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【新シリーズ開始記念】「ルパン三世」テレビスペシャル&スピンオフ一気見!

2021-10-08 | TV/ルパン三世

最近、映画化される「カーボーイビバップ」
9月に配信が始まった「パディントンの冒険」を見ようとNetflixを開いていたら、
つい未見だった「ルパン三世」テレビシリーズPart 5を見始めてしまい、
そこから近年のテレビスペシャルを怒涛のごとく遡って鑑賞しています。
こんなに毎日「ルパン三世」ばかり見てるのは人生で初めてかも。
Netflix契約料金の元が取れたかな。

10月9日に英国を舞台にしたシャーロック・ホームズも登場するという新テレビシリーズPart 6が放送予定で、
次元役の小林清志も勇退という話題が頭に残っていて、指が動いたのかもしれません。
(小林さんは私の大学の先輩にあたり、同じ東京人でもあり、
 以前ラジオで大学時代の校舎の思い出話を聞いて以来、勝手に親近感を感じています。)

 

「ルパン三世」というと、私は山田康雄がご存命だったテレビスペシャルと
当時繰り返し再放送されていたテレビシリーズPart 2で育った世代で、
新作は20世紀末からだんだんリアルタイムでは見なくなっていったのですが、
その後もCSで過去のエピソードが放送されていると見たり、
2011年に開催された松屋銀座のルパン三世展を見に行ったり、
普通の一般的な映像作品好きの日本人として興味を失ったことはありませんでした。

(そういえば、ホームズは好きなのに、アルセーヌ・ルパンは一度も読んだことなかったなー私
 「銭形平次」なら毎週見てるけど…)

 

Part 5は、SNS時代のルパンの活躍が見られるのがとても新鮮で、
軸となるAI技術で行動予測され追い詰められるルパンのストーリーと、
仲間との踏みこんだ会話のやり取りに引き込まれて、一気に完走してしまったわけです。
どんな時代の困難な状況でも、飄々と、軽々と飛び越えてみせるルパン達を見て
妙に元気づけられた気がしました。

ルパンと次元(もしくはルパンと銭形のとっつあん)が恋人だと誤解されて
疑われるほど仲がいい関係を現代っぽくブロマンス風に表現したり、
ルパンと過去に組んでいたらしいアルベール・ダンドレジーというゲイのキャラクターが登場したり、
(ダンドレジーは初代ルパンの母の旧姓なんだそうな。友達以上恋人未満の関係なのかと思ったら親戚なのか…)
描かれ方も随分変化してるんだなーと嬉しくなりました。

 

そして、いい機会だからしばらく見ていなかったテレビスペシャルを
(とりあえず配信されている分だけでも)見直そう!
と勢い余って決心しちゃったのですが、特番だけとってもかなりの本数あるのですでにヘトヘトです。

やっぱりテレビシリーズの方が面白いよなーと思いつつ、
しかしせっかく見始めたので、軽い気持ちでツッコミ入れながら、
各作品の印象を残しておこうと思います。

新しいものから遡って見ているので、下にいくほど古い作品になります。
好みの作品には星を付けました⭐️
(まだ途中なので、見終わった作品は追記予定。)

まずはスピンオフから。

 

スピンオフ


『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(2014)
『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(2017)
『LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘』(2019)

については劇場公開作の記事で触れています。

『LUPIN THE IIIRD 峰不二子という女』(2012)⭐️

峰不二子が主人公のスピンオフ・シリーズ全13話。
前述の劇場公開作よりも前に作られていますが、私が見たのはその後。
こちらも原作をリスペクトしたダークな作風になっている。
60年代を意識したゴリゴリ前衛テイストって、
高校の頃、寺山修司にハマってた同級生たちが書いていた文章や絵を思い出し、
大人になって見ると深夜にラーメン食すような胃もたれ感がある。
13話見るのは、正直しんどい。
ただし、ウブな五ェ門が不二子に好意を持って「ガールフレンド」だと思っているのが最高にかわいいし、
媚薬を持ってしても不二子に色気を感じない次元が「へなちょこマグナム」呼ばわりされるのが可笑しい。
(しかしギャングの女と関係を持っているので、本当にへなちょこなわけではないのだ。)
というわけで、はじめの3話くらいが好みでした。

 

