スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

北欧の音色とは。

2016-11-21 17:31:14 | おススメCD~Swedish folk

皆さま、お元気ですか?私の近辺では最近、胃腸炎が流行っています。

ところで、先日買い物をして、レジでエコバックを出そうと取り出したら、パンツでした。驚愕です

階段にバッグを置いて、その一段上に畳んだ洗濯物を置いたのを思いだしました。荷崩れしたのでしょう・・・。皆さまも、お気を付けください。

さて10月は色んなところでお世話になりました。三田の北欧の音楽祭、そしてヨセフィーナ&ヨーナスのアテンドで長野、十津川村の玉置神社の奉納演奏と、足を運んでいただいた方々、本当にありがとうございます!

三田ではスウェーデンで会って以来の懐かしい方にも再会できて本当に良かったです。

長野では心のこもったおもてなしを私までいただきました。諏訪大社は手水舎はなんと温泉!ヨセフィーナ達と過ごした時のエピソードもまたちょこちょこと出していきたいと思います。

そして玉置神社は「行きたくても行けない、縁があった人だけがいける」と言われている神社なんだそうです。社務所は江戸時代の当時のまま今も使われていて中の屏風も圧巻!山道をゆく神輿や弓神楽も神秘的でした。標高1000m級で寒く、でも吸い込む空気がさわやか!最後のコンビニは到着2時間前くらいと、何から何まで秘境ですね。本当にすごいところでしたー。一緒に行った、のま夫妻が、ノルウェーのフィヨルドをドライブした時みたいー!と言っていました。その時の面白いエピソードも聞けました(今度本人に聞いてみてください)。


お知らせです。もう1週間きっていますが、11/27(日)の午後から、北欧のダンスと演奏の両方を練習できるワークショップです。3回目になりますが毎回1回完結なので、初めて参加される方も歓迎です。楽器はしないけどダンスだけやってみたい方も大歓迎です。今回はワルツです。初めての方でも踊れると思いますよ!スウェーデンのスウィング感のあるワルツをぜひ一緒に楽しみましょう。

来年の4月に、スウェーデンよりBritt-Marieというダンスの先生が来日し、このワークショップで教えてくれる予定です。今までもこうした来日講師の指導はありましたが、特定のクラブや経験者向けの催しが多いです。ですので、広く参加者を募るオープンなワークショップはとても貴重な機会です。4月のBritt-Marie来日に向けて一緒に練習しましょう!

リンクはこちら。https://tackk.com/swedishworkshop


最近はまっているアルバムは、Jonas&JosefinaのDag och Nattです。オリジナル曲が多いと苦手だと公言していましたが、これはあまりにも心地よく大好きです夜明けから深夜まで音から色が見えてきそうです。この動画Hemkomstenは時間も忘れて気聞いてしまいます。ため息ものの美しさ…

"Hemkomsten" Jonas Åkerlund och Josefina Paulson

さて今回テーマは「北欧の音色」です。

ここでは弦楽器についてです。そして、個々人のことではなく、「一般にイメージする北欧の音色」という話題です。

最近、アメリカやEU圏などの外国人が演奏する北欧トラッドを聞く機会が増えました。増えるほど、聞くほど、違いを感じます。外国人か、北欧の人か、北欧の人でもクラシック・メインにしている人かで、全然違う音色です。良い、悪いではないですし、バックグランドが違えば方言のように演奏にも出るもの。そういう多様性は個性的で面白いです。

でも、その違いは何か?何が、その音色は北欧とは違うと感じさせるのか?この違いが分かると、技術的なこと、意図した音色が出せないといった音色作りの助けになるんじゃないかと思うのです。

そこで、常日頃のこの疑問、先月、来日していたヨーナス&ヨセフィーナに聞いてみました。"スウェーデン人だな、そうじゃないな、と音色で分かるよね?なんでだと思う?"と。二人とも最初は「うん、うん、そうだ、確かにそうだ。」と大きくうなずき、そして理由を聞くと「そんなこと、考えたこともないし、聞かれたこともない。」と、二人とも真剣に考えこんでしまいました。

その時でた意見で、一つは「柔らかさ」です。

北欧フォーク以外では(バイオリンで)ボーイングはもっと柔らかく、左手の指板を押さえる指も柔らかい。でも北欧フォークではコツコツ聞こえるくらい鋭く叩くように押さえる、と。確かに、艶やかで滑らかな音色だと異国の印象があります(私が言うのも変ですね)。例えば、「スウェーデン人でバロックもフォークもやる〇〇〇(誤解をまねくので名前を伏せます)の音を聞いてスウェーデン人かどうか分からない。なぜか?」 ここでも話の結論は「柔らかさじゃないか」ということでした。でも、ヨーナスの音色はとても北欧的ですが柔らかい繊細な音です。柔らかさだけでは説明しきれていない気がします。すっきりしたような、しないような。

でも、あまり細部を考え始めると人による考え方の違いにぶつかります。

例えば、ある人は「スウェーデン人ってガシガシ弾く」と言いました。アグレッシブに弾く「スタイル」という意味ではダンス音楽ですしそうだと思いますが、私の「ガシガシ」の印象は「荒々しい、野太い音」で、違う気がします。、私の感じる北欧の音は、エコ指向の自然派のような感じです。田舎っぽい素朴さとか、都会の作りこんだ艶やかさではなく。すっぴんでもキレイみたいな。(変な例えですね)。もしくはスウェーデンのダンスが「瞑想のよう」と言われるので、「哲学的な音」というとしっくりきますがどんな音だかさっぱり伝わりませんよね。

