てんを おしあげた はなし/牧野夏子・文 佐々木マキ・絵/福音館書店/2022年(2007年初出)
昔、天と地は、なかのよい兄弟で、ぴったりとくっついていました。
ところが、太陽や月や星、草や木や動物、それに人間たちがあらわれました。
そのせいで、天と地は、だんだんはなればなれになり、前と同じように いっしょにいることができなくなってしまいました。はなればなれは いやだいやだ と、天はうえから、地はしたから、おしあいをはじめました。
みんなぎゅうぎゅうづめになり、ひとりのおじいさんの知恵で、天と地の間に、つっかいぼうをたてることにしました。それはそれは大きく、太さは人間が百人手をつないでかかえられるぐらい。それに 硬い木。ところが、木をたてるのが大変。こっちをたてれば あちらがたおれると、天と地の間は ちっともひろがりません。それでも・・・。
楽しいのは、天と地におされたエピソード。
太陽は真っ赤になり、月はあおざめます。動物は二本足では たっていられなくなり、よつんばいになり、地面をはってすすむようになったものさえ。
人間の としよりは 背中や腰がまがってしまいます。
古来から、天と地、太陽や月、星などは、人間の興味をかきたててきました。科学が進歩するまえまでは、素朴な発想がたくさんあったのでしょう。
天と地から押しつぶされても、悲壮感がない、佐々木さんの絵でした。