テレビスペシャル

第27作『ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト』(2019)⭐️

死刑が決定した現代の義賊フィネガンを救出し、彼の宝の分け前をもらおうと、
フィネガンに恩義を感じる名だたる盗賊達と同様に、ドルエンテ王国にあるエルギュイユ監獄へ向かうルパンたち。
しかし助けたはずのフィネガンによって監獄の外に叩き落とされてしまう。

五ェ門を国を救う伝説の剣士だと信じる騎士のベルテとのやり取りや、
サンドイッチをルパンたちの腐れ縁に見立てた会話が好き。
ルパン一味っぽくないセリフが多いのが気になるが、
銭形&八咫烏を巻き込んだ監獄での戦いもあり、
後述の「グッバイ・パートナー」よりは好みのストーリーだった。

第26作『ルパン三世 グッバイ・パートナー』(2019)

配信ではなく、2021年10月12日深夜放送の「映画天国」枠で観賞。
ルパンの犯行を計画し、共謀した張本人であると誤解された銭形警部が逮捕される。
プライドが許さないルパンは、自分が全ての犯行の計画者であることを証明するため、
量子コンピューター完成の鍵となるタイムクリスタルを盗むことに。

「史上最強の敵、相棒・次元大介!!」という宣伝文句で、
てっきりグッバイするパートナーはルパン&次元のことかと思ったら、
どうやら次元と昔の恋人(とその娘)のことを指していたらしい。
かといってその恋人との出会いのエピソードなんかは描かれないのでタイトル(あるある)詐欺のように感じる。
ちょっと「シティーハンター」の海坊主とバイオリニストの真希の話を思い出した。
元傭兵と音楽家の娘の組み合わせはギャップが魅力的なんだろうな。
コンピューターの制御にショパンの曲が必要というのは、ヒロインありきで付けた設定っぽい。

第25作『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』(2016)

 

第24作『ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜』(2013)

シャハルタ共和国のヘリウムをめぐる、国と多国籍企業そして空賊の攻防。
風の谷のナウシカとラピュタが混ざり合ったような設定の話。
(メーヴェのような凧や、風に乗る、といったワードも出てくる。)
次元が子守をしながら戦う姿を見て、ジョン・ウーの「ハードボイルド」を思い出す。
千葉繁が演じるミスターGのイカれ具合が最高だった!

第23作『ルパン三世 東方見聞録 〜アナザーページ〜』(2012)

財宝のありかが記されているマルコ・ポーロの「東方見聞録」の幻の1ページを追ううちに、
ルパンと次元は、岩手で宝物を守る一家と出会った五ェ門と合流することに。

キャラクターデザインが「名探偵コナン」の須藤昌朋のため、
コラボ作品でもないのにどのキャラを見ても「コナンに出てくるキャラだな…」と思ってしまう。
走る途中で立ち止まっているのに背景の街は動いている、というようなコマの粗も気になる。

第22作『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(2011)⭐️⭐️

不二子&銭形&五ェ門の新キャストが初参加したアニメ化40周年記念作品。
こちらは佐藤好春がキャラデザインで、ジブリ!もしくは世界名作劇場!って感じ。
八百比丘尼伝説から活性細胞と不老不死を結びつけた話で、
流れるような話の展開に乗っかり、最後まで楽しめた。
最後の戦いには面食らったけど。
銀座で「龍鱗石」を盗むルパンの手際の良さ! あーいうシーンは繰り返し見られる!
冒頭から野沢雅子が登場して、それだけでこの一本の気合の入り具合がわかる。

第21作『ルパン三世 the Last Job』(2010)

不二子&銭形&五ェ門の旧声優陣のTVスペシャル引退作品。
風魔一族の秘宝「風神」を見つけるための手がかりを追い、
忍者集団とルパン一味、ICPOの潜入捜査官で一族の末裔が対決。

就寝前だったせいか、正直数日経ってしまうとあまり内容を覚えていない…。
ベテラン旧声優陣にとっての最後の特番なのに、
それぞれがそれほどフューチャーされていないのが寂しい。
イタリア人が率いる武装集団が忍者、そしてICPOの捜査官も忍者って、どういうことなんだ…
海外ウケ狙ったのかな…。
まぁそんなこと言ったら、ルパンもなんでイタリア人と日本人の血を引いてるんだって話になるけども…