元々私が思っていた北欧の音色は、「澄んだ響き」です。大昔から北欧フォークの人たちは無意識に求めていると思うのです。ニッケルハルパやスウェディッシュ・ヴィオラダモーレ、ノルウェーのハーディングフェーレにしても、昔から共鳴弦をつけるのが好きな人たちです。そこには「柔らかさ」よりも「透明感」「豊かな響き」「残響」に対するあこがれを感じるのです。※「木のぬくもりのある音」と言う人もいます。表現が違っても、北欧的かどうか音を聞いて答える時は意見が一致するので不思議です。

そして、スウェーデンでは昔から納屋で集まって弾いたり(結構な広さです)、屋外のステンマがあったり、大きめの空間や自然の中で楽器をよく響かせる機会が多かったせいでしょうか。外も静かなせいか、音が吸収されて小さくなるという感じがあまりしません。それで、フィオール(バイオリン)に対しても同じで、楽器をよく響かせる、よくボディを鳴らすような弾き方をするのかなと。弓も小さく使うより大きく使います。

この北欧らしい音色についての質問を以前、ハーディングダモーレ奏者の野間さんにもしたことがあります。その時に野間さんが言っていたのは一つには「気候」の関係があるのでは、と。湿度の高い、低いで鳴り方が違うから、という話でした。なるほど、一理あると思います。

ヨセフィーナ達に「気候相違説」をぶつけてみると、首をひねります。でもね、ヨセフィーナ、日本に来て最初のライブで湿気で固まった鍵盤を削ったでしょう。ドライバーにナイフにやすり、鉛筆…と探して走り回ったじゃない!「この湿度がボーイングに(音色に)何の関係もないってことはないでしょう!」と思うのです。それも一時滞在先ならまだ腕が記憶しているけど、仮に日本に10年住んで弾き続ければ音の出し方は変わるんじゃないでしょうか。

であればもっと自然に力を抜けるような、練習に向いた場所が必要ということですね。早速、自宅のそれぞれのポイントで響きをチェック!

1.ダイニングリビングと一続きの空間。 →普通。

2.床の間の前(床の間の天井は高いので) →悪くないかも?いや、床の間の壁に近づきすぎて反響がきつい。

3.玄関(天井が高く、靴を脱ぐところは固いコンクリート、且つ低い。)→よく響く!でも、近所への音もれが気になる。

4.お風呂(狭い空間で逆によく響くかと)→楽しい~!教会の響き!?いやいや、反響がわんわんなって耳が痛い…

5.壁をまだつけてない2部屋と廊下が一緒になった空間(家具もほとんどない)→部屋の端に立って中央に向かって弾くとすごく自然。

ということで、我が家は3と5が、腕の力がいい具合に抜けて弾けることが分かりました。でも、普段の練習には問題が…。3も5も冷房と暖房がありません。春と秋の限定期間のみですね。でも10月はクーラーがいる暑さで11月は暖房いる寒さで、一体、日本の秋はいつなんでしょうね

さらに、この話、もう一つ加えて

1.「フィドルから始めたニッケルハルパ奏者の音色」

2.「ニッケルハルパ奏者が弾くフィドルの音色」

これも特徴的です。1は、そういう人が実際に多いから聞いたことある方も多いでしょう。でも、2はあまり普通には聞く機会がないですよね。現地でセッションしていると楽器を持ち替えて弾き始めることが多く、その時に気づきます。(※ヨセフィーナは、上記1,2どちらも関係なく器用に弾きこなす奏者だと思います。)2はどんな音かというと、パスパスした輪郭のはっきりしない音になりがちです。これは共鳴弦を鳴らすために抜く力加減が癖づいているせいかもしれません。力を抜くのが肝心といいつつフィドルのほうがしっかり弾くということでしょうか。

先日、音楽関係じゃない人から「ニッケルハルパで今後どうしたいのか?もっとライブをしたいのか?日本で普及させたいと思っているのか?」と聞かれました。なかなか、私の思いを理解してもらえないのですが(理解しにくいだろうと思います)、私の思いはただ純粋に「本気でこの道を極めたい」。遊びとか息抜きと思ったこともなく、でも普及とか具体的なこともあまり頭にありません。すると「じゃあ、究めるとは音楽で食べていきたいという意味?」と聞き返されました。お金は大事ですが(笑)、それとこれももあまり関係ありません。「じゃあ、何がしたいの!?」最後によくこう聞かれるのです。留学の時もそうでした。「目的は何!?」と。目的は「極めたい」。それでは世間的にはダメなようです・・・。

人による音色の違いという個性は結局のところ残りますが、それでも、私の極めたい音は、芯の芯まで「北欧の音色」です。

理想の音色、自分が思う北欧の音色、人それぞれ異なると思います。皆さんも自分の求める究極の音に近づけますよう!!

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2 コメント

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!!! (josan)
2016-11-23 22:39:58
いきなりのパンツ登場に私も驚愕しましたw
どういう展開かと心配しましたが、本論の素晴らしさに思わずFacebook、ツイッターでもシェアしました。
ぜひ多くの方に読んで頂きたいと思います。
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そうですよね~ (管理人)
2016-11-24 11:35:34
パンツどどーん、は本当に驚きでした。
イマドキ、セルフレジで良かったです。フックに引っ掛けるところでしたが。

本題の「音色」のこと、日本で日本人とよく議論したことがないので、議論といっても好みの問題も絡むので、ゆる~い感じでお話しできたらいいなーって思います!
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