スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

メロディは楽譜を超える?

2016-05-21 15:44:40 | ポルスカについて

先月はハープのなみさん、フィドルのみどりさんと、私にはもったいないような方と一緒に演奏させていただきました!そして、その後は楽器を持ってきた方とのセッションタイム!今年で一番楽しい日でした。なんで、皆で弾くとこんなに楽しいんでしょう!?はしゃいでいると終電を逃してしまいました・・・。

そして、ここ数年ギター(男性)と弾く機会のほうが多かったせいか、私が野性的だからか、力強いとか逞しい演奏と言われることが多かったのですが。ハープの音色ってなんて乙女!そして、みどりさんの伸びやかなフィドルの音色に合わせると、借りてきた猫、じゃなくて借りてきた虎みたいです。私も少しは女子だったことを思い出しました。床を蹴るなんて、とんでもございませんわ、という気分で演奏させていただきました。あ~音楽って不思議。人を操りますね。

色んなお知らせは最後に掲載しています。

さてさて、最近、大きな課題を見つけました。今日は堅い話です。曲を探していたときのこと。

Polska från Barsebäckって知っていますか?古くて上品なメロディ、フランス人が好むようでEU圏で人気というイメージがあります。

※ちなみに、スウェーデン語-rs-は「シュ」という発音です。例、Andersはアンデシュ、Barsebäckならバーシュベックです。

Slangpolska fran Barsebäck / Špecialni godalkarski orkester

この曲、E(ミ)で終わります。では、この曲の調はなんだと思いますか?普通ならE(フリジアン)と答えるでしょう。でも、よーくメロディを聞いてください。Folkwikiというスウェーデンの伝統曲を集めたサイトではA-moll(Am)と分類しています。そして、その楽譜の下に面白い会話が載っていました。

-この曲は、本当にAmなのか?Eフリジアンじゃないのか?

-(要約)モダリティ(教会旋法などのこと。これは、調(key)という概念と異なります)に、100%の正解はない。試しに、Eのドローン(ベース音)、Aのドローンメロディに合わせて歌ってみて、どちらがメロディに合うと思うか。こういうスウェーデンのモダリティについてもっと知りたければ、Sven Ahlbäckの論文を読んでみて。

という内容です。モードとキーについて、深く考えたことないのですが、そういえば、レッスンでスコーネの古い曲を教えていたときにおかしなことがありました。Amの曲だと思っているのに、伴奏をつけるとDmで最後までいってしまうというループに陥ったことが。どうしてそうなったかちゃんと分析できていません。

もう一つ、私がライブでもよくひくPolonais efter Magnus Theorinという曲があります。これは後半は転調するので前半だけでいうと、シで終わるのでh-mollのようです。でも、弾くときはDのドローンで弾いています。いくつか音源を聞いたことがありますが、明るい伴奏がつくのでそういう認識の曲のようです。そう弾くととっても明るくさわやかなメロディになり、私のお気に入り曲の一つなのです。(folkwikiの楽譜もD)でも、「100%正解はない」という言葉通り、h-mollのマイナー調で伴奏しても、暗くてかっこいい感じにしたければそれで良いのでしょう。でも、これもSvenの論文でいう、モダル・ミュージックの話なのかはっきりしません。

スウェーデンでは、「シ」と「シb」は、それぞれ「H、ホー」「B、ベー」と明確に区別します。全て「B」で通すと、通じません。)

この議論に登場するスベン・アルベックSven Ahlbäckは、著名な伝統音楽のミュージシャンです。研究者でもあります。そのSvenの論文を読んで、きちんと話を理解するべきなのでしょうね。

ネットで探すと、すぐにヒットしました。「Melody beyond notes」というタイトルです。メロディは楽譜を超える。なんとも意味深な。

早速ダウンロードして印刷しようとすると…550ページほどあります。そんなに!?でも、読んでおかないと…。紙をけちって2分割の両面で印刷してみました。あぁ、ちっちゃくて図が見えない。ますます読む気力が。

誰かー!完読できるよう背中を押してください

お知らせ

6/18 堺市 リズムパラダイス ※ダンス講師ひろみさんと、未就学児でも踊れるスウェーデンのダンスを。ダンス&演奏のデモも。

6/25 箕面市 リシュオル祭 ※アトリエ・リシュオルで、ハープ、フィドル、ニッケルハルパのハウス・ライブ。終了後、箕面川に蛍を見に行きます。そのあと、セッションタイムもあるので、楽器持参でご参加ください。冒頭のチラシがそれです。チラシの背景は、私がスウェーデンにいた時、駅までの道のりでパチリと写したもの。のどかです。