特別編『ルパン三世VS名探偵コナン』(2009)

「名探偵コナン」とのクロスオーバー作品。
ヴェスパニア王国の王冠と鉱石を狙うルパンと次元。
一方で、女王と王子の猟銃事故後、
王位を継ぐことになった王女が瓜二つの毛利蘭と入れ替わったことから、
コナンたちは王女の行方と事故の原因を探ることになる。

これは放送当時チラっと見ていたけど、ストーリーは知らなかった。
どっちかというと作品はそれぞれ独立して見たいタイプの視聴者なので、
作風がコナンに引っ張られているのがしんどいなーと思いながら見ていたけど、
山田康雄の後輩である神谷明が生き生きと小五郎の声でルパンを演じているのが印象に残った。
(続編の劇場版は後述。)

第20作『ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜』(2008)

不二子にお願いされて魔法のランプを盗んだルパンがランプをこすると
人生の半分と引き換えに願いを叶えてくれるという妖精が現れる。
すると突如、ルパンは半日分の記憶を丸ごと失ってしまう。

脳科学技術で記憶を操作されてしまう、という設定は凄く面白いけれど、
それをうまく生かしきれてないというか… なぜ魔法のランプである必要があるのか…
記憶が取られてしまうのはともかく、どうやって願いを叶えてくれるんだっていう…
脚本(セリフ)も設定とマッチせずチグハグだった印象。

第19作『ルパン三世 霧のエリューシヴ』(2007)⭐️

原作者の出身地、北海道浜中町霧多布が舞台の、ルパン生誕40周年記念作品。
科学者魔毛狂介の企みで500年前にタイムスリップしたルパン達が、
その土地に伝わる秘宝と伝承の謎を解き明かす。

過去のテレビシリーズを思わせる突拍子もない設定とアクションが楽しい。
こちらは時間(の移動)を取りあげた物語で、魔毛狂介が時間をいったりきたりしているけど、
前述の「sweet lost night」と比べると、筋が通っていて見やすいと思う。
魔毛がルパンに猛然と敵意を燃やす理由もくだらなくて好き。

第18作『ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ』(2006)⭐️

とある令嬢から父が製造する人口ダイヤ爆弾を奪ってほしいと依頼されたルパン。
一方で、不二子と五ェ門が狙う世界最大のダイヤモンド「女神の涙」が
米国大統領を脅迫するための材料として、人口ダイヤ爆弾とすり替えられようとしていた。

このエピソードは放送当時見た記憶がある。
タイが舞台の一つなのが新鮮味があって好き。
元傭兵仲間の紹介で敵方の用心棒になった次元がルパンと相対するシーンが熱い。

第17作『ルパン三世 天使の策略 〜夢のカケラは殺しの香り〜』(2005)

UFOのかけらと言われる球状の物質「オリジナルメタル」をめぐる、
ルパン一味と、反米テロ組織「ブラッディエンジェルス」の戦い。

それぞれ得意技を持つ「ブラッディエンジェルス」のメンバーと
ルパン達の対決が見所?になっているのかも?しれない。
その中では、五ェ門とカオルの斬り合いのシーンが美しかった。
それにしても、斬鉄剣でも斬れない物質を加工するには、
「ラベンダーの香りのする液体」が必要、ってどうゆうことなんだ…

第16作『ルパン三世 盗まれたルパン 〜コピーキャットは真夏の蝶〜』(2004)⭐️

フランスを舞台に、手にした者に死が訪れるという宝石「ブルズ・アイ」の秘密を暴き、
ルパン・コレクションを狙ってルパンの元相棒の娘を人質にした謎の男とルパンたちが対決する。

実際ありそうな「ブルズ・アイ」の存在理由が興味深いし、
ルパン・コレクションが存在する村も実は…ってところが、大胆でルパンらしい。
映画のようなシンメトリーの構図が多く、コマ撮りして絵になるようなシーンが多いのが印象的。

第15作『ルパン三世 お宝返却大作戦!!』(2003)⭐️

保管している7つのお宝を全て返却すれば
サグラダ・ファミリアの一部として使われていた「トリックダイヤ」を譲るという
亡くなった旧友の老泥棒の遺言に従うルパン。

ルパンって、隕石の欠片をお目当てにしがち。
普段盗みしかしてない大泥棒が盗品を返していく、という逆転の発想?や
欧州各地を転々として名所巡りっぽく見せているのも楽しい。
その中で、私が見たことがあるのはデンマークの人魚姫像だけど、
実際見てみると公園に置いてある銅像と変わりない見た目なので、
ルパンの言う通り、盗む価値あるのか?と思っちゃったな。(デンマーク自体は好きです。)

