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デジタルチャンネルデバイダーのメジャー化の兆し LINN EXAKT

2015-08-01 09:34:53 | オーディオ
一般的なマルチウェイのパッシブスピーカーは、
スピーカーユニット毎に得意な帯域と苦手な帯域が有り
苦手な帯域の音を出さないため、同一周波数でのユニット間の干渉を避けるため、スピーカーの故障を避けるために
コンデンサーによる周波数フィルターがかけられています。
(ソニーのコンポで大音量の超音波を発する不具合から回路が焼ける不具合がこの前発表されたように、フィルターは音量調整だけでなく、製品の故障防止や安全性確保にも重要なものです。)



一方そのネットワーク回路はある意味、音の純度を下げるものであるのは事実です。マルチウェイスピーカーにとっては無いと困るのものなので、付けないわけにはいかないが、音の鮮度には良くないという必要悪の存在という考え方をされているフシもあります。
B&Wなんかはネットワークはできるだけシンプルにして、シンプルな回路でも周波数特性がスムーズに繋がるような振動板を設計することで、必要悪なコンデンサーを通す回数をできるだけ少なくしています。

ただ、周波数のハイパス/ローパスフィルターはアナログなコンデンサーによるフィルターだけでなく、現在ではデジタルチャンネルデバイダーというものも存在します。デジタル情報で特定の周波数を削除するなら、理論上音質の劣化は少ないはずです。

それを利用したLINN EXAKTというシリーズが存在します。
ダイナミックオーディオの紹介ページです。


デジタルチャンネルデバイダー機能を備えたプレーヤーとマルチチャネルアンプ、ネットワーク回路をスキップしたスピーカーを組み合わせて使うシステムで、ツィーターには高域用、ウーファーには低域用の音声情報をアンプに入る前から別々に作り増幅させ、バイアンプで別々の情報を各スピーカーユニット毎に鳴らします。しかも部屋の音響特性を補正するようなイコライジングもデジタル時点で行うという機能も付いています。
これであれば、アナログのネットワーク回路による音質の劣化や部屋の特性による周波数特性の乱れをなくすことができるわけで、デジタルのメリットを可及的に利用することにより音の純度や特性を向上させることのできる革新的なシステムなわけです。



ただ、私としては導入には慎重です。
理由としては

1.スピーカーがアナログネットワークを通すことが前提で作られている。
「全か無か」ではっきり分けることができるデジタルの利点ですが、最終的に音を出すのはアナログ回路の振動板です。
アナログ回路でなだらかに周波数カットされることを前提に2つのスピーカーユニットをクロスオーバーさせているので、
それを「全か無か」で区切ってしまうと、例えば4000Hzでカットオフする場合、3999Hzはミッドレンジだけで鳴らして、4001Hzはツィーターだけで鳴らすということもできてしまうわけです。
そしてその帯域でビブラート音が出る場合、ミッドレンジのケブラーの音とツィーターのダイヤモンドの音がものすごい短い間隔で交互に入れ替わる現象が起こってしまうという事態が起こりえます。
振動板の材料が異なるユニットでそういう音を出したら、それはものすごい違和感になってしまう可能性があります。もちろんデジタルでもなだらかなフィルタリングを作り上げることもできますが、それではユニット間の干渉を防ぐというデジタルチャンネルデバイドのメリットの一部がなくなります。
結局何が言いたいかと言うと、EXAKTのシステムはデジタルチャンネルデバイドを行うことが前提で作られたスピーカーでないとあまり効果が得られなかったり、逆に変な感じになる可能性があるということです。

2.スピーカーの改造が必要
これは結構大きいです。オーディオ趣味にとって下取りは重要な要素です。中古で高く売れるというのはこの趣味を続けるにあたって大事です。それを、ネットワークを短絡させる処理を行うと、自己責任の改造となってしまい、故障したときの保障も受けられなけれないだけでなく、下取りの価値も下がってしまいます。

3.入力が制限される
直前までフルデジタル処理されるので、アナログ音源の利用や、シアターとの併用に制限が出ます。デジタル規格に新しい物が出た場合、機器を大きく更新する必要に迫られる可能性があります。デジタルの規格は日進月歩なので、無視できません。

4.従来の資産が活かせない上に高い。
EXAKTのシステムが高価だし、アナログアンプが使えないしで、スピーカー改造してまで導入して、音質に納得いかなかったとしたら、相当な大惨事です。
安く買って気に入らなかったら買値と同額程度で売るという、ダメージの少ない導入ができません。試聴を重ねて覚悟を決める機会を作れないならば買わない方が良いと思います。

そんな感じで、自分としてはすごい興味あるけど、正直手が出ません。従来版とEXAKT版の802SDの比較試聴してみたいなあとは思っています。

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