方するというようなものです。カウンセラーとしてはなかなか納得しにくい方法です。すべての問題は本人の自己責任であり、そうなった環境については問わないのです。正直なところ、「ここまできた!」というよりは、「ここまでやるの!」と、ある意味では大変怖いと思いました。
 では、カウンセリングは無力なのでしょうか。番組では、最後に、軽度のうつ病には「認知行動療法」によるカウンセリングを行うことで、「磁気刺激」と同様の効果があることが紹介されています。つまり、考え方や行動パターンを自らが変えることで、環境に適応し、前頭葉の血流がよくなり、扁桃体の暴走を押さえることができるということです。「ことばの力」が「磁気刺激」同様の効果を脳に与えるということです。
 



DVの深い闇

2012-02-06 23:40:29 | インポート
 NPO法人レジリエンスの中島幸子さんの講演を聴きました。社会的地位もあり、職場ではごく普通に振る舞う人が、妻や子ども両親など特定のパートナーに対して身体的暴力、性的暴力、経済的、精神的暴力をふるって支配しようとするのはなぜなのでしょうか。
 自分にとってメリットのある人との関係の中では、卑屈なまでに逆らわない人が、いったん相手が見下してもよい相手と見るとパワーで支配しようとするのは問題解決の手段として手っ取り早いし、パートナーの存在を対等な人間として尊重する心が欠けているからです。
 身体的暴力については、わかりやすく表面にでやすいが、性的暴力は夫婦間や恋人同士の間に発生することが多く見えにくいということです。同じように幼児への性的虐待も表面化しにくい要素があるといいます。また、私たちの脳は、激しいストレスを受けると感覚的には恐怖感を覚えていても、細部を記憶しないようなメカニズムが働くため、事実関係を重視する警察や弁護士等に信憑性を疑われる場合も多いということです。
 なぜ、そんな相手から離れられないのか。愛情という名の支配と恐怖による混乱があるのだそうです。DVを行う相手から離れるまでに平均すると5回~8回は相手の所に戻るのだそうです。脅し、そしてあきらめ、立ち直るかも知れないという淡い期待。そんなものがない交ぜになるようです。しかも、それがトラウマとなり、フラッシュバックすると生涯悩まされたり、自死したりするすることも少なくないといいます。
 問題解決の方法として暴力以外の手段は必ずあるということを一人ひとりが銘記しなければなりません。