第14作『ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト』(2002)⭐️⭐️⭐️

ルパンとの出会いを女性記者に語り始める次元。
ダイヤモンドより硬い合金の製造方法が書かれた錬金術書と
それを開くための鍵を狙うルパンと用心棒の次元の対決、そして不二子や五右衛門も集結。

一味の出会いを描いた人気の高い作品。これは私も放送時に見た記憶がある。
ベンツで走るルパンが助手席でタバコを吸う次元にマッチを擦って言う一言が、
最高の口説き文句過ぎて、思い出すとニヤニヤしてしまう。
男が男に惚れるってことですかね。
絶対にめげない銭形のとっつあんの不屈の精神が見られるところや、
思い出話のようでいて、実は違うかもしれない、という想像の余地を残しているところも好き。
そして、個人的にルパン三世のテーマはこの作品で使われている89年が大好き。
これを聞くと「ルパンのスペシャルが始まるわー!!!」と気分が高まります。特に前奏が最高。

Yuji Ohno Lupin The Third Theme '89

 

第13作『ルパン三世 アルカトラズコネクション』(2001)⭐️⭐️

違法カジノ船の売上金を狙うも銭形のとっつあんの妨害で失敗するルパン。
しかし本当の狙いは、カジノ船が調査していた沈没船の中の金塊だった。
その金塊が実は…という、サンフランシスコを舞台にしたお話。
これも放送当時見ていたかもしれない。
狙いのお宝が終始変わらず明白なのでとてもわかりやすいけど、
前述の「東方見聞録」のような、ケーブルカーが動いてる場面と動いていない場面があったりする。
石田太郎がコロンボみたいな刑事?役で出てくるのが面白い。
今回の敵の秘密結社のメンバーの一人が、次期次元役の大塚明夫。

第12作『ルパン三世 1$マネーウォーズ』(2000)⭐️

歴史上の独裁者が手にしたという幸運のブローチを狙うルパンだが、
新興投資銀行に雇われた男たちに妨害され、命を落としてしまう。

前半はNY、後半はカリ島と呼ばれる島の2つの舞台が楽しめる。
世界の混乱に乗じて石油で利益を得ようという設定が、2001年以前の空気感。
ルパンが不二子のように頭取の女の好意を利用している節があるのが珍しいし、
お気に入りの女性歌手に幸運のブローチを渡そうと奮闘するパトロン的な顔を見せる。
一方の不二子ちゃんは投資に失敗して散々な様子。
ちなみに英題は"Missed by a Dollar"。ラストのオチを表していて洒落ています。

第11作『ルパン三世 愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』(1999)

ガセネタとして存在が不確かと言われるお宝「コロンブスの卵」。
その隠し場所を記す書類「コロンブスファイル」の内容を記憶した不二子が記憶喪失に。

いつもと違う不二子の一面が楽しめる作品だけど、
オルゴン・エネルギーの人体細胞の強化と天候を操るって設定がどうも都合が良すぎる。
ここにもナザロフ役で千葉繁が出演してるが、今回はキャラが濃すぎて食傷気味。
この作品であの有名な(?)五ェ門による次元への人工呼吸27回や、エンジンとの会話(!)が登場。

第10作『ルパン三世 炎の記憶〜TOKYO CRISIS〜』(1998)⭐️⭐️⭐️

徳川埋蔵金(!)のありかを示す徳川慶喜の2枚の写真を狙うルパン一味。
一方、彼らを追う銭形警部は、取材のために密着する雑誌記者の助けを借りながら
ルパンと共に、同じく埋蔵金を狙う青年実業家の正体に迫る。

銭形のとっつあんが主役の特番。
とっつあんとの良いコンビっぷりを見せる林原めぐみのヒロインも印象的だけど、
将来の銭形警部となる山寺宏一が悪役、それも3役こなしているのも見所。
珍しく使い物にならない次元と五ェ門が終盤で本領発揮するのも気持ちがいい。
エンディングでも彼らの後日談が垣間見れます。

