どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

わたしとあなたの ものがたり

2022年09月24日 | 絵本(社会)

    わたしとあなたの ものがたり/アドリア・シオドア・文 エリン・K・ロビンソン・絵  さくまゆみこ・訳/光村教育図書/2022年

 

 クラスでたったひとりの茶色い肌の自分のむすめに、自分の体験と母親、祖母の体験を 語っていきます。

 わたしが学校に行っていたときも、クラスには茶色の肌の子は わたしひとり。

 学校で奴隷制について勉強したときや、クラスの子がわたしを指さして、クスクスわらったとき、わたしは消えてしまいたいと思ったことがあった。「リンカーン大統領がいなかったら、おまえはまだ、おれたちのどれいだったんだぞ!」と、いわれたことも。

 おばあちゃんは奴隷として生まれ、お母さんは南部育ち。自由人として生まれたが、学校には3年生までしか行けず、看護師の夢をあきらめた。

 だから、学校で勉強できることはありがたいこと。わたしは科学がすきで、詩を書いたり音楽が大好きな お医者さんになったの。

 あなたには、姿を隠したり、消えてしまいたいと思ったりしないで ほしいの。どうどうと立って空高く はばたいていってほしいの。大事なのは、ほかの人にどう見えるか、じゃなくて、鏡にうつった自分に「なにが見える?」って といかけてみることだから。のぞめば、なんにでもなれる そんな自分のすがたが あなたにもみえているといいな。

 

 原著は2022年。公民権運動からだいぶたっていますが、ブラックマター運動にみられるように、黒人への差別意識や偏見はまだまだ根深い。学校で学ぶ自分の娘に、こういうふうに語りかけなければならない現状。

 奴隷制や公民権運動を学んだとき、嫌な思いをしたのには、複雑な思いがしました。教える側が白人だと、差別していないと思っていても、いつのまにか差別していることもありそう。

 黒人女性の凛とした表情が印象に残ります。


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