どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おまえ うまそうだな さよならウマソウ

2024年02月12日 | 絵本(日本)

    おまえ うまそうだな さよならウマソウ/宮西達也/ポプラ社/2023年

 
 むかし、ティラノサウルスが、うまれたばかりのアンキロアウルスの あかちゃんを 「おまえうまそうだな」といって 食べようとしました。ところがあかちゃんは じぶんの名前を 「ウマソウ」と思い、テラノサウルスのことを お父さんだったと思って、だきつきました。はじめはおどろいたテラノサウルスでしたが、一緒に過ごすあいだに、ふたりは親子のようになっていきました。テラノサウルスはなやんだすえ、ほんとうの親に ウマソウをかえしてやろうと きめました。
 
 それから、20年。
 
 年老いたテラノサウルスが、野原の真ん中で たおれました。もうだめだと つぶやいて目を閉じると、ケツァルコアトルスがそらから まいおりてきて、テラノサウルスのしっぽに かじりつきました。そのとき、テラノサウルスを助けたのはアンキロアウルスでした。その後ろには ちっちゃな こどもが 二ひき。「なぜ助けた。おまえのこどもも くっちまうかも しれないんだぜ」というテラノサウルス。その日から、アンキロアウルスの親子が、赤い実をテラノサウルスに もってきて 傷ぐちには、縫って くれました。「こまっている人が いたら、助けるのは あたりまえでしょ」といわれ、テラノサウルスのこころは ぽっと あたたかく なりました。
 
 元気になって、子どもたちに いろいろなことを 教えるようになったテラノサウルスのところに、キランタイサウルスがやってきて、チビたちを食べようとします。テラノサウルスは、ふたりを抱きしめましたが、キランタイサウルスは、容赦しません。そこに 子どものお父さんが たいあたりしますが、力の強いキランタイサウルスには かないません。
そのとき、テラノサウルスが、赤い実をひとつ ぽーんと 口にれると よたよたしながらキランタイサウルスに しがみつきました。勝てないと思いながら、キランタイサウルスに だきつくと、二ひきは 崖から落ちてしまいます。
 
 
 子どもたちから、「うわー、すごいすごい!」「おじいちゃん、つよいんだね」「かっこいい!」といわれていたティラノサウルスが、ぼろぼろになりながらも 残った力をふりしぼり、子どもたちを救うあたりは、わかっていても感動的です。
 20年前にいっしょに暮したアンキロアウルスのあかちゃんが、大人になって、年老いて、力尽きようとしていたティラノサウルスをすくうという伏線も 生きています。 

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