荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』 ルッソ兄弟

2014-04-20 07:22:05 | 映画
 マーベル・コミックの映画化『アベンジャーズ』(2012)は総花的で、さして感興を呼ばなかったが、今回の新作『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』の頑張りには快哉を送る。前作から引き継がれたキャラとしては、今回の主人公キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)のほか、ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、ニック・フューリー長官(サミュエル・L・ジャクソン)、ペギー・カーター(ヘイリー・アトウェル)、マリア・ヒル(コビー・スマルダーズ)、ゾラ博士(トビー・ジョーンズ)など多数で、私のような不真面目な観客にはいちいち把握できない。今回はアイアンマンもハルクも登場せず、したがってグウィネス・パルトロウもお休みであるという点が、淋しいといえば淋しい。それだけにいっそうスカーレット・ヨハンソンの性的魅力がクロースアップされるしくみだ。
 スカーレット・ヨハンソン扮するブラック・ウィドウは、秘密文書提出のシーンでも分かるように、ウクライナ人だ。これもまた、現代の紛争地図からするときな臭い。ブラック・ウィドウの本名ナターシャ・ロマノフから言って、おそらく彼女はウクライナ人ではなく、ウクライナ領内のロシア系住民の出身ではないだろうか。しかもロマノフという苗字は、帝政ロシアの皇室の姓である。
 今回作品に緊張感をもたらすのは、「世界の警察」の自称をいまだ捨てないアメリカ合衆国が、全世界に向けてテロリストの予備軍となりそうな人物像2000万人をあらかじめあぶり出し、衛星空母からその人たちを一斉に狙撃するシステムを作りあげるという想定のためであろう。この映画を見てテロリスト候補2000万人などという膨大な数字を出されると、私自身が当たり前のごとくそれに該当してくるという気がしてしかたがないし、この計画を阻止しようと内ゲバを開始する主人公キャプテン・アメリカをひたすら応援したくなるのである。アメリカの国防システムがナチスの残党「ヒドラ」(映画内では「ハイドラ」と発音されていた)に乗っ取られているという壮大な陰謀論は、あながち突拍子もない設定ではない。


TOHOシネマズ日本橋、丸の内ルーブルほか全国で上映
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