スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

トルビョンのレッスン ~番外編

2007-10-08 01:19:53 | 番外編
「イベントお知らせ」カテゴリでも書いた、トルビョン・ネスボム(Torbjörn Näsbom)のニッケルハルパとチェンバロのコンサートに行ってきた。
(東京公演はロバハウスでこれから)

以前、「おススメCD」でもVattenというアルバムを紹介したことがある。
友人Eの先生だったのがきっかけでCDを聞き、一発ノックアウト。
上手すぎる!

来日なので場所は日本。
このブログは一応「留学日記」なので、どうしようか迷いましたが、
特別に受けたレッスンの話もあるので、今回は番外編として書きます。

曲目は、新作CDの曲目中心。
民族音楽と表にあっても、中身はクラシック。
ただ、トルビョンの腕前で(本業はクラシック・バイオリニスト)、かつニッケルハルパでバッハ!?
それは、どんな音色なのか興味しんしんなところ。

コンサートに行って納得。
ラストのラフォリアは特に圧巻。
開いた口がふさがらないというか、弓さばきも軽やかで人間ワザとはとても思えない...

弦楽器を奏でるネッケンは、水の精(06年9/2に書いた、悪魔みたいな精)。
そしてトルビョンはVatten(水)という曲を作曲し、代表曲だ。
私が書道と弦楽器の演奏は同じものを感じると、お寺のお坊さんに話したら、
音楽も書道も、東洋思想では「土」とか「火」とか5大要素の中では「水」になるそう。

なんだか、水つながりだ。

さて、なんとまあラッキーなことに、翌朝はトルビョン直々のレッスンを受けることができた。
トルビョン、「和紙のキレイな折り紙が欲しいな。子供にあげたいんだよね」。
そんなこと言われたらあげたいでしょ!
早速レッスン受けてる間に人に頼んで買ってきてもらった。

レッスンは、いろんな曲を習いたかったけど、テクニックのみにしぼった。
(トラッドでレッスンというと、通常は曲を学ぶ。「伝承曲」というジャンルだからね。)

トルビョンの弾き方はウップランド、または伝統的なニッケルハルパの奏法とは異なる。
クラシックバイオリンをニッケルハルパにあてはめるのだ。
これには賛否両論ある。
(あのヴェーセンのウロフでさえ、バイオリンのような手首の返しは重要でないと考える)
トルビョンの楽器の音色も典型的なものとは違い、バイオリン的というのか、それこ例えるならピアノとチェンバロくらいの違いを感じる。

「好きか嫌いかは自分で判断して。でも自分はこういう奏法だから」というトルビョン。
いやいや、好きだからレッスンを頼んだのです。
優れたプレーヤーの良い面は積極的に取り入れたい。

さっそく立って、椅子にすわる私の手のひらをつかんで引っ張りあげる。
「力ぬいて。もっと、もっと!」と。

「体が水になって床に崩れ落ちるくらいリラックスして!口半開きになるくらい力抜いて」と、白目をむいて弾くトルビョン。
は!ネッケンにとりつかれた!?
いえいえ。

左手の鍵盤部分を押さえる手も力を抜くようにって。
そして完全にリラックスができるよう、最適な楽器を持つ角度を探さないとだめって。
私は高いキーを押さえるときに、左手の形が変わる。これは×なんだそう。

「リラックスすればするほど、音量もおおきくなるよ。もっと"in the string"で弾いて。」
これもバイオリンではよく言われるけど、ニッケルハルパではあまり聞かなかったことだ。
どちらかというと、ノリ、アクセント、パーンとで出しをはじくように弾く弾き方などを中心に練習してきた。
ただ、この"in the string"って、日本語では何というのか分からない。
スウェーデンでも、バイオリン出身者の同級生がよく"in the string"で弾くという表現をよくしていた。
イメージするに、ねちっこく、「水」っぽく、いかにも弓で弾くよいう音を出すことじゃないかな。

レッスンは、とってもエネルギッシュかつ怒涛のトークで(ものすごい勢いでしゃべっていた)あっという間に終わった。
貴重な時間でした。
「移動が多くてお花持って行けないから」と昨夜のコンサートのお花をいただいてしまった。
お花を用意した関係者のみなさま、うちに飾ってしまってごめんなさい~!!

皆様にもおすそわけということで、写真でどうぞ。
コメント
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