7/6(仮) 日時と場所は追ってお知らせします。楽譜を使わないスウェーデンスタイルで、ポルスカを覚えませんか?前半は音楽ワークショップ、後半はダンス講師ひろみさんによる、ポルスカ・ダンスのワークショップ、最後に曲とダンスを合わせます。

そしてこれは、10月2日、三田の郷の音で開催される、北欧の音楽祭(スペルマンス・ステンマ)のプレイベントです。楽器をもって弾きたい人は弾き、聞きたい人は聞く、踊りたい人も、音楽を通して気ままにすごす北欧流のイベントです。国内外アーティストライブも!これについても、また次回紹介します。

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6 コメント

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背中 (josan)
2016-05-22 10:15:29
私でも良ければいくらでも押します!michikoさんの背中を押せるなんて光栄です(笑)。

それにしても長大な論文ですね。私には内容理解出来そうもありませんが、ご本人のレクチャーを日本でも開催出来れば素晴らしいと思います。
返信する
ぐいぐいっと! (ブログ管理人)
2016-05-22 10:41:17
ありがとうございます!
でも押したりません!もっと、もっとー!!
ずうずうしくて、すみません
読もうとすると、もう一杯コーヒー飲もうかな~って逃げてしまいます。

私風の要約「パッと見の楽譜よりも、ちゃーんとメロディを聞きなさいね」ということなんだと思います。

メロディありき、すごく大事なことですね。

読まなきゃね!
後で…。コーヒー飲んで・・・
返信する
Unknown (三浦 郁実)
2016-05-23 10:10:45
とても面白いですね!
スウェーデンの曲は前半と後半で調が変わったり、あるはずの音がなかったりという曲が多いですが、そこがまた好きな部分でもあります。
動画の曲は知っていました!確かEmila Amperが弾いてました。
論文は私も今研究で読まなければならないんですけど、英語だし専門用語がたくさん出てくるしで読む気が起こりません( ̄▽ ̄)
でも好きな北欧音楽に関する論文なら読みたいと思いました笑
頑張って下さい(o^^o)
7/6すごく興味があります。
詳細を楽しみにしています!
返信する
ありがとうございます! (ブログ管理人)
2016-05-23 13:10:54
いくみさん
さすが!知ってる曲なんですね!
すごく沢山曲を知ってる!

研究は何ですか?絶対に読まないといけないとなると、ほんとに大変そう!

北欧音楽の論文もよみますかー?
読書会(笑)

7/6決まったらお知らせします!来てね!
返信する
超える。 (Yuki Noma)
2016-05-23 16:28:05
いつも面白い記事、ありがとうございます。(野間です)
たとえ知っていることでも、切り口や視点が違うので
本当に面白いです。

Sven AhlbäckのMelody beyond notes、未発見だったので早速ダウンロードしました。パッと見ただけですが英語なのが嬉しいですね!
僕はMats Edénに勧められて、彼の論文
Tonspråket i äldre svensk folkmusik
Låtpuls
の二つを買いました。
論文というより、たぶんKMHの授業で使っている
テキストだと思います。
CD付きで内容もすごく面白そうなんですが、完全スウェーデン語なのと80年代のテキストなので、読むには時間がかかりそうです。

Melody beyond notes、僕もトライしてみます。
そのうち意見交換しましょう〜。
あと、先の二つもし既読であれば助けてください(笑)。読書会しますか!

「メロディは楽譜を超える」それはこちらに来てすごく思います。僕は書くことは得意ですが、どんなに特殊記号をつかって書いても、楽譜にすると曲が痩せてしまいます。

なのでスウェーデンで勉強中は意識的に、楽譜を使わない(見ない書かない)で曲をおぼえたり、アレンジしたりするようにしています。
返信する
Tusen tack! (ブログ管理人)
2016-05-23 17:09:02
Nomaさん

わざわざこのブログに足を運んでいただき、また書き込みもありがとうございます!
私もNomaさんブログ楽しみしてましたよー。まもなくの帰国お待ちしています♪

Tonspråket i äldre svensk folkmusik
Låtpuls
はじめてききました。売りものですか?
かいたーい!
(先日はEinar OvergaardのNotesamlingをかってウフフと喜んでました(根がオタクでして)。)

特に、Tonspråket~のほうは、タイトルから、似たトピックの雰囲気ですね。今度みせてくださいね!

本題の論文、まだ1ページも読み進めてません…
読書会したい(笑)
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