

雨が降ってる。もう、夏の面影はない。たった一夜の雨で、季節は夏から秋へと入れ代わってしまったのだろうか。雨に濡れる森や草原を眺めていると、何か大きなものが去っていった後のような、落莫とした思いがしてくる。
昨日、管理棟の入口に、使い残した薪がおいてあった。あんなふうにして一人、二人とキャンパーの姿が消えていき、今は一つのテントさえない。昨夜山小屋に泊まった東京から来た二人が7時過ぎ、雨の中を帰っていき、ここにはもう誰もいない。昨日までの光景は嘘のように消えている。
雨脚が強まり、権兵衛山はまた雲の中に隠れてしまった。今朝は小鳥の声もしない。自然はその力を出し切り、絶頂をあとにして少しづつ下降していく登山者でもあるようだ。

「塩をくれー」

「一列縦隊で来い」

焚火の名残り
「晩夏」という言葉が好きだが、ここにはそれがない。舞台が一転するように、一気に季節は秋へと移り変わる。今朝も牧場を一巡してきたら、いつの間にか牧草も秋の色に変わりつつあるようだ。今日からこのブログのタイトルを「秋」に変える。
FKBさん、かんとさん、コメントありがとうございました。また牛守に戻って、やってきた新しい季節の中で暮らします。
入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27の営業」を、また星空に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。

天の川銀河 Photo by かんと氏
星空を眺めながら、あの夥しい星の群れから鳥や動物や人の姿を想像して、名前を付けた古代の人のことを思ってしまう。また一体、彼らは宇宙の広さや深さについて、どんなふうに感じ、考えていたのだろう。
もっとも88ある星座の歴史は文明の歴史にも匹敵する長さだろうし、使われている言語もギリシャ神話と関連するギリシャ語だけでなく、ラテン、アラビアと多言語に及ぶ。また、望遠鏡座や顕微鏡座は18世紀中頃の命名だそうだが、名前からしても当然に新しい星座だ。
ただ、煌めく星々を眺めながら考えるとき、どうしても遠い昔の羊飼いや、星占いに一喜一憂した人、あるいは近くても地理上の発見のころの探検家のことに関心はいく。ことに、どうしたらそんな名前を付けることができたのかと、呆れるような羊飼いの宇宙観について空想してしまう。彼らにとっては、宇宙の広さはせいぜい目に見える海や、砂漠程度の広さだったのだろうか。少しはアルコールも入って目にした夜空は、現在とは比較にならないほど豪奢な星や銀河であっただろうに、その中から特定の星を選びつつ結んで、動物や神話に出てくる神様の姿にしてしまうというのが、驚異だ、凄い話だ。
何十年も前、南半球のある国を訪ねた。そのとき目にした星はまさしく、「Full of stars!」と呼ぶにふさわしい膨大な数の星が満天に輝いていたが、その星の群れの中で、てっきりかの南十字星と信じていた星は、実はそうではなかった。本当の南十字星は、もっと謙虚で目立たなかった。
そんな記憶が余計に、素面(しらふ)であったか酔っぱらっていたかはさておき、羊飼いの少年に感心する理由でもある。
さんざん気を揉ませておいて、ようやく星の海が見えててきたのは、夜中の1時過ぎのことであったという。昨夜8時過ぎ、束の間の星空から待望の土星を、TBI氏の新兵器で見ることができた。カッシーニの間隙も確認できた。そしてわれわれもまた、大宇宙の中にいることを、感動!

TBI氏の新兵器

かんと氏の愛機
早くも紅葉について尋ねる人がいる。真っ先に色付くのは、多分ツタウルシか山桜・・・、しかしそれがいつごろから始まるのかを、はっきりとは知らない。今秋は、きちんと紅葉の記録も付けておくことにしたい。牛を相手に人気の絶えた牧場の、変わりゆく季節への感度を鋭敏にもしておきたい。
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Photo by Ume氏
昨日のブログで、季節はすでに秋に向けてのカウントダウンを始めたと告げた。日中の気温は上がっても、風の渡る高い澄んだ大気は、その暑さをあまり感じさせない。
キャンプ場にもいろいろな人がやってきてくれたが、こうしてブログで入笠牧場の宿泊施設や、キャンプ場の営業について広報宣伝していて勝手なことを言うようだが、来てくれた人たちがのんびりと寛いで、楽しんで帰ってもらうには、今の数くらいでよいという気がする。テント数は10張り、キャンパーの数は30数名だろう。
最近のキャンパーは下界での生活をこういう場所にも持ち込もうとするから、どうしても広いスペースが必要となる。タープ、椅子、テーブルはいまや必携品となっているようだ。薪を集め飯盒で米を焚いたり、狭いテントの中で着火の悪いストーブに苦労したりしていたころとは、隔世の感がする。今では、直火を燃やすことができるキャンプ場は少なくなっているようだが、榾火(ほだび)を眺めながら、山の夜を過ごせないのは気の毒というだけでなく、野営の大事な要素が一つ欠けてしまったように思う。
今日のキャンプ場にも、犬を連れ込んでいる人が大半で、これも大きな変化だと言えるが、果たして好ましい傾向かはいろいろな意見があろう。
何という意地の悪い天気だったろう。ようやく晴れたが、Y先生率いる高校の天文部9名は3泊して今朝帰った。かんと、TBI組は今夜こそが勝負の夜と決め、星の海へと旅立つ。8時になったら、TBI氏の新調した望遠鏡で、土星を見せてもらうことになっている。
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朝5時の段階では青い空が見えていたのに、今ではまた陰鬱な雲とそれを突き破ろうとする太陽がせめぎ合っている。午前6時50分。
Ume氏によれば昨夜は夜中の2時半ごろから星が見え出し、待望のペルセウス座流星群もそこそこの数を観測することができたという。「山の人」になるとどうしても朝が早く、昨夜のような天気ではとても無理して起きている気にはならなかったが、山小屋にいたかんと・TBI組の4名、H高校のY先生率いる9名も、どうやら流星を眺めることができたようで、まずはよかった。他のキャンパーの中にも、この流星観測をした人たちがいたようだ。

最近は、朝や夜のことばかりを取り上げてきたような気がする。たまには真昼の牧場のことにも少しは触れようとしたのが、今日の写真。牧区の入れ換えをしてから、給塩を兼ねて様子を見にいったら、第1牧区の牛たちは全頭揃って一番西側にある「舞台」にいた。ここには塩鉢があるので、いつもの場所まで誘導するのを止め、笛を吹き、大きな声で呼んでみた。すでにこちらの姿を見て、給塩を期待していたのだろう、反芻を中途にしてぞろぞろとやってきた。ところが、いつも一緒にいる牛たちの間にも微妙な力関係があって、特に和牛とホルスタイン牛では圧倒的に和牛の方が主導権を持っている。
ご覧のように塩鉢を3頭の和牛が独占して、ホルスタイン牛を寄せ付けない。ミズナラの大木の背後から恨めしそうに眺めているだけのホルスタイン牛が、哀れであり、また滑稽でもある。このいつも行動を共にしている牛たちの、不思議な仲間意識というものを考える。
”時代遅れの山小屋”やキャンプ場にも、懐かしい顔や、新しい顔がやってきて、もうすぐ夏は終わる。今日の夕暮れの空には、気の早い秋の雲が出ている。やがてそれが煌めく星座の海に代わるころ、今夜の主役の登場である。ペルセウス座流星群が次々と、大きな夜空を光芒となって横切る、大宇宙ショウーが始まるだろう。
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