入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     鹿への言い訳 その2

2013年08月08日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
                                         Photo by M.Kasuga-cha
  
天気:晴れ、気温:22度C

 そのようにして、1年目は過ぎた。
 牧を完全に閉める11月19日、囲い罠のゲートは解放した。牧を閉鎖している間にも、鹿が罠の中に出入りすることを期待したからだ。
 冬の間にも何度か歩いて登ったが、雪の上にいくつもの鹿の足跡を認めることができた。
 そして正式に牧を開いた翌年の4月20日、囲い罠の中に8頭の鹿を確認した。驚いた。誰かが、罠をセットしてくれてあったのだが、他の2つのゲートが解放されたままだということを知らなかったらしい。大慌てで走った。走って走って、走りからかした。それが、初捕獲であった。

 その後、鹿の誘引には塩がベストであることを発見し、捕獲頭数は格段に増えた。また、くくり罠の試験捕獲がこの年に入笠牧場で県の林務と上伊那猟友会によって行われ、罠の有効性が実証された。

 当初はハンターの高齢化や減少が鹿を増やした原因だともっともらしく語られたが、鹿の駆除を銃にばかりに頼っていたことも一因で、罠の方が手軽で捕獲効率も高いということを、みんなが認めるようになった。

 野生動物のことについては、分からないことや誤解も多い。例えば、狼。狼が絶滅したために鹿が増えたのだと。なるほどそれも間違いだとは言わないが、初期の鹿対策(雌鹿は駆除できなかった)や、林野行政の方がはるかに責めを負うべきだと考える。
 また、仮に狼を導入したとして、いったいどれほどの数でどのくらいの期間をかけるのか、議論してる間にも鹿は増え続けた。熊についても今のやり方で果たして良いのか、疑問だ。


 罠を仕掛けた以上、捕獲しようとする。狙った場所で成果がなければ、あれこれと考える、工夫する。逃げれば追う。向かって来れば対抗・反撃する。くくり罠が作動しても捕獲できないことをハジカレルと言うが、そうなればムキになる、意地になる。
 ところが、逃げもせずにじっとしてしている小鹿、止め刺しされた後もいつまでも後ろ足で攻撃を試みる雄鹿、叩いてもなかなか失神しない雌鹿もいる。この前は小鹿の1頭がいつまでもいつまでも荒い息を止めなかった。
 通常は捕獲したら、止め刺しして放血させ、肉を取り、埋却する。埋却しても3,4日で掘り返される。だから同じ場所を何度か埋却場所にしたこともある。
 本来の仕事が立て込めば、こうした作業は夜になる。囲い罠の場合は、銃で撃つ。ハンターの都合によっては射撃開始が朝6時ということもある。となれば、前夜牧場に泊まるか4時起きを覚悟しなければならない。肉を取っても食べるわけではなく、ただハウスの冷凍庫に放り込んでおくだけだ。供養だと思うからだが、この頃ではそれさえしないこともある。
 年に1回受け取る鹿の駆除への報償金も、此処の場合幾人かで分けるので、とてもではないが下で語られるような金額を手にするわけではない。
 か弱い鹿を屠れば屠るほど、気が滅入る。

 では何故そんなことをするのか、「鹿への言い訳」を次回では試みたい。


 らんでぶーさん、天気も良くて、さぞかし愉しい登山を満喫できたことでしょう。こっちからあなたたち親子が登っていた天狗岳、見てました。さて疑問のもう1つは、昨日あなたたちがしたことです。そう、登山=スポーツです。スポーツをしに、またお出かけください。
 
コメント
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