どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おおきなかぶ

2022年09月22日 | 絵本(昔話・外国)


      おおきなかぶ/内田莉莎子・再話 佐藤忠良・画/福音館書店/1972年新版

 保育園でのお話し会で、「おおきなかぶ」を人形を利用して話してみました。子どもたちはでてくる動物の順番をよく覚えていて、「うんとこしょ どっこいしょ」の掛け声もタイミングよくかけてくれました。

 保育園で絵本の内容を知っているのでかえってよかったのかも知れません。

 「おおきなかぶ」はいまから半世紀まえに初版が出版されており、親からこども、孫とどれだけ多くの子どもたちに親しまれてきたかしれません。

 あまりにも有名な絵本なので、いまさらという感じもしないではないのですが、子どもに読んであげた本のなかで、処分しきれずに残っている本の一冊。ちなみに今もっているのは、1972年出版のもの。

 ところで、女優佐藤オリエさんの名前を最近あまり聞きませんが、昨年舞台に出演されている様子がユーチューブの動画にありました。オールド世代には、「若者たち」の映画などでおなじみですが、お父さんがこの本の画を描かれている佐藤忠良さん。

 これまで関心がなかったというのが本音ですが、Eテレの日曜美術館で佐藤忠良さんを取り上げたことがあり、彫刻家で有名な方というのをはじめて知りました。三年間のシベリア抑留の経験もあるといいます。

 また、テレビでは宮城県立こども病院の「おおきなかぶ」のレリーフの展示も紹介されていました。

 保育園で子どもたちが演じていたり、園児の保護者の方の演じているのをユーチューブで見ることができるのも楽しい。

 

    おおきなおおきな おおきな かぶ/ヘレン・オクセンバリー・絵 アレクセイ・トルストイ・文/こぐま社/1991年

 訳者の名前が載っていませんでしたが、作者紹介のページに、ちさい字で、ぐま社編集部訳とありました。

 「おおきなかぶ」ですが、絵本ですから絵はとうぜんちがっています。

 「うんとこしょ どっこいしょ」が、「ひっぱって ひっぱって」となっています。
 ひっぱる場面では、遠くから、横から、上からながめたり。

 さらに、おばあさん、まご、いぬ、ねこの居場所がこまかくえがかれています。おばあさんはインコにえさをあげていますし、まごは木の上で読書。のみの夫婦の感じもよくでています。

 最後かぶは、テーブルの上にのせられ、まわりでは、どう食べようか相談しています。

 

 佐藤忠良さんの絵のイメージが強すぎるのですが、これはこれで楽しめました。

 原著は1968年です。           


為後のこうしんさん・・徳島

2022年09月22日 | 昔話(中国・四国)

            徳島のむかし話/徳島県教育会編/日本標準/1978年

 

 村の若者が力自慢しているところへとおりかかった七兵衛さんが、力比べを提案します。

 河原にころがっている同じような大石を山の中腹まで運びあげ、いちばんはやく運びあげた者が一番の力持ちという。

 十人の若者が一斉に大石をかかえ上げ、のぼりはじめますが、なにしろ両手でやっと、かかえるぐらいの石で、若者たちは、とちゅうで一休み。そこへ七兵衛さんがやってきて、はっぱをかけ、ようやく十人が十人とも山の窪地に石を運び上げた。

 七兵衛さんが「みんな力が強い。一番二番と順番はついても、ちょっとの違い。いやみんなの強いのに感心したわい」というと若者たちはにこにこして大喜び。

 それから、気をよくした若者に、一か所へ四角に石を積んでもらった七兵衛さん。やがてそこへ庚申さんをお祭りします。

 じつは、この石運びは、はじめから庚申さんを祭るための七兵衛さんの計略。若者たちをおだてて、お金を使わず高いところまで石をはこばせた。今も為後山にある庚申さんは、こうしてできたのじゃと。

 

 *庚申さん(目、耳、口の災難をまぬがれる祭られた神さまで、これを祭った庚申塚。)

 お年寄りの知恵には含蓄があります。