ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・・・・・25

2014-10-08 | 4章 遠い道・逃亡

 体調は良くないがネパール人と接触できるかどうか最後のチャンスだ。無理をしてジュース屋へ行きネパール人が現れるのを待った。1月のデリーの夜は冷える、熱があるのか少し寒気がする。国境をひとりで抜けるのか、後30分だけ待とう、それで奴が来なかったら諦める。まずい条件ばかりが揃った。チケットはない、サポーターはいない、体調は悪い、逃亡は失敗するかもしれない。もし逮捕されたら最後の幕は自ら引く。奴は現れない、早くホテルへ戻って身体を温め眠りたい。体力を回復しておかなければ明日の出発は苦しい。
 朝、目が覚めるとちょっと体調は良さそうだ。チェーシングをして、いつものインド人のチャイ屋で朝食をした。冷える朝に冷たいジュースは身体を冷やす、飲むのをやめた。甘くて美味しいチャイを飲む。バタートーストを食べるときホットミルクをもらった。身体が温まる。床屋で髪を揃え髭をカットしてもらった。ホテルへ戻るとドアの前にバケツが置いてある。朝食に出かける前ラジューに5ルピーをバクシシして、ホットウオーターを用意しておくよう頼んでおいたが、ちゃんと用意している。バクシシの効果は大きい、ただ口で頼んだだけではこうはならない。インドはやり方さえ分かってしまえば楽で事はスムースに運ぶ。
 温かいお湯で身体を洗う。狭いトイレの中だからお湯で室内が暖かくなってくる。頭、耳と首筋なども丁寧に洗った。最後に頭の上からお湯を全身に流すとさっぱりした。新しい下着に着替えた。汚れた下着は洗濯してロープに干しておくと夕方には乾くだろう。チェーシングをしていると裁判所へ出頭する時間になった。これが最後の出頭であって欲しい。通りへ出ると朝陽が差している、暖かくなりそうだ。
 オールドデリー、ティスハザール裁判所。去年10月26日にぼくを逮捕した私服のポリに連行されここへ来た。1年2ヶ月が過ぎた。デリー中央第1刑務所への収監手続きが終り、裁判所刑務官へぼくを引き渡す前、奴は「水を飲むか?」とぼくに聞いた。頷いたぼくに奴は屋台の水屋からコップ一杯の水を買い飲ませてくれた。


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