午前6時、気温4度。空は澄み渡り、日が昇ってくるのを待っている。何台もの車が到着し、人の声もする。慌ただしい外の様子がここまで伝わてくるようになった。きょうで3日目、撮影の長いながい一日がまた始まろうとしている。
寒さに耐えていた鹿が、朝日が昇るのを待って日の当たる暖かな場所を選んで森から出てきた。今までは遠慮していた第2牧区の斜面にも、わが物顔をした多数の鹿の姿が見えて、そうした様子がこれから冬に向かって日常となる。
3日前、第3牧区の通称「約束の丘」と呼んでいる放牧地に試しにくくり罠を4台仕掛けておいた。あまりにも頭数が増えたので牽制してやろうという理由と、キャンプに来ていた馴染み客の希望もあった。
翌朝行ってみたら、目敏く誘引用の塩には反応していたが2台の罠がはじかれていた。捕獲をより確実にしようとわざわざ塩など使ったから、それにありつこうとした鹿にとっては逆効果となって、罠の設置に気付いたのかも知れない。
こうなると、こちらも挑発されたような気になる。忙しい中その翌日、もう1台罠を増やし、はじかれた罠も再度仕掛け直しておいた。
計5台、これだけの罠を設置して捕獲できないわけがないと思ったが、獲物は1頭で良かった。厄介な後始末の問題があるからだ。
そんなことを考えながら行ってみると、幸か不幸か最初の罠に1頭掛かっていた。有害動物の駆除には何の効果も、意味もないけれど、それで充分だった。いや、出入りする鹿への多少の警告にはなるだろう。
大勢の人が行ったり来たりする中、4頭の残留牛は少しづつそんな環境に慣れつつある。予定通り6日に里へ帰すことができれば、今牛たちのいる囲いが本格的な罠になり、約1ヶ月半は鹿の捕獲専用となる。
近年は、以前のような頭数の捕獲は難しくなっている。鹿の学習が進んだということか。とにかく里のことはさて置き、牧場の鹿の頭数は増加一方である。
これに対する方策は避妊だけだと口を酸っぱくして言っているが、まさしく
馬(牛)の耳に念仏でしかない。
罠を仕掛けた現場を離れようとしたら、昨夜は木星を従えていた月が西の空に少し欠けた姿で白く見えていた。
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本日はこの辺で。