第9作『ルパン三世 ワルサーP38』(1997)

2021年10月22日の金曜ロードショーでの放送で鑑賞。
かつてルパンが愛用していたシルバーメタリックのワルサーP38で銭形警部が撃たれてしまう。
その銃を持つ手に浮き上がっていた文様から暗殺組織タランチュラのメンバーであると踏んだルパンは
バミューダトライアングルへ向かうが、タランチュラのメンバーに捕らえられ、
構成員と同じく、生きていくために特殊なガスが欠かせない体にさせられてしまう。

当時、この作品あたりのキャラクターデザインが自分のルパンのイメージと違うのが辛くて、
テレビスペシャルをだんだん見なくなったことを思い出した。だからこの作品は当時観ていない。
これが人気投票第一位に選ばれているあたり、他の人は気にならないのかもしれない。
改めて見た結果、救いのない暗い話は好物だけど、この作品はそんなに惹かれなかった。
良し悪しはどっちに決めても自由なはずで「やっぱりNO.1だけあるね!」と言っても
私としては全く問題ないはずなのに、そうは言えない引っかかるところがある。
そもそもこの話、ルパンじゃなきゃいけなかっただろうか?
せっかくのルパン独特の個性が封印されているような作品だ。カーチェイスもなければ変装もない。お宝もない。
(ワルサーはここでは取り戻すものでありお宝とは言えない。)
もしや…と思って確認してみたら、
同じく1997年夏に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が公開されている。
当時の私はそちらの衝撃で呆然とした状態だったはずだ。
あの1995年から世紀末の間の、喜んで享受したわけでもない、
異様に閉塞的な空気の中で生まれた異色のルパンがこの作品だったのかもしれない。
いっそ小池健監督のスピンオフのような絵柄と演出でこう言う話をがっつり見たいな。
ルパンの復讐を、渋い言葉で語らせたらさぞかしかっこいいことだろう。
ということは、やっぱり単にキャラデザインが苦手なだけかも。

第8作『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』(1996)

かつて世話になった闇組織の首領ドルーネから「トワイライト」というダイヤを受け取り、
寝たきりの彼の代わりに「トワイライト」が鍵となるモロッコの財宝を狙うが、
現地の老婆から「トワイライト」はもう一つ存在し、
財宝に行き着くには2つを揃える必要があることを知らされる。

東京ムービーに「ルパン三世」のアニメ化を持ち込んだ本人である杉井ギサブロー監督の作品。
他の特番に比べて緊張感はあまりなく、テンポがゆっくりに感じるが、
深く考えず軽く見るには丁度いい内容かも。
クリカンのモノマネも多めに出てきて、鳳啓介の真似をしたところは、
そのセリフを受ける納谷さんが素で笑っているように聞こえる。
キャラデザインが可愛らしく、不二子もヒロインもキュートな印象だけど、やたらおっぱいが出てくる。
まあ顔もおっぱいも可愛いけどさ… ここからさらに遡っていくとヌードが多いのかもしれないな。
野沢那智演じる五ェ門と同門の、トランスジェンダーっぽい敵のことを
ルパンが何度もオカマ呼ばわりするのも、今見ると苦痛。
五ェ門が出てくるタイミングは絶妙でカッコよく、不二子とのやりとりも微笑ましい。

第7作『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』(1995)

ユーロトンネルの崩落で発生した損害を負担する元英国情報部諜報部員のアーチャー卿は
ロイズ保険の顧問弁護士に盗賊ハリマオの財宝で弁済すると伝える。
一方、ハリマオの財宝の手がかりとなる3つの像のうち、
すでに1つを盗み出していたルパンはもう一つを持つアーチャー卿と協力することになり、
彼の孫娘とともに最後の像を入手するためタイに向かう

栗田貫一のテレビスペシャルデビュー作。
その所為では全くないだろうけど、あまりにおふざけがすぎたり時代錯誤な台詞が多く、
かなりしんどくて途中から倍速で見ていた。
テレビシリーズPart 5の最後で出てきた金の潜水艦はこれだったか!とやっとわかったけど、
最後に沈んでいったのになんでPart 5で出てきたのか謎。
そして五ェ門が時給980円とか悲しすぎる。もっと払ってやれよ!

