入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(52)

2023年10月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 空に少しづつ薄い雲が懸かり始めた。天気は下り坂に向かっているようだ。恐らく高い山は雪で、さらに根雪を深くしているだろう。
 ようやく喧騒が去り、また牧に静かな秋が戻ってきた。その間にも季節は進み、葉を落としつつある白樺の白い樹幹が一段と目立つようになってきた。他にも、散らずに残ったコナシの赤味を帯びた葉や、黄緑色をした葉の上に、季節は今だけ茶系の色を一色重ね塗りして見せている。巨匠の得意とする、いやそれをも凌ぐ、絶妙な色合いだ。
 
 それにしても日の経つのがあまりにも早い。新しい週が始まったかと思えば、もう週末が来る。まだ先のことだと思っていた予定も、忽ちのうちに過去へ行ってしまう。
 丁度、残り1ヶ月が経てば山を下りることになる。それまでには小屋の冬支度をしたり、水回りの対策もしなければならない。草刈り、道標の作成やその設置、撮影の仕事も残っている。
 そうこうするうちにはここにも初雪が降り、親しんだ人との別れのように短い季節の終幕を識るだろう。山は、寝付かれない夫を無視して寝息を立てる連れ合いさながらに、さっさと冬の眠りに入るはずだ。

 昨年はいつになく12月に2度ほどかなりの量の雪が降り、越年はここへ車で来ることができなかった。多分、年越しに法華道を歩いてきた記憶はないから、昨年は珍しい年だったと言えよう。
 今年はどうなるのか、そんなことを考えているうちに、その日もやはりすぐに来るに違いない。「さよならだけが人生だ」なんて言った人もいたが、今年はしみじみそんな思いを味合わされた秋でもあった。

 何度でも呟くが渋い、本当に。行く手の果てが見えてきたせいもあるが、こういう景色、山の趣は、一人で静かに味わうのがいい。きょうは古道の草刈り、そして座る。野分を思わせる風が強い。

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