どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

てんを おしあげた はなし・・中国チワン族のおはなし

2022年09月07日 | 絵本(昔話・外国)

    てんを おしあげた はなし/牧野夏子・文 佐々木マキ・絵/福音館書店/2022年(2007年初出)

 

 昔、天と地は、なかのよい兄弟で、ぴったりとくっついていました。

 ところが、太陽や月や星、草や木や動物、それに人間たちがあらわれました。

 そのせいで、天と地は、だんだんはなればなれになり、前と同じように いっしょにいることができなくなってしまいました。はなればなれは いやだいやだ と、天はうえから、地はしたから、おしあいをはじめました。

 みんなぎゅうぎゅうづめになり、ひとりのおじいさんの知恵で、天と地の間に、つっかいぼうをたてることにしました。それはそれは大きく、太さは人間が百人手をつないでかかえられるぐらい。それに 硬い木。ところが、木をたてるのが大変。こっちをたてれば あちらがたおれると、天と地の間は ちっともひろがりません。それでも・・・。

 

 楽しいのは、天と地におされたエピソード。

 太陽は真っ赤になり、月はあおざめます。動物は二本足では たっていられなくなり、よつんばいになり、地面をはってすすむようになったものさえ。

 人間の としよりは 背中や腰がまがってしまいます。

 

 古来から、天と地、太陽や月、星などは、人間の興味をかきたててきました。科学が進歩するまえまでは、素朴な発想がたくさんあったのでしょう。

 天と地から押しつぶされても、悲壮感がない、佐々木さんの絵でした。