ここ1年の趣味であった新オーディオルームを設計するという作業であったが、忘却したアイディアもありそうなのでひとまず時系列にまとめてみる
2020/05/28
現オーディオルームのチューニング後の特徴を簡易モデル化したもの
2020/06/19
RFZを意識したクサビによる一次反射面のRedirectionを中心としたオーディオルーム案
これはこれで理にかなっているとも思えるが、実際この響きがイマイチと感じた場合にリカバリーが相当に難しいと思われる。
2020/06/29
そこからさらに発展させ、吸音や拡散も組み合わせつつ一次反射面の細工の厚みも減らす努力をしたデザイン
防音のための二重扉や機材室も設計されている。
かなりタイトなエリアに色々な物を組み込んだ力作ではあるが、実際の建築で吸音材を分厚く入れられる余裕があるのか未知数であり、反射壁もしっかり剛性を維持できるのかもやや怪しい。
今考えると複雑に配慮された音響処理を壁構造に無理矢理組み込むことのつらさを感じさせる。
2020/08/15
一次反射を無くさないようにしつつ、半円柱を使ってそれを数個に分散し、時間差をつけて受け入れるログハウス風オーディオルーム案。
自然のままの形態が音響障害が少ないんじゃないかというナチュラル志向が強まっている時に考えた物。
半円柱の丸太の径を相当大きくしないと中低域が理屈通りに分散してくれない可能性があり、
そうだとしてもリカバリーがほぼ不可能で、大きな丸太を使うと壁が重くなりすぎて建物として怪しくなってくるという今考えると相当に低効率のアイディア
2020/09/11
上記の案でインパルス応答を自分の理想にさせるためにクサビを入れたり、縦横を計算して組み合わせている。
ある方向へは拡散するが別の方向にはあまり拡散しないという1次元の拡散体を用いてある程度はインパルス応答特性をコントロールをするという発想がこの辺りから採用している。
この発想自体は基本的には継続して採用しているスタンスである。
2020/09/13
スタンスがRFZに戻っているが、後方が吸音+拡散構造になっており、吸音層が定在波のような周波数にも対応できるような厚みになっている。
これはこれでいい気もするがRFZが自分にとって正解なのかという疑問がシミュレーションだけだと結論がでないことにより考察が続くことになる。
2020/09/16
飾り棚にもできるくらいの大きめの横リブを配置させ、リブ間に拡散や吸音や反射などの可変機構を必要に応じて入れられる構造を取り入れている。
望ましくない一次反射面には吸音+拡散を入れたり、高所には可変機構を入れずに旧来の縦リブを入れたりしている。
この飾り棚で響きを調整する発想はこれ以降メインになっていく。
2020/09/26
前回の案を微調整したもので拡散+吸音部をクサビにしたり、縦リブの量を調整したりで全体的なバランスを調整している。
2020/10/17
ここにきて横長の部屋も真剣に考えている。定在波シミュレーションもそんなに優秀という程でもなく空間効率もイマイチだったため、横長の構想は今回だけになっている。
2020/11/08
拡散と吸音を主体にした処理を推奨するAcoustic Fieldsのコンセプトに則りデザインした案。
これまでのコンセプトとは別のアプローチになっている。
当然ながらその処理に自信があるわけでもなく、側面壁はもはやすべて可変機構になっている。
そもそも建造物の構造として調音体を固定させる手法から大きく逸脱を始めている。
2020/11/13
最終的にはモジュール化された棚を敷き詰めることになる。特殊な壁を作ることで音響処理をするのではなく、棚に置くことで音響処理ができる。
なので建築として完成させた後で、反射、吸音、拡散のさせ方をどうするのが理想的か実践して確かめる、という部屋の設計時点では音響処理の正解を決めない手法になる。
壁面収納型がこのコンセプトにおいてベストな構造なのかは再検討の余地があるかもしれないが、コンセプト自体は個人的にはこれがベストと思われる。現実的に何回も部屋を作れる設計建築のお仕事をするか大富豪でもなければ机上の空論の域から抜け出せないからだ。
理屈だけで決め打ちができるだけの実践力がない以上リカバリーに全振りするしかない。
2021/03/19
可変機構に正解を見いだしたのはいいものの高所と天井の音響可変が厳しいというところから、後方の一部を中2階にする案を考え始める。
正規ポジションでの死角となる中2階が、現在の部屋でも感じていた高天井のメンテナンス性の悪さであったり、真面目にリスニングするための専用部屋を作るとだらしなくゴロ寝したり雑多に散らかしたりできないという「利便性と部屋の響きの両立」の難しさであったりというものを解決しようと考え始めるきっかけになる。
今回設計しているのは業務で用いるモニタールームではなく趣味の部屋。なのでいつも真面目に使う部屋ではない。真面目に聴かない時も使いやすいよう配慮することが大事になる。それでいて響きが良く、見た目も汚い部屋にならない工夫を盛り込むことの大事さに気づく。響きの良さだけ考えても使いやすいオーディオルームにはならない。
2021/04/08
中2階に加えて吹き抜けのキャットウォークを応用した格子床と格子の手すりで構成された作業用通路を組み込む案を考え始める。
格子の作業用通路自体が高所の拡散体になることもメリットだが作業用通路からであれば天井も簡単に手が届くという事実に目をつけて、天井リブと天井の隙間に吸音ボードを入れたり外したりできる機構を組み込む。
天井の調音を安全に容易に行うにはどうすれば良いのかは以前からずっと悩んでいたがようやくそれなりに納得できるレベルの発想にはなってきた。
2021/04/11
という変遷を経て先日の部屋のシミュレーションに至る。具現化できた場合は可変機構で以前に考えた案と同じような音響特性を作ってそれぞれを実践して検討する必要がある。
