後日談を、時系列を追って語っていこう。
まず、十三番目についた動物の話がある。
十三番目についた動物は異説があるが、いたちだという話がある。
いたちが着いたのは、仙人が競争を打ち切ったすぐあとだった。
そのため、いたちは間に合わなかったことをたいそう悔やんだという。あまりにも悔しくて口惜しくてたまらないというので、仙人に泣きついた。
「ただ競争にほんの一歩間に合わなかったというだけで、子孫を増やすことを禁じられたとあれば、それはあまりにもひどいというものです」
挙げ句には、もしこの願いが聞き届けられなければ、ここでさいごっぺをこいて、仙人やその他の動物ともども道連れにして命を絶つとまで言い始めた。
あいやそれは困ると、仙人は考えた。
そこで、こう提案した。
「わかった。では、毎月一日をいたちの日としよう。その日のみ、子孫を残すいとなみを許す」
するといたちはたいそう喜んで、帰って行った。
それから、毎月一日はいたちの日となり、いつの頃からか「ついたち」となまるようになったという。
(ちなみに、この話は単なる創作で、実際の「ついたち」の語源とは違います)
続いて、次の日の…つまり、正月二日の朝のことである。
前の日は、めでたいめでたいということで、仙人はしこたまに酒を飲んですっかりと意識を失っていた。朝までぐっすりであった。
そこに、門をけたたましく叩く音が聞こえてきた。
二日酔いの仙人は、不機嫌そうに門のところにまでいき、扉を開けるとそこにいたのはねこであった。
「…なんじゃ、おぬしは」
といかにも不機嫌そうに尋ねた。
ねこは面食らった。仙人からお褒めの言葉をもらうとばかり思っていたからで、まさか眉間に眉を寄せてそういわれると思っていなかったのだ。
ねこは精一杯の愛想笑いを浮かべて、仙人の顔を見る。
「…だからなんじゃというんだ、気色悪い笑みなど浮かべおって」
「え? あ、いや。仙人さま、動物の王の話は?」
「なにをいっておるのだ。その話は昨日のことじゃ。だれが正月二日を祝うんじゃ。二日は初売りといってな、もう休暇は終わりじゃ」
といって、扉を閉じて奥に引きこもってしまった。
ねこは急ぎ戻って、族長にその話をして、ようやくねずみに騙されていたことがわかった。
怒り狂ったねこの族長は一族に向かってその旨を話をして、即刻「ねずみ許すまじ」を演説をぶち上げ、ねずみ抹殺の詔を敷いた。
それ以来のことである。ねこがねずみを追い回すようになったのは。
この事件がなければ、仲良くけんかしている欧米のねずみとねこの話もできあがらなかったのである。
それから、なぜ「ひと年」がないかということも話をしておかねばならない。
実は、ひとは仙人の話はちゃんと聞いていた。しかし、その王の座にまったく興味を示さなかったばかりか、そんなことははなはだ馬鹿馬鹿しいと思って参加することを拒絶したのである。
ほかの動物たちがさかんに議論して代表者を選出している間も、ひとは盛んに子孫を残そうといとなみを繰り返し、大晦日も正月も関係なく、飽きもせず子孫を残すいとなみを行い、むしろ楽しみを見出していた。
仙人は、これ以上ひとという生き物を束縛することはできぬとすっかり諦め、以来ひとのやることには口出しをしないようになった。
そこで、多くの動物たちに発情期という期間がある中で、ひとは唯一万年発情期であり、ひと年というものもないということだ。
まず、十三番目についた動物の話がある。
十三番目についた動物は異説があるが、いたちだという話がある。
いたちが着いたのは、仙人が競争を打ち切ったすぐあとだった。
そのため、いたちは間に合わなかったことをたいそう悔やんだという。あまりにも悔しくて口惜しくてたまらないというので、仙人に泣きついた。
「ただ競争にほんの一歩間に合わなかったというだけで、子孫を増やすことを禁じられたとあれば、それはあまりにもひどいというものです」
挙げ句には、もしこの願いが聞き届けられなければ、ここでさいごっぺをこいて、仙人やその他の動物ともども道連れにして命を絶つとまで言い始めた。
あいやそれは困ると、仙人は考えた。
そこで、こう提案した。
「わかった。では、毎月一日をいたちの日としよう。その日のみ、子孫を残すいとなみを許す」
するといたちはたいそう喜んで、帰って行った。
それから、毎月一日はいたちの日となり、いつの頃からか「ついたち」となまるようになったという。
(ちなみに、この話は単なる創作で、実際の「ついたち」の語源とは違います)
続いて、次の日の…つまり、正月二日の朝のことである。
前の日は、めでたいめでたいということで、仙人はしこたまに酒を飲んですっかりと意識を失っていた。朝までぐっすりであった。
そこに、門をけたたましく叩く音が聞こえてきた。
二日酔いの仙人は、不機嫌そうに門のところにまでいき、扉を開けるとそこにいたのはねこであった。
「…なんじゃ、おぬしは」
といかにも不機嫌そうに尋ねた。
ねこは面食らった。仙人からお褒めの言葉をもらうとばかり思っていたからで、まさか眉間に眉を寄せてそういわれると思っていなかったのだ。
ねこは精一杯の愛想笑いを浮かべて、仙人の顔を見る。
「…だからなんじゃというんだ、気色悪い笑みなど浮かべおって」
「え? あ、いや。仙人さま、動物の王の話は?」
「なにをいっておるのだ。その話は昨日のことじゃ。だれが正月二日を祝うんじゃ。二日は初売りといってな、もう休暇は終わりじゃ」
といって、扉を閉じて奥に引きこもってしまった。
ねこは急ぎ戻って、族長にその話をして、ようやくねずみに騙されていたことがわかった。
怒り狂ったねこの族長は一族に向かってその旨を話をして、即刻「ねずみ許すまじ」を演説をぶち上げ、ねずみ抹殺の詔を敷いた。
それ以来のことである。ねこがねずみを追い回すようになったのは。
この事件がなければ、仲良くけんかしている欧米のねずみとねこの話もできあがらなかったのである。
それから、なぜ「ひと年」がないかということも話をしておかねばならない。
実は、ひとは仙人の話はちゃんと聞いていた。しかし、その王の座にまったく興味を示さなかったばかりか、そんなことははなはだ馬鹿馬鹿しいと思って参加することを拒絶したのである。
ほかの動物たちがさかんに議論して代表者を選出している間も、ひとは盛んに子孫を残そうといとなみを繰り返し、大晦日も正月も関係なく、飽きもせず子孫を残すいとなみを行い、むしろ楽しみを見出していた。
仙人は、これ以上ひとという生き物を束縛することはできぬとすっかり諦め、以来ひとのやることには口出しをしないようになった。
そこで、多くの動物たちに発情期という期間がある中で、ひとは唯一万年発情期であり、ひと年というものもないということだ。