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マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その1

2016-02-13 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■



モルトビー・ストリート・マーケットの後はいよいよナショナル・シアターへ。
今回の旅のメイン・イベント"Three Days in the Country(以下TDitC)"の観劇ですが、
その前に私にはひと仕事する必要がありました。



今回、この舞台のチケットを2日分購入していました。
一つは千秋楽、もう一つがこの17日の分です。
なぜ17日も買ったのか?それは出演者であるマーク・ゲイティス氏の誕生日だからです!




今まで彼へ誕生日に日本からカード等を贈ったことはありましたが、
大きなものは贈ったことがありませんでした。
でも、直接ならプレゼントらしい品物を渡せると思ったわけです。
舞台公演中と誕生日が重なったのはこの2、3年で初めてのはず。なかなかない機会です。

特に私が贈りたかったのは、ちゃんとした花束でした。
以前舞台を見に行った時に、一輪だけ花を渡した事はあったのですが、
持ち歩いて萎れ気味になって、とてもしょぼかったので、
今回は誕生日らしい豪華なお花を贈りたかったわけです。

それに、出来れば私だけじゃなくて、沢山の人が祝っていると分かってもらいたい。
(でも、誰かに声掛けする勇気なんてないわ…。
 それに劇場に送っていいのかどうかも分からないし…。)
しばらくウジウジ悩んでいたのですが、
上演しているナショナル・シアターから「送ってもらえれば関係者に渡しますよ」とメールで返事を貰った事で、
よし、やってみよう!と決意が固まりました。

1ヶ月前からTwitterで声掛けをすると、期待以上に賛同してくれた方が集まりました。
皆さんのメッセージをピックアップし、連名のカードを添えた花束を、
自分で持って行くのではなく、現地ロンドンのフローリストに配達の注文。
発送状況はそのお店からメールでその都度知らせてくれるとのことでした。

ただ、どんなに間違いなく注文したと思っても、本当に届いているのか不安を感じてしまうもの…。
不備があったら「一緒に贈りたい!」と参加してくれた皆さんにも申し訳ない…。
当日の朝、フローリストから発送されたとの連絡メールは貰いましたが、
思い切って、マーク本人に受け取ってもらえたか確認してみることにしました。



17日は土曜日なので昼と夜公演があります。
昼公演は16時半くらいに終わるはずだったので、それまでナショナル・シアターのラウンジで待機。
この間に、チケットの発券も完了。
劇場から観客が出て来たのを確認して、ステージ・ドアへ向かいました。

待っている間、アンドリュー・スコットが楽屋口に入っていくのが見えました。
アンドリューはマチネで見ていたんですね!
スタスタと早足で入っていったかと思うと、十数分か経つとまたスタスタと出て来て、
ファンのアンドリュー!という呼びかけに手だけ振って去って行きました。
マークの誕生日に合わせて見に来たんでしょうか?

その後、若手の共演者の皆さんが来客と談笑しながらドアの前を言ったり来たりしている様子を見ながら、
30分ほど経った頃、マークが3人程の連れの方々と一緒に楽屋から出てきました。
(また「スペクター」のバッチ付けてる!)



10人程のファンの一人一人にサインや写真撮影をしているのを見守りながら、
そろそろ終わりかなというところで、意を決してマークに話しかける私。

「日本からのお花は受け取られましたか?」
「うん! あれは君からのだったの?」
そう言うとマークは私の手をしっかり握り、満面の笑顔で
「どうもありがとう!ビューティフルだよ!」
と喜んでくれました。

そしてハッ、と何か思い出したように一歩退いて
「"キャプテン・ロック"からだね?」
とニコニコしながら言うのです。

私は一瞬、何の事か分からず
(あれ、そんな花屋さんの名前だったっけ? ちがうよな。連名っていうことか?)と勝手に考えて、
「あーそうですそうです(笑)」と適当に相づちを打っていたのですが、
後から考えると、あれはマークが出演していた、"Who Do You Think You Are?"という番組にヒントがありました。

"Who Do You Think〜"はNHKで放送されてる「ファミリー・ヒストリー」の元ネタだと思うのですが、
有名人が自分のルーツを自ら探って行く番組です。
マークはこの番組で、亡くなったお母様の先祖を辿って北アイルランドに渡っていました。

彼の祖先ジョージが、雇われ農場管理人として小作人に賃貸料の取立をしてた時代、
疫病が流行ったり、作物が不作だったりと農民の不満が溢れ、
ジョージのような所謂中間管理職が農民の領地を侵害しないよう、
小作人たちが匿名の集団を雇い、脅迫状を送って脅していたらしいのです。
そしてその匿名の集団が、キャプテン・ロックと名乗っていたそうなんですね。

だから、マークの「キャプテン・ロックからだね?」というのは、
集団で脅迫状を送ってきたんだろ?というマークのジョークだったのですが、
私はそのボケを殺してしまったと最近になってやっと気付いたのでした(笑)。

