モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

インシュレーターに関する科学的見解を抄読する。

2021-09-04 15:32:18 | オーディオ
以前にフリー公開されたら是非読みたいと書いていた
オーディオインシュレータにおける円柱や円錐の振動伝搬特性の解析と実験的考察

がフリー公開されたので読んでみた。
正直和文とはいえ久々の論文だったので、眠い頭ではなかなか入ってこず何日かかけて理解できる範囲で読んでみた。

・円柱と円錐と逆円錐でインシュレーターとしての特性を比較
・円柱インシュレーターは割とシンプルな振動減衰を示す。
・円柱型はトリッキーで、電気でいうところのダイオードのように一方の方向にのみ振動伝播のインピーダンスが高い。円柱の底面から先の方向に振動を伝達しづらくなる。
・ただその片方向の絶縁は交差周波数より低周波のみで発揮されるものであり、それより上の周波数では絶縁性能は十分発揮されない。交差周波数は円錐の角度や素材によって決まる。
・角度によって様々であるが円錐真鍮インシュレーターの交差周波数は2k~8kHzである。私見ではあるが円錐の角度90度のインシュレーターが30度、60度と比較して絶縁性能が良いようである。

床方向にスパイクを刺した場合に期待される効果としては
「低域〜中域の周波数で床が振動している場合に、その振動がオーディオ機器に伝わってしまうことを防ぐ」
という効果が期待できるようである。

裏を返して言えば、
「スパイクを刺す床が強固ではなく共振しやすいのでスピーカーの振動を床に伝えたくない」
「中高域〜高域の音を絶縁したい」
というのであればスパイクは不向きということになる。

またオーディオ機器からスパイクを通して床に振動を伝えるインピーダンスは低いことから、
スピーカーから生じる余分な振動を床に逃がすことで、止めたいときに早く止めることに寄与できる。制動のきいたキレのある音にできると思われる。
床に振動を逃がすとすれば、逃がした先で適切な処理が必要である。スパイクを受ける床は強固でなければならないが、内部損失が小さい素材だと受け止めた床で振動が続いてしまうため、多少絶縁しているとはいえ振動の逆流の懸念がある。内部損失が大きい素材で強固なスピーカーベースとするのが合理的である気がする。
スパイク受けがある場合は挙動がさらにややこしいものとなるが、スパイク受けは床がある程度優れたものであれば、基本的にはスパイク受けに流入した振動をそのまま床に伝えて床で受け止めて貰うものが良いのではないか。
もしくは、床とスピーカーの間にスパイクとスパイク受けが入るという構造は円錐型のインシュレーターと円柱型のインシュレーターの両方を重ねおきしている状態とも解釈することもできる。その場合両方の特性を取り入れているとも解釈できるがどうなのだろうか。

床の中高域の振動をスパイクが絶縁できないことに関しては論文にあるとおり、床の振動する周波数を考えれば低域に偏っているので大きな問題にはならないように思われる。

スピーカーベースの強度に不安がある場合にはスパイクよりも円柱のインシュレーターの方が良さそうである。

ということでよく分からなかったインシュレーターの使いこなし方に関して科学的見解を多少取り入れられることができ、おまじないとか当てずっぽうとか雰囲気でチョイスするという状況から脱出できそうでありがたいことである。

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