なので今回過去の案をまとめて見られるようにしておくことの意義はそこである。
2020/05/28
現オーディオルームのチューニング後の特徴を簡易モデル化したもの
2020/06/19
RFZを意識したクサビによる一次反射面のRedirectionを中心としたオーディオルーム案
これはこれで理にかなっているとも思えるが、実際この響きがイマイチと感じた場合にリカバリーが相当に難しいと思われる。
2020/06/29
そこからさらに発展させ、吸音や拡散も組み合わせつつ一次反射面の細工の厚みも減らす努力をしたデザイン
防音のための二重扉や機材室も設計されている。
かなりタイトなエリアに色々な物を組み込んだ力作ではあるが、実際の建築で吸音材を分厚く入れられる余裕があるのか未知数であり、反射壁もしっかり剛性を維持できるのかもやや怪しい。
今考えると複雑に配慮された音響処理を壁構造に無理矢理組み込むことのつらさを感じさせる。
2020/08/15
一次反射を無くさないようにしつつ、半円柱を使ってそれを数個に分散し、時間差をつけて受け入れるログハウス風オーディオルーム案。
自然のままの形態が音響障害が少ないんじゃないかというナチュラル志向が強まっている時に考えた物。
半円柱の丸太の径を相当大きくしないと中低域が理屈通りに分散してくれない可能性があり、
そうだとしてもリカバリーがほぼ不可能で、大きな丸太を使うと壁が重くなりすぎて建物として怪しくなってくるという今考えると相当に低効率のアイディア
2020/09/11
上記の案でインパルス応答を自分の理想にさせるためにクサビを入れたり、縦横を計算して組み合わせている。
ある方向へは拡散するが別の方向にはあまり拡散しないという1次元の拡散体を用いてある程度はインパルス応答特性をコントロールをするという発想がこの辺りから採用している。
この発想自体は基本的には継続して採用しているスタンスである。
2020/09/13
スタンスがRFZに戻っているが、後方が吸音+拡散構造になっており、吸音層が定在波のような周波数にも対応できるような厚みになっている。
これはこれでいい気もするがRFZが自分にとって正解なのかという疑問がシミュレーションだけだと結論がでないことにより考察が続くことになる。
2020/09/16
飾り棚にもできるくらいの大きめの横リブを配置させ、リブ間に拡散や吸音や反射などの可変機構を必要に応じて入れられる構造を取り入れている。
望ましくない一次反射面には吸音+拡散を入れたり、高所には可変機構を入れずに旧来の縦リブを入れたりしている。
この飾り棚で響きを調整する発想はこれ以降メインになっていく。
2020/09/26
前回の案を微調整したもので拡散+吸音部をクサビにしたり、縦リブの量を調整したりで全体的なバランスを調整している。
2020/10/17
ここにきて横長の部屋も真剣に考えている。定在波シミュレーションもそんなに優秀という程でもなく空間効率もイマイチだったため、横長の構想は今回だけになっている。
2020/11/08
拡散と吸音を主体にした処理を推奨するAcoustic Fieldsのコンセプトに則りデザインした案。
これまでのコンセプトとは別のアプローチになっている。
当然ながらその処理に自信があるわけでもなく、側面壁はもはやすべて可変機構になっている。
そもそも建造物の構造として調音体を固定させる手法から大きく逸脱を始めている。
2020/11/13
最終的にはモジュール化された棚を敷き詰めることになる。特殊な壁を作ることで音響処理をするのではなく、棚に置くことで音響処理ができる。
なので建築として完成させた後で、反射、吸音、拡散のさせ方をどうするのが理想的か実践して確かめる、という部屋の設計時点では音響処理の正解を決めない手法になる。
壁面収納型がこのコンセプトにおいてベストな構造なのかは再検討の余地があるかもしれないが、コンセプト自体は個人的にはこれがベストと思われる。現実的に何回も部屋を作れる設計建築のお仕事をするか大富豪でもなければ机上の空論の域から抜け出せないからだ。
理屈だけで決め打ちができるだけの実践力がない以上リカバリーに全振りするしかない。
2021/03/19
可変機構に正解を見いだしたのはいいものの高所と天井の音響可変が厳しいというところから、後方の一部を中2階にする案を考え始める。
正規ポジションでの死角となる中2階が、現在の部屋でも感じていた高天井のメンテナンス性の悪さであったり、真面目にリスニングするための専用部屋を作るとだらしなくゴロ寝したり雑多に散らかしたりできないという「利便性と部屋の響きの両立」の難しさであったりというものを解決しようと考え始めるきっかけになる。
今回設計しているのは業務で用いるモニタールームではなく趣味の部屋。なのでいつも真面目に使う部屋ではない。真面目に聴かない時も使いやすいよう配慮することが大事になる。それでいて響きが良く、見た目も汚い部屋にならない工夫を盛り込むことの大事さに気づく。響きの良さだけ考えても使いやすいオーディオルームにはならない。
2021/04/08
中2階に加えて吹き抜けのキャットウォークを応用した格子床と格子の手すりで構成された作業用通路を組み込む案を考え始める。
格子の作業用通路自体が高所の拡散体になることもメリットだが作業用通路からであれば天井も簡単に手が届くという事実に目をつけて、天井リブと天井の隙間に吸音ボードを入れたり外したりできる機構を組み込む。
天井の調音を安全に容易に行うにはどうすれば良いのかは以前からずっと悩んでいたがようやくそれなりに納得できるレベルの発想にはなってきた。
2021/04/11
という変遷を経て先日の部屋のシミュレーションに至る。具現化できた場合は可変機構で以前に考えた案と同じような音響特性を作ってそれぞれを実践して検討する必要がある。
なので今回過去の案をまとめて見られるようにしておくことの意義はそこである。