スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

「ニッケルハルパ演奏の基本」動画3/3 -マイクの聞き比べ

2021-05-21 17:53:41 | ニッケルハルパ

前回の予告から時間があいてしまいました。撮影の都合を合わせたり、ミスが判明して撮り直して…、やっと動画をYoutubeにアップしました。

コロナの流行も2年目になり、皆さんはいかがお過ごしですか?

私の姉は、コロナ禍で転職し、皆がマスクだから顔が覚えられない!と嘆いていました。私は春に演奏の予定がありましたが、この状況なので中止に...。そんな中、知り合いが仕事を回してくれているのですが、私が最近手伝ったのは、いろんな国の参加者がいるオンライン会議の議事録作成とその翻訳というものでした。英語ネイティブではない人たちが自由に発言する英語って…ホントに、ホントに無茶苦茶でびっくり。単語の羅列、主語や目的語なし!時制もない…とにかく思いつく順に単語の羅列で発言するんです。割と専門的な内容なのですが、単語だけのマシンガントークで、しかもお互いに分かりあってるんですよね、不思議。そして、よくしゃべる!!タンゴ・マシンガンなので、どこがピリオドなのかもわかりゃしない。日本人は英語が下手と言いますが、「発言量の差」であって、「英語レベル」とは無関係なんだなーと実感。苦手意識あっても関係ない、単語で叫べー!ってことですね。

さて、今日の話題に戻り、ニッケルハルパのマイク比較です。

「良い音とは何?」

・ステレオだと良い音?モノラルだと劣る?

・リアルに近い音ほどいい?それとも、編集でバランスを整え人工的に完成された音がいい音?

・「リアルな音」「臨場感」とは、演奏者の立場での音?、客席側の音?、さらにホールなど音が立体的に包む空間で聞く音…?

こう挙げていくと、良い音とは好みに左右されます。私は、ステレオであっても、右からこちらの奏者、左からあちらの奏者の音がよく聞こえるというステレオ音は好きではありません。ホールで聞く弦楽器の音も柔らか過ぎてちょっと苦手。カーテン越しのような、自分の耳が遠くなった気がしてしまいます。弦楽器なら、よく響く小さめの部屋で弓が弦をつかむ音が分かるような音が好きです。私の祖父がオーディオ機器が好きで(オーディオシステムのために家まで改造するほど)子どもの頃から聞き比べについて行っていたので、マイクによる違いは割と昔から気になっていました。また祖父はコンサートもよく連れていってくれ、ブラスのフルバンドでも最前列中央~3列目までくらいの爆音の席を好んでいたので…それも影響していそうです。

<ニッケルハルパはどんな音?>ニッケルハルパを知らないという方のために...

その前にニッケルハルパってどういう音?という方のために説明すると、鍵盤があり、バイオリンのように弓で弾ます。鍵盤のカタカタ音や振動するザーっというノイズも聞こえます。メロディ弦とは別に、ベース弦(ドローン)がついていて低音もよく響きます。短い弓で弾くので、バイオリンのように(長い弓で)艶っぽい滑らかな表現はできません。はっきりしたクリアな音に、共鳴弦の音が絡みつきます。マイクを通すと高音がナイフのよう、とよく言われ、高音をカットします。

<手持ちマイクの聞き比べ>

マイクを買う時、ニッケルハルパ用マイクというレビューや記事はないので、他の楽器のレビューやサンプル音源を参考にしました。ちなみに、ピアノ、ギター、バイオリンでは、クラシックギターが一番参考になりました。

・5~10万円くらいのマイク(安い、中くらい、高価、でいう真ん中レベル)

・20畳ほどの部屋で収録

・DPAとリボンマイクは接近して、それ以外は1m離してマイク設置。

・マイクスタンドが足りないので、何回かに分けて収録

・音は原音のまま未編集

それぞれのマイクの簡単な特徴と、なぜそれを買ったのかも下に書いています。周辺機器、音の編集、演奏場所、マイク位置でも劇的に音は変わりますが、今回のテーマは同じ環境下でのマイクの音の違いです。

Youtubeにアップする前の動画はもう少し違いが聞いて分かるのですが、Youtube上で音が劣化するのか?違いが分かりにくくなってしまっています。

マイクを通した音は生の音とは違いますし、機会があればニッケルハルパの生の音を目の前で聞いてみてくださいね。(ヘッドフォン推奨)

Mic for nyckelharpa -DPA 4061, Golden Age Project, Soyuz 013 FET, Neumann KM183, KM183 Stereo Pair

