入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (24)

2019年03月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     「八ヶ岳遠望」                 Photo by Ume氏

 牧場へ行けば今ならきっと、きょうのUme氏の写真のような風景が見られるだろう。左手の縞状に配列されたコナシは、6月前後には真っ白な花を咲かせて幾筋もの花の列を作る。手前の芽吹きを前にした木々は、白樺とダケカンバの混生した林だ。その間を「初の沢」が流れ、昔はこの沢に沿って伊那側からの登山道があったのだが、もう知る人は少ない。春の日を浴びた牧草は、新芽を出すまでにはもう少し大地が温がまらなければならず、後1ヶ月くらいの時間が要るだろう。牛の入牧頭数が減って、写真に見える大半は牧場で一番広い第3牧区だが、ここ2,3年は放牧していない。そして、そのはるか向こうに、澄み渡った青空の中、雪の八ヶ岳が見えている。かなうことなら空に浮かんで、こんなほっこりとした早春の牧を眺めを見てみたいと、詮も無い空想も湧いてくる。
 それにしてもこの先、この風景は一体どうなっていくのだろうか。気になる。何でもやたら観光と言えば、活性化と叫べば、もっともらしく聞こえるようだが、本当にそうだろうか。下手なことをするなら、自然に任せておいた方がいいと、あちこちの観光地を回ってみて思う。
 
 今年もまた花見の季節が来て、どこもかしこも照明をこれでもかと花に浴びせ、必要以上の人工的な雰囲気をつくろうとする。雪洞(ぼんぼり)ほどのほの灯の下で充分だと思うのは、これも時代遅れ、今の風潮を知らぬ者と謗られるか。
 しかし、もっとひっそりと、渋く、一人だけ、二人だけ、あるいは少人数で、夜桜を楽しんだらと思うのだが、それを言うとたちどころに、今では贅沢な望みだと大きな声が返ってくる。加えて、花より団子、花より酒で、花見は昔から庶民の祭りじゃないかとも。いや、ごもっとも。若いころの花の下で見せた数々の狼藉を忘れて、振(ぶ)ったことをった言うなとも。それもまた、ごもっとも。
 
 いろいろな場所での花を見て、またいろいろな山で春を迎えた。「この花をこれから先、幾度見ることができるかと、僕はつい思うんですよね」と、街角に絢爛と咲き誇るソメイヨシノの花の下で、あの人は背を曲げたまま呟いた。30年、いやもっと昔のことだった。ムーン。合掌
 

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