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友人のN君は自称UFO研究家である。その彼を常に悩ますのが、TVの暗い嫌なニゥースや俗悪番組だ。それというのも、清貧独居禁欲を旨とする(余儀なくする)彼によれば、こうしたニゥースや番組は絶えず宇宙へも発信されているから、それを受信した異星人がさてどのようにわれわれを評価するのか、心配でたまらないというのだ。
UFO研究家ともなれば、エライことについて悩むものだ。呆れる。が、確かにTVから流れるニュースやその他の内容は、異星の住人に対してあまり自慢できるようなものではない。TVが誕生してすでに100年以上。ということは、100光年という広大な領域の何万個もの恒星やその惑星に電波が届いていることになる。彼が心配し恐れるように、そう遠くないうちにどこぞかの異星人の鉄槌が、われわれの頭上に打ち下ろされる日が来るのだろうか。
愚見:
地球人よりも遥かに高度な文明を獲得できるような知性は、「やさしい」ということだ。もしそうでないなら、かれら自身がそれを手にする前に争いを繰り返し、自己破破滅してしまっているだろう。
われわれが長い時間をかけて少しづつ成長し、やがては彼らと同じ大人の仲間入りをする日を、あたたかく好意的に、そして気長に見守ってくれているのではないだろうか、地球人がその存在を願う神のように。
UFO研究家が叫ぶ。
「お、驚いた。ひたすら野生化の進むお前が、よりによってbenovolence(ヤ・サ・シ・サ)だと! じゃあ、いま箱罠に入って悶えているアノ雄の大鹿はどうするんだ、逃がすのか?」
「N君、ボクは地球人なの、未発達の」