1.DPA4061(低感度、無指向性、楽器に付けるミニチュアマイク)※4061は廃盤で、今は後継機種が出ています。

スウェーデンで、講師やミュージシャンに勧められたステージ用マイクがDPAです。DPAはデンマークの会社で、色付けなく原音を忠実に再現してくれると言われています。どのライブ会場に持っていっても、やっぱりDPAはいいね、と現場の方に言われ、いじっても音の芯が崩れない安心感があります。よくステージで使われるのは「高感度、指向性マイク」。私が使うのは「低感度、無指向性」です。高感度マイクは少し音がきついという話も聞きますが、私は試したことがなく分かりません。無指向性マイクはハウリングを心配する人もいますが、楽器編成(ドラムやエレキギターはいない)、立ち位置、他の人は指向性マイク、といった調整で問題なく使えています。ただ、レコーディングで使う場合は、すっきりサウンドで好みがある気がします。

DPA公式Youtubeで、バイオリンのセッティング方法が見れます。動画の最初のセッティングがグースネックです。私の使うタイプは、動画の後ろのほうで登場する弦の上にのせるタイプです。

2.Golden Age Project(低感度、双指向性、リボンマイク)

留学中の先生でもあり、数多くのライブをしてきたウロヴ・ヨハンソンのおすすめマイクです。ウロヴは、一度気に入ったら廃盤になっても浮気せずずーっと使い続けるタイプの人で、このウロヴがベストと言うのだから失敗はないだろう、と買いました。なぜ低感度?と尋ねたると「そのほうが良い音だと思ったから」とのこと。リボンマイクは10万を超すものが多いですが、これは5万円以下で買えます。音色は温かみがあり、今まで試し撮りの感想を人に聞くと、このマイクがベストだと言う人が多いです。ただ、実際の音より温かみを感じるので、自分の楽器の音じゃないような気がしてしまいます。また、リボンマイク自体の特性でもありますが、リボンが繊細で保管や使用に気を使うこと。それと、ホワイトノイズがかなりあり、機器との相性?編集でどうにかできるのか?頭を悩ませています。

ウロヴ・ヨハンソンがこのGAPのマイクを使用している動画があります。

3.Soyuz 013FET(指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

ロシアのハンドメイドマイクです。真空管マイクに興味があり前から試したかったのですが、どの記事を読んでも「あたたかみ」「色づき」「シルクのような」というのを強調していて、一つ前にあげたリボンマイクのように、「みんなは好きと言うけど本当の音とは違って聞こえる」かもしれない、と思っていました。この「真空管」と「FET」はよく比較されていて(FETは真空管に代わるものと開発された技術)、「FET」は真空管のようなあたたかみがあり、且つ、真空管よりも正確に音を捉えると聞き、気になっていました。無指向が欲しかったのですが予算オーバー。指向性マイクを買ってみました。使ってみて、中音域の音色が良いなと思いました。指向性だから共鳴弦の音が物足りない、とも感じません。ちなみに、アメリカのVintage Kingでセールで日本より安く購入できました。2日で届いたので国内の買い物のよう…。

バイオリンのサンプルですが、Soyuz公式リンクを貼っておきます。

Soyuz 013FET(モノラル)、 Soyuz 013FET(ステレオ)、ちなみにFETではなく真空管TUBEはこちらSoyuz 013Tube(ステレオ)

4.Neumann  KM183(ノイマン、無指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

Neumannノイマンは高価な定番マイクがありますが、10万円クラスでは「KM184、指向性マイク」がよく知られています(艶感、ふっくら、と聞いて気になっていました)。ですが、私が買ったのは「無指向性、KM183」です。前にも書きましたが、ニッケルハルパは、無指向性の音のほうがふくよかに録れる気がして…個人的に好きです。指向性マイクにある近接効果もなく使いやすいと思います。でも、無指向性マイク自体が日本では人気がないのでしょうか。レビュー記事もあまりなく、店舗在庫もなく…。海外では、弦楽器やコーラスで無指向をよく使うので英語ではレビューが色々と出てきます。比較したマイクでは、Neumannの高音が良いように感じます。Thomannというドイツのサイトで、こちらもセールで日本より安く買えました。(同じく注文後2日で到着。早い!)

5.Neumann  KM183 ステレオ・ペア(ノイマン、無指向性、ペンシル型コンデンサーマイク)

動画では、ノイマンのマイク2本でステレオ録音も撮影しました。2本になると豊かな音色です(ヘッドフォン必須)。ですが、鍵盤ノイズも増幅して聞こえます。録音方法など違う工夫が必要だったのかも。

皆さんの好みのマイクはどれでしょうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ニッケルハルパ演奏の基本... | トップ | 日本でニッケルハルパを弾く... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ニッケルハルパ」カテゴリの最新記事