しかし、ここまで見てきたルパンは全てクリカンが演じているのだと考えると、
実質的に演じた時間は数ヶ月程度としても、見事な仕事ぶりだ。もっと評価されるべき。

第6作『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』(1994)⭐️

歌舞伎鑑賞中に忍者集団に襲われる五ェ門。
それはタイタニック号とともに海底に沈んだ「龍の置物」を狙う香港マフィアが差し向けた刺客だった。
そのマフィアからの「龍の置物」を盗み出す依頼を断ったルパンと次元は、
独自に深海探索艇でタイタニック号への潜入を試みる。
一方、五ェ門はマフィアのもう一つの狙いである先祖代々の巻物を回収していた。

山田康雄が出演する最後のテレビスペシャル。今聞くと、かなりお声が弱っている。
放送当時確実に見ている1本だけど、五ェ門がまた女に騙されるということ以外、
こんな話だったっけ?とほとんど覚えていなかった。
見慣れた銀座&有楽町の建物が五ェ門によって斬り刻まれるのが結構衝撃的。
マリオン(松竹)になにか恨みでもあるのだろうか?(笑)
クライマックスで五ェ門が何度もステルス機に挑む姿はありえないとは思いながらも緊張感がある。
「イタリアン・ゲーム」のオープニングに出てくる飛行機はここに出てくるステルス機っぽいなー。
ちなみに映画の「タイタニック」は2012年日本公開なのでこの後のこと。

第5作『ルパン三世 ルパン暗殺指令』(1993) ⭐️⭐️⭐️

ルパン専任捜査官を解任されてしまった銭形。
ルパンは銭形が新たに捜査を命じられた武器密売組織「ショットシェル」の資金を狙い、
ついでに銭形のために組織壊滅も目指すことに。
しかし「ショットシェル」に売り込む原子力潜水艦を操縦するために
モスクワ大学核物理学研究所から誘拐した学者は、次元と因縁のある女性で…。

コンバットマグナムとの切り離せない関係を今まで散々見てきているので、
次元が自分を殺そうとしている女にすんなりマグナムを渡すのを見ると、その覚悟のデカさに胸がヒリヒリ。
この作品のデザインはおちょぼ口で野良犬みたいな次元だけど、
ただ銃の撃ち方を教えるだけのシーンでもとんでもなく色っぽくてドキドキしてしまう。
そしてルパン一味が死ぬわけがないんだけど、生存が確認出来た時の嬉しさといったら。
五ェ門と再会を果たしたルパン&銭形&不二子の喜びようにこちらも嬉しくなる。
最後に札束に歓喜する不二子ちゃんも最高だけど、エンディング曲「Destiny Love」が大好き。
これだけルパンと結託したとっつあんが専任捜査官に本当に復帰できるのか?はともかく、
視聴率の低迷でテレビスペシャルの完結編となるはずだった作品であり(しかし22%を獲得し続行となった)
「燃えよ斬鉄剣」よりもずっと元気だけど、この頃には山田さんがすでに不調だったらしいことを含めると
あらゆる意味で切なく、余韻の残る作品でした。

第4作『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』(1992)⭐️⭐️⭐️

アメリカに運び出されたというロマノフ王朝の金塊を狙うルパン。
そのありかを記す本を通じてジュディという女性と知り合うが、彼女も不二子と結託し金塊の強奪を企んでいた。
さらに、人の心を読む宗教団体の教祖ラスプートンも殺し屋を雇い、金塊を奪おうとする。

私が一番見ているお気に入りのテレビスペシャル。
銀行を襲い金塊を盗むという、正統派の泥棒仕事。
冒頭に意味なく図書館司書のおっぱいは出てきますが、
子供っぽい度の過ぎた演出は少なく、お茶目なルパンたちを安心してみられます。
この作品で何より印象に残っているのは恋に惚けた五ェ門でしょうか。
子供心にあの潤んだ瞳は衝撃でした。可愛すぎる(笑)。
次元が爆弾を落とされ逃げる時に敵対する殺し屋に
「縁があったらまた会おうぜ」と言って縄を解いてやるのも好き。
銀行を襲う時も人質は取らず闇金上がりの支配人だけ残しておき、
そいつもむやみには殺さないのが、悪党の仁義を感じさせます。
ラスプートンが指を口や耳、鼻の穴に突っ込むのが意味不明でキモい…
指だけで命を奪えるっていう脅しですかね。桃白白っぽい怖さ。
ちなみに、NYマフィアのドンビーノの声を大塚明夫さんが担当しています。