"Who Do You Think〜"はついこの数日前に放送されたばかりで、日本では当然放送されてないのに、
なんて難易度高いジョークをかましてくれるんだ!(笑)
「そうです、あなたを殺しにきました!」って言えばよかった!(笑)

しかしながら、この発言から私一人ではなく、
集団で贈られたと分かってもらえているということも、はっきりと確信出来たのであります!
連名という理解も、全く間違いというわけではありませんでした。

「あー、ヨカッタ…」
ひとまず安堵する私。
これで皆さんに無事に届いたと報告が出来ます。
「私は今夜の舞台を見るつもりです。それで…」
後でまた会いに来てもいいですか?と訊こうとすると、その前にマークは
「オーケー、わかった。君に会いに出て来るよ」と素早く返答。
そして、連れの方たちと去って行ったのでした。

会いに出てくるよ、というのは、「コリオレイナス」の時にも聞いたので、
(あの時はこの時以上にド緊張してて、何を言っているのか聞き取れないくらいだった…)
実際には出て来ても来なくてもこんな返答をしてくれるとは分かってるのですが、
ついつい嬉しくなってしまいます。



芝居が始まるまでは、ラウンジに戻って戯曲を読み返しました。
ナショナル・シアターのラウンジは落ち着きます。
ブックショップもリニューアルしていて、お土産にも喜ばれそうなロンドンについての絵本やステーショナリー、
ダブルデッカー型のバス等の木製おもちゃ、ナショナル・シアターオリジナルのマグやトートバック等のグッズもあります。
(TDitCにちなんで、凧も売っていました。劇中に凧が登場するんです。)
日中は人も少ないし、ゆっくりくつろげるので、もし近くに住んでいたら毎日でも時間を潰しに来たいくらいです。



この前日、ベネディクトの「ハムレット」も見ていたわけですが、
そのチケット代を一緒に見たフォロワーさんから受け取るのを忘れていたので、
ナショナル・シアターで待ち合せをして(私の都合に合わせて頂いて申し訳ない…)、
1階のエスプレッソ・カフェでお茶をご一緒しました。

その間に個人的なお話をしたり、「ハムレット」の事を思い出したり、先ほど確認したお花の件を話したり。
短いけれど楽しいひと時が過ぎ、上演時間が近づいた頃、
劇場となるLyttelton Theatreに向かいました。



※ナショナル・シアターの中にはOlivier TheatreとLyttelton Theatreの2つの劇場があります。

入場のために前もって発券しておいたチケットを係のお姉さんに見せると
「あちら側の入口です」と逆方向の入口を指されました。
あれ、間違えたか?と思い、もう一方の入口に行くと、
今度は「向こうの入口ですよ」と、先ほど行った入口に戻るよう案内するではないですか。
どうなってるんだ?と思ったら、17日と21日のチケットを両方見せていた事に気付いたのでしたw
今日のチケットは初めに行った方の入口で間違いなかったのですが、
もう一枚の21日はもう一方の入口だったんですね。

そんな感じでウロウロしていると、
見覚えのある男性がラウンジのソファーで上着を脱いでいるところを見つけました。

(あ! スティーヴだ!!)

そう、リーグ・オブ・ジェントルマンのスティーヴ・ペンバートンが来ていたのです!
(え?リーグ・オブ・ジェントルマンを知らない? それじゃあこちらを読んでくれ!)

私はすっかり舞い上がってしまい、普段なら絶対しないことですが、思わず彼に声を掛けてしまいました。
「すみません、スティーヴですか?」
「はい!」
「私、あなたのファンです!リーグが大好きで、Mapp and Luciaも大好きで…」
「おー!ありがとう!」

そして、一緒に写真を撮ってもいいですか?と聞くと、
いいよー!と快諾してくれました。
(咄嗟にお願いする事が写真以外に思いつかなかった…)



スティーヴは先日観劇中に倒れ、「リトル・ブリテン」でお馴染みのデヴィッド・ウォリアムズが運び出したとニュースになっていました。
だから、スティーヴに直接「体を大事にしてくださいね」と伝えたかったのです。
それに彼が脚色&出演したドラマ"Mapp and Lucia"もシリーズ2が製作されないらしいので、せめてファンがいるってことも伝えたかった…。

スティーヴは映像で見るままの愛らしい笑顔で、
あのキレイな青い瞳と優しい声で受け入れてくれて、天にも昇る気分でした。

"Mapp and Lucia"のロケ地であるライに行ったことや、
彼の舞台をまさにそのナショナル・シアターに見に行ったことがあるということも伝えたかったのですが、
開演が近いこともあって、とても悠長に言葉を見つける余裕はありませんでした。
お礼を言って、「楽しんでくださいね!」と声を掛けて立ち去るのが精一杯。
それでも、無事に席に辿り着けた私は、幸せな気分で胸が一杯でした。
リースとはなかなか縁がないなーと贅沢なことを思いつつ…。

そして、舞台の幕は上がったのでした。


…次回に続く。

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