どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

カエルの行司・・兵庫

2024年06月21日 | 昔話(関西)

      兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟編/日本標準/1978年

 

 村に火事が出て、みんな一生懸命消していたが、あほうな男は、面白がって見物するだけ。火消しにどなられたが、それでも見ているだけ。家に帰って、えろう怒鳴られたというと、それを聞いた家の人が、「ぼんやりつっとらんで、水をかけるんや」と教えた。

 二、三日して、そのあほうな男が、鍛冶屋がいっしょうけんめい火をおこしていたのを見て、「こりゃ、水や!」と桶の水をざあっとかけた。もちろん、鍛冶屋にさんざんおこられた。家の人に言うと、「そんなときはなあ、水かけたりせんと、槌でたたくんや」と教えられた。

 それからまた二、三日して、村はずれにくると、若い衆が集まって相撲をとっていた。見物衆が、火を焚いているのを見たあほうな男は、教えられたとおりに、あわてて槌でたたきまわると、またえろうおこられた。そんなときは、「行司をするもんや。」とまた教えられた。

 それからまた二、三日して道を歩いていると、道端でカエルが相撲をとっていた。「あ、そうや、そうや、こりゃ行司をせなあかん」というわけで、「はっけよい、のこった、のこった。」と、いっしょうけんめい行司をしていた。

 それを見て、村の衆が大勢集まってきて、大笑いしたそうな。

 

 散々な「あほうな男」ですが、最後のオチに救いがあります。


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