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演劇『ピローマン』&映画『インファナル・アフェア~無間序曲』

2004-11-15 | stage
○11月10日(木)○

仕事先の先着招待で、パルコ劇場で上演している『ピローマン』を見に行きました。

3時間半ほどの長い舞台で、正直ウトウトしないで見続けられるか不安だったのですが、
予想以上に面白かったです。

警察の取調室に一人の男が目隠しをされて座っているところから幕が開きます。
彼はカチュリアン(高橋克美)という作家なのですが、
なぜそこにつれて来られたのか知らされていません。
部屋に入ってきた警官たち(近藤芳正・中山祐一郎)によると、
彼の作品が、子供を狙った連続殺人事件に関係があると言い、
カチュリアンの兄・ミハエル(山崎一)が全ての事件を自供したと伝えます。
しかし、彼の兄は「責任能力のない人間」と見なされ、
カチュリアン自身に疑いの目を向けられているのです。

始めのうちは「これは笑っていいところなのか?」と
判断に苦しむジョークが出てきたりしてちょっと戸惑うんですが、
兄のミハエルが出てくるあたりからだんだん顔が緩んできます。

ミハエルはセリフでは「知恵遅れ」といわれているのですが、
それは悲惨な成長過程に原因があります。
本来、「知恵遅れ」を芝居に登場させるというのはタブーと言われていますが
(そのわりには結構芝居に出てくることが多い気がするけど…)

奇抜な発言をするので、それだけで話が可笑しく感じられるから、
要するに、おそらく手抜きになってしまいがちだからでしょう。
ミハエルも子供のように残酷な人物ですが、
その純粋さが最後に救いを残してくれます。

カチュリアンは非常に繊細な人物で、唯一の家族・ミハエルを大切に思っています。
彼の書く作品は、大切に育てられた自分の部屋の外での世界への恐怖から生まれた、
子供の虐待される話などの過激な内容でした。

ミハエルは彼の作品が大好きで、監禁されている警察の部屋の中でも、
カチュリアンにお話をするようにねだります。

警官の二人・トゥポルフスキとアリエルは、カチュリアンに対する取調べの様子で
冷血な人間のように思えますが、それぞれに過去の傷を引き摺って、
その過去を忘れようとするがために、容疑者であるカチュリアンに辛く当たります。


カチュリアンの話す彼の話は、とても悲しく痛々しいものですが、
中にはどうしようもなく優しさを感じるものもあります。
一つ一つが、絵本を読んだ時のように新鮮さに満ちていて、
異世界へ訪れた感覚にさせてくれます。


カチュリアンの結末は、彼の描く作品よりもずっと残酷な終わり方なのに、
彼が作品の中で残した優しい世界観が、その暗さを観客に感じさせません。
こんなにも辛い話なのに、観終わった後、4人全てを愛しく感じられる、
奇妙でおかしな素晴らしい芝居でした。


私個人は近藤芳正さんの演技が好きです。
冷たく、意地が悪くて実は弱い人間を演じる近藤さんは絶品。
トゥポルフスキの聞かせる話も、かなり笑えて切ないです。
はぁ、こんなホンが書いてみたいなー。

インファナル~一作目
ちなみに10日(水)は久々にお金払って映画を見に行きました。
レイトショーで『インファナル・アフェア~無間序曲』
先輩と行ったんだけど、私は一作目を見ていないのに観たという…(笑)
『~無間序曲』は一作目の前の、過去の話なので、
ストーリー内の順番的には合っているのですが、
周りのお客さんが「こうだったんだー!」と納得しているときに、
私は何に納得していいのか分からない!

それでも、男の駆け引きの世界を描いた、大好きな手の映画だったので楽しかったです。

で、昨日DVDで一作目を見ました。
面白かったー! 分かりやすいし、うまく出来てる。
ストーリーの進み方もいい。いい映画のお手本みたいな作品です。
ブラピでハリウッド・リメイクするらしいですが、どうなのかなー。
これは香港だから味が出るのに、アメリカに置き換えたら何にも新鮮味がないような気がする。

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