第3作『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』(1991)⭐️⭐️

マドリード=パリ間のクラシックカーレースの賞品「ナポレオンの辞書」。
ルパンは元々先祖の所有物であり、ルパン一世の築いた帝国の財宝のありかが記されている辞書の奪還を計画。
一方で、湾岸戦争で財政難に悩むG7各国もルパン帝国の財宝を狙っていた。

これも記憶に残っているスペシャルの一本。
ルパンの「君も、自由人になれよ」のセリフが当時から印象に残っている。
ルパンはレースに参加して優勝を狙っているわけではなく、
はなから現在の所有者から奪うつもりだが、CIAをはじめ各国に狙われているため、
改造クラシックカーで応戦しながらパリを目指さなければならない。
その間、ルパンがとっつあんに捕まったり、次元と国家保安局の智恵子が同乗したり、
降りた智恵子がとっつあんに変装したルパンと知らずに合流したり、任侠映画にハマっている五ェ門が途中参加したりと、
入れ替わりが激しいけれど、その複雑さがかえって効果的。
とっつあんと智恵子の泡沫の恋心(勘違い)も見所かな。
湾岸戦争や「トリカブトの飲ませどき」っていうセリフに時代を感じました。
ここでもCIAのマッカラム役で大塚明夫さんが出演してます。

第2作『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』(1990)⭐️

ヘミングウェイが地中海で見つけた財宝のありかを記したと言われる遺稿「ヘミングウェイ・ペーパー」。
ルパンはそれを収めた宝箱「パンドラの箱」がコルカカ島にあると言う情報を入手し、
「パンドラの箱」を開けるための鍵を手に入れようとするが、
不二子が秘書として潜入しているクレイジー・マッシュの軍隊に先を越されてしまう。
一方、コルカカ島では、次元が裏切り者を始末しようとコンサノ率いる傭兵部隊に入り込み、
五右衛門は斬鉄剣でも斬れないという「パンドラの箱」の情報を聞きつけ
コンサノと敵対する大統領カルロスの用心棒として雇われていた。

これも何度か見ているTVSP。
ルパンが安全上飛行機が着陸出来ないコルカカ島へ「降ります」とパイロットに申告して
飛行機から飛び降りるシーンが記憶に残っていた。(なんでそこ?)
敵対する組織に雇われている次元と五ェ門が相撲で決着をつけるのが気持ちいい。
大人になってから見ると、見つかったお宝がどれほどヤバイかよく分かる。
短時間とはいえ、ルパン達の体の影響もありそうで心配だわ。

第1作『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!』(1989)⭐️

世界中に個人情報を共有され泥棒稼業が難しくなり引退生活を楽しんでいたルパン。
しかし女に貢いだ挙句に振られてしまったため、泥棒稼業に戻らざるをえなくなり、
次元とともに自由の女神像に隠されたダイヤモンド「スーパーエッグ」を自由の女神ごと盗み出す。
盗んだ女神像にはコンピューターの扱いに秀でた少年マイケルが潜んでおり、
ルパンにデータ改ざん可能なコンピューターウイルスを操るプログラムを盗み出してほしいと依頼。
ウイルスを使って警察の情報を書き換えるために、ルパンはマイケルと手を組むことに。

久しぶりに見直して、物語とはいえ自由を女神を丸ごと盗むという発想に脱帽してしまった。
ルパンの行動が予測されてしまう、という内容や、
情報処理に長けた少年少女が登場し親と再会する点でTVシリーズPart.5にも通じる物語。
逆を言えば、見当違いな未来を描いている作品もある中で
この頃から現代のAI技術による行動予測のようなテーマを取り上げているというのは、
未来を先取りしていたということなので、なかなか興味深い。
五ェ門はやはり女性に対する弱さを発揮して「純愛路線の活き造り」(by次元)状態。
(次元は毎度、恋に落ちた五ェ門の表現が秀逸。)
最後は妙に唐突な終わり方で、どうしてこんな結末になったのか気になるところ。

 

劇場公開作

…についてはこちらの記事をどうぞ。

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