どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

魔法のビール・・デンマーク

2024年06月10日 | 昔話(北欧)

      子どもに聞かせる世界の民話/矢崎源九郎編/実業之日本社/1964年

 

 おなじゲルマン民族のドイツにも類似の話があるといいいます。

 ある日のこと、結婚式のお祝いで、あいにくビールがなくなったこびとたち。ひとりのこびとが、お百姓のところへいって、ビールをひと樽貸してくれるように頼みました。そのかわり、じぶんたちがビールを作ったら必ず返すという約束をしました。

 それから二晩か三晩たったとき、こびとはビールをかえしにいき、「魔法をかけたので、あなたが樽をのぞきこみしなければ、樽からは、いつでもあなたの欲しいだけ、ビールが出てきます。いつまでたっても、からっぽになりませんよ」と、言い残しました。

 ほんとうに、そのことばのとおりでした。いくらついでも、ついでもビールがでてくるのです。そのかわり、もちろん、だれひとり、樽の中を、のぞいてみるものはありませんでした。

 ところが、あるとき、この家に、新しい女中がきました。「どうして、いくらでも、ビールがでてくるのかしら?」とふしぎにおもった女中が、樽の中をのぞきました。すると、樽の中には・・・。

 

 このあと樽の中には、ビールは、ひとしずくもなくなるのですが、結末を想像させても面白いのかもしれません。